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4話 悪い気が入らない鶴喰の地は神仏に守られている

昨年(令和3年9月)、天神様のお堂の補修工事をしているときの話です。

作業も順調に進み、たばくまん(作業の合間の休憩という意味の方言)の時、坂本町に壊滅的な被害をもたらした令和2年7月豪雨が話題になりました。その時、ご婦人Aさんが、「鶴喰は神さんと仏さんに守られるとるもんなぁ。鶴喰に通じ取る道の出入り口にゃ、神さんと仏さんがおらすけん、悪か気が入って来るとば防いどっとたい。」

鶴喰には、合計9か所にお堂や祠があります。これら神仏が、鶴喰に“悪い気”が進入してくるのを防いでいると言われています。

  • 上/中鶴共同・・堂さん(観音菩薩、地蔵菩薩、毘沙門店天)、天神さん、山ん神さん

  • 上鶴・・お大さん

  • 中鶴・・お大さん

  • 下鶴・・お大さん、堂さん、天神さん、山ん神さん

筆者は昭和29年生まれ。2022年で68歳になります。来し方を振り返って見ると、確かに大きな災害に見舞われた記憶がありません。

令和2年7月の豪雨。球磨川流域は壊滅状態になり、球磨川から離れた地域でも、球磨川支流やその支流に注ぐ谷川が大きく被災しました。一方、鶴喰は、球磨川の支流となる鶴喰川に合流する川筋でこそ田畑への冠水がありましたが、その被害は軽微でした。

鶴喰は四方を山で囲まれて、大きく5つの道で外の地域と繋がっています。神仏のお堂や祠を地図に落とし込んでみると、なるほど、それぞれ道の出入口にはお堂や祠が建てられています。

きれいに配置されたお堂や祠を、昔の人達が意図して建立したのかどうかは分かりません。しかし、結果として、“悪い気”が鶴喰に進入しようとしても、神仏の力によって払われているということをこれまでの事象が証明しているに思われます。


《消滅の危機が迫る集落を食べて応援》


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