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【ニール・サイモン編】ハヤカワ演劇文庫50冊を一挙紹介!~本を読んだら劇場へ、舞台を観たら本を手に。~

早川書房は演劇青年だった創業者・早川清の「自由に本が読みたい」という決意のもと、1945年8月15日に設立された出版社です。その創業の志をつなぐ演劇専門レーベル「ハヤカワ演劇文庫」は2006年に創刊。15年にわたり国内外の優れた戯曲をご紹介してきました。そしてハヤカワ文庫50周年にあたる今年、50冊目の演劇文庫「ピーター・シェーファーⅠ」を刊行いたします。この節目に、ハヤカワ演劇文庫の既刊をご紹介!  今回はブロードウェイの喜劇王、ニール・サイモン編。息を詰めて緊密なドラマの展開を追うもよし、詩情あふれる台詞に陶酔するもよし。あなただけの戯曲の楽しみ方を探してみてください。

ニール・サイモン2



1.「ニール・サイモンⅠ おかしな二人」酒井洋子訳

フィリックス 何となくつらくはなくなったな、なんとなく生きていけそうな気がしてきた。
オスカー 生きていくのは明日からにしてくれ。今夜はもう寝ろ。

今日もまた、オスカーの散らかし放題の家にポーカー仲間が集まった。そこへ仲間の一人フィリックスが妻に逃げられたとすっかりしょげて現われた。自殺騒ぎのあげく、やもめ暮らしのオスカー宅での同居が始まった。以来、部屋はきれいに片づき、うまい手料理が用意され、重宝この上ない。が、次第にフィリックスの潔癖症の一挙手一投足が気に障りだし……。ブロードウェイの喜劇王が放つ、軽妙なユーモア満載の傑作戯曲。

本体880円。



2.「ニール・サイモンⅡ サンシャイン・ボーイズ」酒井洋子訳

アル おまえの難点はなんだと思う、ウィリー? いつでもジョークをまじめに取りすぎた。ジョークはただのジョークだったのによ。板の上で喜劇をやって四十三年、一度だって楽しんだとは思えない。
ウィリー 楽しみたけりゃ、切符を買うさ。

人気コメディアンだったウィリーも今はわびしい一人暮らし。甥でマネージャーのベンが珍しく仕事をつかんできた。だがそれは、回顧番組で往年の名コンビぶりを見せるもの。あの憎たらしい相方アルとの共演が必須条件。ベンの必死の説得で渋々練習に入るが、目は合わせない、ちょっとした言葉じりをつかまえ対立する、二人の意地の張り合いはエスカレート、遂に決裂し……。人生の黄昏時を迎えた男たちの姿を、最高のユーモアと哀感をこめて描く傑作戯曲。

本体680円。



3.「ニール・サイモンⅢ ビロクシー・ブルース」鳴海四郎訳

ユジーン そのときぼくは、とても作家にはなれないと思いました。だってデイジー・ハニガンとのこの十分間に感じた幸せを、ぼくはどんな言葉を使ってもとうてい表現できないからです。

この戦争中に、ぼくユジーンは三つの目標を達成すると誓った。それは作家になること、生き残ること、そして、童貞を捨てること! 第二次大戦下の新兵訓練キャンプを舞台に、淡い初恋、初体験、権力との衝突、異なる価値観との対峙を経てたくましく成長する若者たちの姿を、温かいまなざしとたっぷりのユーモアで描く。ブロードウェイ喜劇王の自伝的作品にして青春グラフィティの金字塔。トニー賞受賞作。

解説/一ノ瀬和夫 本体724円。



ニール・サイモン 1927年、ニューヨーク州ブロンクス生まれ。ニューヨーク大学、デンヴァー大学で学び、アメリカ陸軍に入隊、キャンプ内の新聞で執筆を始める。除隊後、兄ダニーとラジオやテレビにコメディを書き始める。やがて活動の場を舞台に移し、61年の「カム・ブロー・ユア・ホーン」でブロードウェイにデビュー。1966~67年には、「おかしな二人」を含む四本が同時にブロードウェイで上演されるほどの人気を呼ぶ。73年の最愛の妻の死からしばらく公私ともに低迷の時期を経たのち、自伝的な「思い出のブライトン・ビーチ」(1983)「ビロクシー・ブルース」(1985)「ブロードウェイ・バウンド」(1986)で“ブロードウェイの喜劇王”として不動の地位を築き、91年には「ヨンカーズ物語」でピュリッツァー賞を受賞。また「おかしな二人」「ビロクシー・ブルース」「ヨンカーズ物語」で三度トニー賞を受賞。『おかしな二人』『裸足で散歩』『グッバイガール』など映画脚本も多い。2018年没。



>第一回【アメリカ現代演劇編】

>第二回【渡辺えり編】

>第三回【フランス近代演劇編】

>第四回【三好十郎と秋元松代編】

>第五回【別役実とケラリーノ・サンドロヴィッチ編】

>第六回【イギリス現代演劇編】

>第七回【群像劇編】

>第八回【岸田國士編】



今後も【ハロルド・ピンター】【アーサー・ミラー】など、随時アップしていきます。

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