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『話を聞く』 ただそれだけで良いんです。

「精神的に辛い状態の方の話を聞いてあげる事が大切」という言葉をよく見聞きします。

そして私もその通りだと思います。


誰かに自分の辛さを聞いてもらえたなら、ほんの少しだけだったとしても、心が軽くなれたり、スッキリしたり、安心した気持ちになれたり...


もしかしたらその人にとって何かの支えになるかもしれない。


もしかしたらその人の命を救う事にもなるかもしれない。


SOSの状態にある人にとって、

『話を聞いてもらう』

という事はとても大きな意味を持つと私は思っています。


しかし同時に、この『話を聞く』ことを本当に行なえる人は少ないとも思っています。

なぜなら、私自身がそれを今まで幾度も経験してきたから。


人は誰かから辛い気持ちを打ち明けられた時、
「励ましてあげたい」
「元気付けてあげたい」
と思うことが多いです。

相手が、家族や大切な人であるならなおさら。


相手を思いやる優しい気持ちはとても大切なことだと私も思っています。


しかし...
その気持ちが強くなると、人は、


「何か言わなくちゃいけない」
「気の利いた言葉を言わなくちゃいけない」

と思ってしまうのかもしれません。


そしてその結果、こう言ってしまうのです。

「私もこんな辛い事があった」

「私の友だちがこんな辛い経験をした」

「世の中にはもっと大変な人もいる」


確かにそうなのかもしれません。


でも、本当に心が辛い人にとって大切なのはそこではないんです。


『ただ、話を聞いて欲しい』


アドバイスも気の利いた言葉も必要ない。
自分の辛い気持ちを、ただただ聞いてもらいたいだけなんです。


共感できなかったとしても、相手の考えてる事がよく分からなかったとしても、


「そうだったんだね」
「辛かったんだね」
「頑張ってきたんだね」


っと、聞いてあげるだけ。

ただそれだけで、辛い状況にある人にとっては泣きたくなるような嬉しさに繋がるのです。


でも「私も辛くて」「世の中にはもっと」っと言われてしまったら、

「あぁ、やっぱり私が甘えてるだけなのかな...」
っと自分を責めてしまうかもしれない。


もう誰にも自分の本当の気持ちを言えなくなってしまうかもしれない。

そして...
一人ぼっちのような気持ち、
どこにも逃げ道がないような暗く重い気持ち、
になってしまうかもしれません。



そもそも、『辛さ』を誰かと比べることに意味はないと私は思います。


だって、その人にしか分からない辛さを、他人と比べることなんて出来るわけないのですから。


だからこそ、

言葉をかけなくても良い。


側にいて手を握ってくれるだけでも良い。


相手の話を聞いてあげる。
ただそれだけで良い。


そんなふうに私は思うのです。



※私が書いた内容はあくまで私の経験上のものであり、世の中には、
「何も聞かずにそっとしておいて欲しい」
「態度だけではなく言葉でも伝えて欲しい」
と思っておられる方ももちろんいらっしゃると思います。
大切なのは、その方が『どんな事を望んでいるのかを見極めてあげること』ではないかと私は思います。




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【ここからは私の過去の経験と今の状態について書いていますが、自分の辛さを吐き出したくて書いただけですので、ご興味のない方はスルーして頂いて全然大丈夫です!】

私は自分の辛い経験や辛い気持ちを周りの人に話す事をほとんどしない人間だった。
「だった」というのは、うつ病になる前の私がそうだったから。
『自分の辛い気持ちは日記帳に書く』
そうやって自分の気持ちを吐き出してきた。


そうは言っても他人に自分の辛さを話したくなってしまう時だってあった。


そんな時、私には勇気がいった。
おそらく幼少期から自分の気持ち、特に消極的な気持ちを言わないように父から抑圧されていたからだと思う。
だから人に自分の気持ちを話す時も私には勇気が必要だったのだ。


そうやって勇気を振り絞って話した事が何度かある。
でも、相手から言われた言葉はこれだった。

「私もこんな辛い事があった」

「私の友だちがこんな辛い経験をした」

「世界には私たちよりも大変な中頑張っている人が沢山いる」


きっと相手は、「何か言って励ましたい」と思ってくれていたのかもしれない。

でも結局は私が聞く側になって終わる事がほとんどだった。

もちろん私も誰かれ構わず話したわけではない。
言い方は悪いが、話す相手はきちんと選んだ。

でも結果はこれだった。



『違うよ...。
アドバイスが欲しかったんじゃない。

ただ...
聞いて欲しかっただけなのに...。』


そうやって私は、ますます自分の気持ちを話す事をしなくなっていった。



そんな私に最後の打撃を与えたのがこれだった。


「あなたが間違っている」


この言葉をそのまま言われた訳ではない。
でも明らかにこの言葉を伝えようとしている言い回しと態度だった。

そしてそれは、私がとても信頼していた人から示されたものだった。



『この事を話すのに私がどれだけの勇気を振り絞ったと思ってるの...?
それに私、間違った事してないよ!
ただ"本当にあった事実"を話しただけだよ?
なのに何で私が悪いみたいに言うの...。』



あの時から私は他人に対して完全に心を閉ざすようになってしまった。

今までの積もり積もってきた経験。
そして何より最後の出来事が、私にとってはあまりにも悲しくて、辛くて、心を潰される経験だったから。



あれから3年経った今も、私は何一つ克服出来ていない。
うつ病になったから、っというのも関係していると思うけれど...。


母と精神科の先生以外には自分の気持ちを話す事をしていないし、他の人と連絡を取る事もしたくない。

人間不信。
今の私はこの状態になってしまったんだと思う。


私の心に深くついた傷は今も治らない。

治る日がいつ来るのかすら分からない。

いや...もしかしたら来ないのかもしれないな...。



...なんだか書いていたら涙が出てしまいました。








うつ病により自宅療養をしているため、サポート頂けましたらとても嬉しく、そしてとても励みになります。