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今年の個人的ベストCD 2020

ことしを振り返ってみると、COVID-19前後に時代の違いを感じてしまってあれ、これ今年だったんだって音源がたくさんありました。
今年の音源は例年とは違うメッセージ性も感じられたりと、いろいろと思うところもありました。
昨年同様、サブスクでのみ聴いてるものは除外、個別に買ったものから個人的ベストを選んでます。

Arthur Hnatek SWIMS

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Tigran Hamasyanのドラマーとして有名になってきた感のあるアーサーナテクですが今作はジャズではなくモジュラーシンセのかっこいいエレクトロニック系の作品です。
ドラムソロとなっている曲もありますけど、こちらにもシンセは入ってるしちゃんと楽曲としても成立している(むしろドラムソロではない)しでアルバム全体を通してかっこいい。
割と飽和し始めたジャンルではあるとは思っていたので、Mark Guiliana とは違うしRichard Spavenとも違う新しいもっとミニマルな世界を深堀している点にちょっと驚きがありました。
前後の曲間を絶妙に繋ぐDrum solo2がとても好きです。

Thundercat It Is What It Is

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Drunkで話題になっていたので存在は知っていたのですがなんとなく聴いてこなかったサンダーキャット。ルイスコールの参加と聞いて聞いたのですがどハマりしました。
そもそも聴かなかった理由がクリスチャンスコットみたいな楽しそうなのが苦手というのがあるのですが、よくよく聞いてみるとちょっとちがうぞと思いまして。
Geekyな人が大好きなのです。
インタビューでI Love Louis Coleについて、気は合うけど共演することがなかった的なことを話していたのを読んだのですがなんとなく理解できるところはあって、各々自分の作品に入れたい要素が強くて譲れない感じがあるんですよね多分。あとルイスコールはすごくスクエアなビートを好むけどサンダーキャットはもっとスウィングしたのが好きだと思う。

Ben Wendel High Heart


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前作のSeasonsが傑作すぎたので流石にあれは超えられないだろうと思ったのですがやっぱり凄かった。
ドラマー変えるとサウンドがガラッと変わりますね。Kneebodyでも組んでるNate Woodとの相性はやっぱりすごい。
作品としては2016のWhat we bringの流れを汲んでますよね、たぶん。
どこかにジョンコルトレーンを感じるところや彼の母君のやっていたオペラの影響と端々になにかしらの影響を感じるところがあって先人へのリスペクトと音楽に対する誠実さを感じます。
圧倒的技術で作り込んだ楽曲の上で自由に演奏するという点でこれぞジャズといった感じでもある一方でMichael Mayoのヴォイスがニューエイジっぽさを加えてこの作品のサウンドをジャズの枠には収らないものにしています。
ドラムレスのLessとかニューエイジっぽさが最高に良い。
バンドらしさでいえばBurning Brightがとてもかっこいい。これは是非ともライブで見たい曲です。

Songbook trio Live at somewhere

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この作品はCovid-19パンデミックからの緊急事態宣言の頃に行われた配信ライブの音源です。

角胴さんの透き通るような声に石若さんの優しさを感じる鍵盤に西田さんがノイズを乗せることで緊張感をもたらして楽曲の奥行きをより深いものにしています。
このバンドはドラムがいないし、空間が広く取られているのですがスカスカには感じないのが不思議です。
その空間が曲に対する想像力を掻き立てて曲の世界に没頭させてくれる気がします。

先行きがわからない中で気が滅入っていたところでもあったのでこのアルバムには勇気と元気をもらいました。
たった20分の音源ですが、あの時期にこのライブが行われた・できたことは本当にすごいことだと思っていて、これをリアルタイムで見れたこともよかったし、この音源を買って何回も聞けたことに救われた部分も大きいと思います。

