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独り言多めの読書感想文(fさん『真夜中乙女戦争』)


fさん『真夜中乙女戦争』を、読書感想文してみる。

つい2ヶ月前まで「好きなものに猫を入れる人間」が嫌いだった人間がおこがましい……! 

という問題はスルー。だってお題で読書感想文募集してるんだもの。感想だもの。個人の主観だもの。勝手に好きなんだもの。勝手に好きに解釈したっていいじゃない。それが私の愛し方よ。相変わらず前置きが長い。世界平和に必要なのは猫である。以上。



おっと危ない。表題そっちのけで終了してしまうところだった。

この作品がすごいのは、「定期的に読みたくなる周期が来る所」です。

良作は数多くある。あれ良かったなぁと思い直すことも多くある。でも、実際手にとって一から読み直すかと言ったら、そのほとんどがこぼれ落ちてしまう。

その理由として「そんなに暇ではないから」というと良作に失礼だけれども、既存品と比べたら刺激的な新しいものを選ぶに決まってる。AVと同じ。

じゃあ何故「定期的に読みたくなる」のか。それは決して「別格のお気に入りだから」という訳ではない。「お手本にしたい美しい日本語が敷き詰められているから」という訳でもない(作中で『美しい日本語なら三島由紀夫』という表現が出てくるが、私は断然二葉亭四迷派だ)

ヒントは読みやすさ、コスパにある。

羅列される事象。その一つ一つの精度が非常に高い。パン! パン! パン! と的確に中心を射抜いていく様子はまるでやぶさめ。あえて選んでいるであろう、暴力的な表現の数々と合間って、既存品とは思えない新鮮さで脳味噌を刺激してくる。

読みやすい作品、と言うと複数ピックアップされる可能性が高いが、この作品に向けて言う読みやすさとは「尖っていて刺激的、かつ、共感力が高い。一方、きちんと爽快な読了感を得られる」詰まるところ、割いた時間に対してのリターンが大きい。だからやっすい言葉に変換すれば「コスパ最強❤️」となるのだ。

ちなみに、齟齬が生じないよう、すり合わせ目的で「爽快な読了感」というのは私にとって第9章までであり、次の章のタイトル「おまえに好かれるために生きてる訳がねえだろ」までであることを告白しておく。だから同時に「定期的に読みたくなる」範囲はここまでであり、逆にここから先は相当気が向かないと読まない。結末を知っているからこそ、純粋に一番気持ちの良いところで止めておきたい。あとは好きに補完したらいい。だとしても定期的に187ページ読んでるのだ。私なら「相手に思いを伝えるために古来から引き継がれた素晴らしい礼法」というもので対応したい。箕部幹事長許し難し。


そんな訳で「真夜中乙女戦争」個人的に表紙も好き。結構長いこと書店の平台にいたんで覚えてるんです。おこがましくもこの感動、一人で味わうには勿体なさすぎる。

試し読み、最初からでもいいと思うけど、オススメは間に挟まってる黒塗りのページ。それだけでも作品の雰囲気が伝わる気がします。更に言うならその中の「拝啓 東京タワー様」で始まる見開き1ページ。これは単純に愛情表現の仕方が好き。


ここまで読んでいただいてありがとうございました😊うれしい。

あなたの読書ライフが、より実りあるものになりますように✨




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