2020年11月7日 ジョー・バイデン勝利演説

https://www.washingtonpost.com/politics/2020/11/07/annotated-biden-victory-speech/

アメリカ国民のみなさん、そして私を大舞台へと押し出してくれたデラウェアの人々。そこには友人であるトム、トム・カーパー上院議員がいますね。クーンズ上院議員はそこかな。知事も確かいるはず。あれがルース・アンかな。そう、ルース・アン・ミナー元知事がそこに。私の義姉たちと妹のヴァレリー。さて。


みなさん、我が国の人々はその声をあげました。私たちに明確な勝利、疑うべくもない勝利、そして我々国民のための勝利をもたらしてくれたのです。我が国史上大統領選挙では最大の得票を勝ち取ったのです。そう、7400万もの票です。


さて、私が今夜、驚いたことは認めましょう。我が国全土で、すべての都市やあらゆる地域で、さらには世界中で、喜びが、希望が、そして明日がさらに良い日になるという新たな信念があふれ出ていたのです。そして、私は皆さんが私に託してくれた信頼と確信に対して、身が引き締まる思いです。私はここに誓います。私は、分断ではなく統一を目指す大統領になると、そして、レッド・ステーツ(※訳注:共和党支持の州)やブルー・ステーツ(※訳注:民主党支持の州)ではなく、ユナイテッド・ステーツ(※訳注:団結した州→合衆国)を見つめる大統領になる、と。


私は、すべての人々の確信を胸に抱き、全身全霊で、皆さんすべての自信を勝ち取ることができるよう職務にあたります。まさにそれこそがアメリカとは何か、ということだと信じています。人々とは何か、ということでもあり、我々の政権が何か、ということでもあります。私はアメリカの神髄を再建するために大統領を目指しました。この国の背骨である中産階級を再建するためです。そしてアメリカが再び世界で尊敬を受ける国にするために。また、国内では国民を1つにまとめるために、です。


このような考えに、何千万ものアメリカ人が投票してくれたことは、私の人生最大の光栄だと考えています。そしてこの考えを実現するために働く時が来ました。これは我々の時代の責務なのです。


皆さん、何度も申しあげてきたように、私はジルという伴侶に恵まれました。彼女と息子であるハンター、娘であるアシュリー、孫たちやその家族の、愛と疲れを知らない支えなしには、ここにいることはなかったでしょう。家族は私の心の支えです。


ジルは母、軍人の母であり、教育者でもあります。人生を教育に捧げてきました。しかしジルがしてきたのは教育だけではありません。彼女がどのような人であるかということ、つまりアメリカの教育者にとって、今日は皆さんすべてにとって素晴らしい日になったのです。あなたたちの仲間がホワイトハウスに入るのです。そして、ジルは素晴らしいファースト・レディになるでしょう。本当に誇りに思います。


また、素晴らしい副大統領とともに職に就くことになります。カマラ・ハリスの演説をお聞きになりましたね。彼女は、副大統領に選出された史上初の女性、史上初の黒人女性、史上初の南アジア系女性、そして史上初の移民の娘となるのです。合衆国ではそんなことは無理だなんてもう言わせません。長きにわたり、遅れてきただけなのです。


今夜思い起こすのは、このことが実現するために何年にもわたって一生懸命戦ってきた人たちのことです。今夜再び、アメリカは道徳という宇宙の円弧を正義へと向かって曲げたのです。(※訳注:マーチン・ルーサー・キングJr.の演説の一部引用)カマラ、そしてダグ、君たちはどう思おうが私の家族です。そう、名誉バイデン家入りしました。いやだと言ってもダメですよ。


このパンデミックのさなか、ボランティアをした人々、選挙活動に携わった人々、そして全国の選挙管理委員会の人々。皆さんは全国民からの特別な感謝に値します。


そして私の選挙対策チームとボランティアの皆さん、この瞬間を実現するため多くを注いでくれた人々。あなた達の、そうあなたたちのおかげです。すべては皆さんのおかげです。


