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導入、独り言多めの読書感想文(京極夏彦さん『書楼弔堂待宵』)




 読書感想文は何のためにするか。
 決まってる。「この本面白いから是非読んでほしい」から。
 その理解が正しい間違っている以前に、最低限音に起こすくらいには読み手に影響したもの。それだけのもの、じゃあ何とか共有を促すために必要となる要素を考えた時、自然、その作品のもつ障壁に目がいく。
 烏滸がましさのあまり背筋が凍りそうなのだが、ここは一つ、目的のためにやってやろうじゃないか。


 今回取り上げる作品は京極夏彦さん『書楼弔堂』(←絶対変換してくれないため辞書登録した)シリーズ3作目、『待宵』(←こっちは出てきた)
 嘘でしょ。だったら1から感想文しようやという適切なツッコミはスルー。実は2はしてるけど、まだnote始めたばっかの頃でなかなかに尖ってるからあんま引っ張りたくない。
 この作品、帯に『約六年ぶり、待望のシリーズ第三弾!』って書いてあるんだけど、いやむしろ続きあったんですねレベル。そうそう。一つ文句があって、私1、2巻文庫本で買ってるのね。でも『六年ぶり』な新刊ハードカバーじゃん。文庫本になるまで待つなんて頭ないじゃん。買うじゃん。見てコレ。



左から1、2、3巻



 A型じゃなくてもストレスフルじゃない?
 もう買う前から分かるじゃん。絶対同じ本棚並べないじゃん。
 それでもその場で買わせるだけの力があるってのもまた影響力でしょう。どんだけ俺様なんだよ。話を戻す。


 烏滸がましさのあまり背筋が凍りそうなのだが、この作品のもつ障壁は「入口の壁が高いもしくは重い」こと。そのレベル、ゾルディック家の門がごとく(あくまで個人の意見です)
 表紙からして物々しい。1巻の『破暁』見てよ。一体誰が買うんだよ。販売ターゲットが全く分からん。「完全に身内と化した作家読み」(もはや難病指定)を狙ったものなのだろうが、いかんせん入り口のヘビーが過ぎる。この作品を紹介する前段階として、そうだな同作者の『死ねばいいのに』とか? 
 そもそもまず試食して美味しかったら買うとか、試着して気に入ったら買うとか、そういうリスク回避要素が皆無。嘘。きっとホームページとかではやってる。でもわざわざ見に行かない。勝手に入ってくる媒体がないし、おそらく本人そんな知らせる気もない。え、やってること「やばたにえん」と一緒? そうだわ。だからマニア内で循環する。このマニアのπがでかいのか。ちきしょう立つ背がねえ。

 とにかく。
 私は私の目的、「この本面白いから是非読んでほしい」のために動く。
 何とかして間口を広げるのだ。布教活動かこれは。

 布教活動で思い出した。
 学校で習うことって「正しい」と思うじゃない。そういう意味では学校ってのも一つの宗教に近い気がして。でもいざ大人になってみると結構間違ってることもあって、特に歴史の年号なんかは今尚改訂され続けてて、物事を判断する前提、本当に正しいことなんて誰も分からなくて。
 私にとって京極夏彦さんの作品は教科書で、作品内で、今取り上げた「正しさ」について言及する場面が出てくる。国語、歴史、歴史の中でも文化、宗教。加えて無駄は一切なく、たぶんものすごく削ってこの量。初めての人でも分かるように言葉を丁寧に丁寧に噛み砕いてる。のに、初めての人入って来づらいっていう。
 矛盾が過ぎるのだ。故に「一見とっつきにくいけど、この人本当はすごくやさしいんです!」と一般人Aが首を突っ込んで全力でプロモーションする。ここまでで約1300字。私こそ削ることを覚えるべきだ。


 烏滸がましさのあまり背筋が凍りそうなのだが、高い障壁をどうにかするために、まずは見た目をいじろう。中身も大事だけれど、見た目ありきだからな。本作、エジプトの壁画にありそうな表紙してるが、たぶん本当の魅力はこっちではない。
 思うに、私にとって本作はこっちだ。


どん!
どどん!


 見よ。この坊さんが持ってそうな物々しい雰囲気。
 絶対中身有難いお経並んでるでしょう。絶対ワタシ関係ないでしょう。違う。
 ちょっといじるね。
 例えばファッション性をプラスして、とっつきやすいピンクを添えてみる。



ブラック×サーモンピンク
ブラック×ビビットピンク
ブラック×ローズピンク


 ピンクと言えど色々ある訳で、丁度綺麗にピンクのグラデーションを持っているのがこのシリーズだったので活用させてもらう。ほら、これだけで全然印象変わる。
 続けてペイズリー。これまたファッショナブル(本人至って真面目にやっています)


テニスで爪割れてたの治ったよ


 かと思えば白にも合う。特にこんな透け感のあるレースとの相性はよく、もはや後光が差しているかのようだ。


ふつくしい


 あえての引き算からの足し算。
「何だか持ってるだけで雰囲気あるじゃない」という、なんとなくプラスのイメージになったら私のやっていることは正しかったことになる。ならなかったら両作者がいそうな方角に向けて全力で土下座する。そう、大事なのはイメージ。
 よく分かんないけど好き。これは強い。よく分かんないのに好きなのだ。
 ほんの一瞬の判断で立ち止まるか通り過ぎるかが分かれる。試食のお姉さんは爪楊枝刺したウインナーを受け取ってもらうために。私の場合、続きを読もうと思ってもらうために。


 そのために多少のネタバレを含んだ感想文を作成する。
 全部は取り上げないし、あくまで個人が影響を受けた部分を抽出し、広げたものだ。
 それでも
 1人でも本棚の前で立ち止まる人が増えることを願って。


「導入」「前書き」からの「1」「2」「3」「終わりに」で全6本。
 更新は水、日曜。間に合えば週2、少なくとも週1で上げます。
 よろしければお付き合い下さい。






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