石若駿さんのSongbookは同年にスタジオアルバムもリリースしていて、こちらは一点作り込まれていてこちらも名作です。

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bohemianvoodoo bouquet

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オーバーダブやエフェクターの使い方、楽曲に今までの作品とは違う新しさもあり従来のボヘらしさもある絶妙なバランスの良い作品。
(個人的にはbashryさんCrewsのガット弾いてたときの方がナイロン弦ギターの音は好きでしたけど。Godinはよくも悪くも抜ける音なので)
個人的にはMagnoliaとQuiet Pulseがお気に入りでMagnoliaブリッジのシンセの使い方が今までにない感じで新しさを出しつつも旧作との流れもあるし後半のワウの掛かったギターのサウンドが特徴のところのピアノとベースの間をドラムがいい感じに繋いでいる感じがとても気持ちいいですよね。

Quiet PulseはAaron Parks Little bigを思わせる音像ですがボヘらしさもありで今までの枠からさらにレンジを広げていく感じがあるのがとても好きです。先のMagnoliaで新しさも感じつつも、その後これぞボヘ的な楽曲を数曲続けてこれで締める感じもアルバムのストーリーとして最高だと思います。
あとアートワークが凝ってる作品はよいですよね。サブスクで聴くだけじゃなくて盤で欲しくなります。

SMTK SUPER MAGIC TOKYO KARMA

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これも石若駿さんのバンド。でこちらは今風のジャズっぽい感じです。
このバンドを初めて見たのは多分東京ジャズの無料ステージだと思うのですが誰も聴いたことのない曲(ホコリヲハイタラEP:SMTK)のメロディを観客に歌わせたりと演奏以外も自由で笑った記憶があります。
このバンドで初めて聴いた細井徳太郎さん(本人が本当に細くて華奢なのもすばらしいですよね)は今のジャズギタリストって感じでロックぽさもありコンテンポラリー感もノイズ的な要素も持っていてどこかでいきなりステップアップする(演奏ではなく演奏しているステージが)のではないかと思ってます。演奏内容だけならSteps AheadやChick Coreaにいれても問題ないと思いますし。

Wayne Krantz WRITE OUT YOUR HEAD

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僕が大好きなギタリスト、ウェインクランツの新譜です。彼の作品は基本的にギタートリオが多いのですが今回は管ががっつり入ってます。(クリスポッターとのスタジオ盤での共演はunder ground以来かも)。
今作のクリスポッターが素晴らしいのです。彼のリーダーバンドでネイトスミスにプッシュされて自由に吹く感じももちろんすばらしいのですがウェインクランツの緊張感のあるリフでゾクゾクする感じが本当に良い。
Voiceが入っていたりは先のBen Wendelもそうですけど最近の流行りですかね。歌ではなくVoiceなのが興味深いところではあります。
タイトル曲のWrite out Your Headは従来のジャムバンドっぽいのだけじゃなくちゃんと楽曲を聴かせることもできるぞっていうウェインの意思表示にも見えますけど実際のところどうなんですかね。
2020に最後にみた外タレが彼のバンドなので懐かしさも感じます。

Aaron Parks Little Big II: Dream of a Mechanical Man

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Aaron Parksのinvisible cinemaでコンテンポラリージャズのガッツリハマったのですがinvisible cinema以降はECM的な方向の作品が多かった(実際ECMにいたのだけど)のですが前作Little bigとこれは完全にinvisible cinemaの方向で僕の好きな音楽のど真ん中。
この作品がリリースされる前年のライブ見に行った時にMCで新譜作ってるって言ってたのでTwitterで以下のように呟いたら

本人からリプライがきてフォローまでされる奇跡が起きて人生一驚きました。
ことあるごとに言っていますがアーロンパークスのピアノには物語を感じるのです。だから少ない音でも情報量が多く聞こえるし、アルバムが組曲のように一貫性を持って聞こえる。
最近結婚もされてたので本当に幸せになってほしい。
Mark Guiliana以外の唯一の僕の推しです。


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