私たちを支持してくれた皆さん。私は、自分たちの活動を誇りに思います。私たちが作り上げた連合体を誇りに思います。史上最も幅広く多様性に富んだ連合体を作り上げてきたのです。民主党員、共和党員、独立派、進歩派、中道派、保守派、若者、老人、都市の住民、近郊の住民、地方の住民、同性愛者、異性愛者、トランスジェンダー、白人、ラテン系、アジア系、ネイティブ・アメリカン、これらすべての人々が含まれているのです。


本当です。そして特に、我々の活動が最も意気消沈していた時、アフリカ系アメリカ人のコミュニティが私のために再び立ち上がってくれました。あなたたちはいつも私を守ってくれました。そして私はあなたたちを守っていきます。


当初から言ってきたのは、この選挙活動がアメリカを代表し、アメリカのように見えるようにしたい、ということでした。そして私たちはやり遂げました。そして、私たちの政権はそのように見え、そのように振舞うようにしたいと思います。


トランプ大統領に投票した人たち。今夜、がっかりしておられるであろうことは理解できます。私自身、何度も味わってきたことです。でも、今こそ、互いにチャンスを与えあおうではありませんか。


今こそ、荒々しいレトリックを捨て、冷静さを取り戻し、互いを見つめなおすときです。前に進むためには、反対陣営を敵として扱うことをやめなければなりません。彼らは私たちの敵ではありません。彼らはアメリカ人、そうアメリカ国民なのです。


聖書には、すべての物事には時季がある、とあります。建てる時、刈り入れの時、そして耕す時。さらには癒す時です。今こそは、アメリカで癒す時なのです。


さて、選挙活動は終わりました。では人々の意思とは何でしょうか?私たちの責務とは何でしょうか?私はこう考えます。アメリカ国民は、私たちに品格の力を、公正さの力を整えるように求めました。科学の力、この大変な闘いの中で希望の力を整えるように求めました。ウイルスを制御する闘い、繁栄を築くための闘い、皆さんの家族の医療を守るための闘いです。さらに、人種間の公正を達成するための闘いであり、この国にはびこる構造的な人種差別を根絶するための闘いです。そして、気候を制御し、我々のこの星を守るための闘いでもあるのです。


品格を取り戻し、この国のすべての人に成功のチャンスを提供するための闘い。これが、国民が求めていることなのです。すべての人に開かれた成功のチャンスです。


皆さん、私たちは、COVIDを制御することから始めます。そうしなければ、経済を修復し、活力を取り戻すことはできません。また、人生で最も貴重な瞬間、それは孫や子供を抱きしめ、誕生日、結婚式、卒業式など、ほぼすべての人々にとって大切な瞬間を心から祝うことはできないのです。


月曜には、我が国を代表する科学者と専門家のグループを、政権移行チームの顧問として指名し、バイデン・ハリス政権のCOVID計画を作成することで、2021年1月20日に始まる行動原案へと発展させていきます。


この計画は、確固たる科学に基づき、同情、共感と関心をもって策定されます。このパンデミックを一変させるため、私は努力と関りを惜しみません。


皆さん、私は誇り高き民主党員ですが、アメリカ人の大統領として統治の任にあたります。私に投票しなかった人のためにも、私に投票した人のためと同様に、一生懸命働きます。アメリカにおいて、誰かを悪者にするという醜い時代を、今ここで終わらせようではありませんか。


民主党と共和党が協力することを拒むこと。これは我々の力を超えた不思議な力のなせる業ではありません。これは私たちが選んだ、決定なのです。そして、協力しない、と決めることができるなら、協力する、と決めることもできるはずです。


このことは、アメリカ国民が私たちの責務として示したことの一部だと考えています。アメリカ国民の利益のため、協力することが求められているのです。だから私はそう選びます。議会にも、民主党にも、共和党にも、私と同じ選択をするよう呼び掛けていきます。


アメリカの物語とは、ゆっくりではあるが着実に機会を広げてくることでありました。しかし、ここで間違えてはいけません。あまりにも多くの夢が、あまりにも長きにわたり打ち砕かれてきたのです。私たちはこの国の誓約をすべての人々にとって現実にしなければなりません。人種、民族、信仰、自己認識や障害の有無に関わらずです。


皆さん、アメリカは時代時代で転機を迎え、形作られてきました。我々とは何者か、どうありたいのかという困難な決定を下してきたのです。リンカーンは1860年に連邦を守りました。FDR(※訳注:フランクリン・デラノ・ローズヴェルト)は1932年に疲弊しきった国にニューディールを約束しました。JFK(※訳注:ジョン・F・ケネディ)は1960年にニューフロンティアを誓いました。そして12年前、バラク・オバマが歴史上の快挙を成し遂げたとき、彼はこう言いました。「そう、我々にはできる」と。


さて、皆さん、我々もまた、転機に立たされています。我々は絶望を打ち破り、繁栄と目的を持った国を作り上げる機会を目の前にしています。我々にはできます。ええ、できるのです。長きにわたり、アメリカの神髄のための闘いと申しあげてきました。我々はアメリカの神髄を取り戻さなければなりません。我が国はよき天使と悪しき感情との常なる闘いによって形作られてきました。そして、この闘いにおいて、大統領たちが語ったことが重要なのです。今こそよき天使の勝利を導く時です。今夜、世界中がアメリカを見つめています。そして私はアメリカが最良であることを確信しており、アメリカは世界の道しるべなのです。


我々は力を示すことだけではなく、我々の実例の力によって世界をリードするのです。私はこれまでずっと、これは皆さんが何度も聞かれてきたことだと思いますが、これまでずっと、アメリカを1つの単語で定義することができると考えてきました。すなわち、可能性です。アメリカでは、すべての人が自分が夢見るところまで行きつく機会を与えられており、神の与えし能力によって突き進むのです。


ご存じのように、私はこの国における可能性を素晴らしいと考えています。我々は常に前を向いています。さらに自由でより公正なアメリカを目指して。尊厳と尊敬に値する職を生み出すアメリカを目指して。がんやアルツハイマー症のような疾病を治療するアメリカを目指して。誰一人として取り残さないアメリカを目指して。そして、決してあきらめず、屈服しないこの偉大な国、アメリカを目指して。


アメリカに立ち向かおうとする試みは常に間違った試みでした。我々はよき人であり、この国は団結したアメリカの州、すなわちアメリカ合衆国なのです。いまだかつて、そういまだかつて、我々が団結してできなかったことはありません。


皆さん、この活動の最終盤、私は自分と家族、特に亡くなった息子ボーにとって大きな意味を持つ聖歌に思いを巡らせ始めました。そこには私を、そしてアメリカを支えてきたと信じる信念が歌われているのです。


そして私は、この聖歌が、今年、恐ろしいウイルスによって愛する人を亡くした23万ものアメリカ人に癒しと慰めをもたらすことを望んでいます。私の心は、皆さん一人一人とともにあります。この聖歌が皆さんに慰めをもたらすことを望んでいます。


その歌詞はこうです。「汝は空高く鷲の翼の上に導かれ 夜明けの刹那に太陽の如く輝き 神の御手に抱かれる。」(※訳注:アメリカのカトリックでしばしば歌われる現代聖歌「鷲の翼の上に」からの引用)だから、今こそともに、鷲の翼の上で、神と歴史が我々に求める仕事に取り掛かりましょう。心を込めて、丹精込めて、アメリカと互いに信念を持ち、愛国心と公正の渇望をもって。


私たちができると信じる国になりましょう。団結し、強くなった国に。癒された国に。アメリカ合衆国は、皆さん、これまで、いまだかつて、何かを試みてできなかったことはありません。


スクラントンでまだ子どもだったころ、私が家を出ようとするときに、祖父がこう言ったのを覚えています。「ジョーイ、信念を持ち続けるんだよ。」と。すると、在りし日の祖母がこう重ねました。「違うよ、ジョーイ。広げるんだよ、信念を広げるんだよ。」と。


神が皆さんを愛されますように。神の祝福がアメリカにありますように。そして神が私たちをお守りくださいますように。ありがとう。ありがとうございます。

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