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牛乳か相談だ

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牛乳ができるまでの十勝の牧場のとある日常をご紹介。牧場で働く前に読むと、どんな仕事なのか、牛乳の選び方等もわかります。
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2021年6月の記事一覧

あたしゃ、出て行かないよ!

あたしゃ、出て行かないよ!

来月、育成からの分娩予定が多いので一気に4頭が廃用になることに。

最長老も近頃また自力で立てない日が増えてきたので、出て行くことになった。

3頭はスムーズに載せることができたが、最後に残した長老は全く立つ気がない。

結局トラックにも乗せられないまま。

もう後ろ足が踏ん張れないんです。

とりあえず、牛舎の元の位置に戻ってくれる
だけでもいいけど、それもダメ。

さて、どうしようかねー。

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ほんのちょっと牛に気持ちが通じた瞬間

ほんのちょっと牛に気持ちが通じた瞬間

先日、根本から外れたので溶接したばかりの牛舎

別の牛で同じ状況になったので溶接作業を依頼した。

作業中は牛を移動させることにしたのだが、近くの通路で繋ぐだけ。

移動はほとんどないので牛も僕も楽ちん。

牛と気持ちが通じる瞬間柱にロープを結んで遠くに行けないようにして、牛の目の前で様子見。
その間に、溶接作業が進んでいく。その光を見てビビる牛。
じっと、僕の目を見る。
「ダイジョブ、ダイジョブ

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牛の歯、上には無いんだよ。

牛の歯、上には無いんだよ。

治療薬のネオルノーゲンがそっと置いてある時、僕達は

「あー、ケトーか。。。」

とすぐ分かる。

ケトージス(通称ケトー)は搾乳牛によく起きる病気で、エサを食べなくなるのですぐに見つかります。

口に手を突っ込んでも大体安心な訳牛にこの薬を飲ませる時

僕は一旦手を口に突っ込んで、口を開けた時に薬を一気に飲ませます。(一応、注意しながらですよ)

手を突っ込んでも大丈夫なの? って思いますが大丈

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ロールを見てジッと悩む朝

ロールを見てジッと悩む朝

今朝、この牧草ロールを開けてからしばらく悩んだ。

色を見ると傷んでいるのがなんとなく分かる状態。

搾乳牛へやるにはちょっと心許ない。

悩んだら安全な方へこういう判断に悩む時は安全な方を選ぶ。

もしこれを給餌して牛が体調を崩したら獣医さんにかかったり投薬で出荷できなくなるなど、マイナス要素の方が大きい。

搾乳牛に与えにくい牧草は育成や乾乳にいる牛に与えるといいところだけ食べて悪いところは残

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分娩後は何かと起きるもので。。

分娩後は何かと起きるもので。。

2日前、こんなにギンギンの目をしていた彼女

分娩後の低カル(体内のカルシウム分が低い)になって全く立ち上がれない。

金具から外して

後もバンクリーナーを塞がないように鉄板を敷いてとりあえず治療することに

何よりも水を飲ませる餌を食べられない状態でも口元にバケツで水を持っていくことでとりあえず水を飲ませる。

飲んでくれるうちはまだ元気あるのでもう少し治療続けて治ってくれるのを待つ。

なん

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「イマ、やる」が牧場仕事の理

「イマ、やる」が牧場仕事の理

写真の牛、カメラ向けるとやたらと寄ってくる(・_・;

暇だし、遊びたいんだろうねえ。

スタンチョン(金具)が遊んでる朝、餌を与えてると金具がはずれた牛を発見。

取り付け金具部分からいっちゃってるので、溶接作業しなきゃ直せない。

気づいたその時に動く牧場ではこうしたトラブルがいつどこで起きるかわからない。 だから、頼まれ事や気付いた作業は可能な限り「イマ、やる」こと。これが基本。

いま牛舎

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乳牛の餌、最初から混ぜるのが一般的

乳牛の餌、最初から混ぜるのが一般的

道の駅でたまたま配送中だったこの真っ赤な機械。

一体なんでしょう・・・・?

TMRが一般的な給餌方法TMR=(total mixed rations:完全混合飼料)。乳牛の養分要求量に合うように牧草などの粗飼料、トウモロコシなどの濃厚飼料の他、ミネラル、ビタミンなど必要な養分をすべて混合し、給餌する方式です。「フリーストール」「フリーバーン」では、ほぼこの方式が採用さられています。
※引用元は

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搾らせてたまるか!!って言われても・・・

搾らせてたまるか!!って言われても・・・

昨日の夕方に分娩したこの牛。
予定日が6月3日だったので最後には獣医さんに薬を打ってもらってようやく分娩。 でも、母子ともに問題なかったので何より何より。

哺乳用の搾乳は4日間分娩直後の生乳は、”初乳”と言って通常とは成分が異なるので出荷できません。

5日目からは出荷できるのですが、乳房炎や血乳になっている可能性も少なからずあるので、必ず乳質検査を出荷前まで毎日行います。

おとなしい牛、やか

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み、水をくれ。。。。

み、水をくれ。。。。

牛がいつでも水を飲みたい時に飲める仕組み。

ウォーターカップ。

このベロを押すと下にある弁が押されて水が出てきます。

水が出ていない?夕方の搾乳を進めていた時、なんとなく違和感を感じたので搾っている牛の前にあるウォーターカップを確認してみると水が出てこない。

他の場所もいくつか確認していくとどうやら貯水槽から遠いところだけ水圧が低くて水が届かない様子。

水は酪農で最も切らしちゃいけないも

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搾乳は「想像力」の訓練です

搾乳は「想像力」の訓練です

今朝は搾乳担当できる1日。

搾乳時の緊張感と仕事している感覚が大好きなので、搾乳の機械のスイッチを入れ、コンプレッサーが動き始めると自分にもスイッチが入る。

常に次を想像するいま目の前で搾る牛に集中するのは当然だけど、それ以上に大切なのは「想像力」。

・次、どの牛を搾るか
・バケット(出荷しない)の牛はいつ搾る?
・パートナー側の搾乳はどんな状況か
・いつ頃今の牛が搾り終わるか
・外でいまど

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牛乳は何で作られるの?

牛乳は何で作られるの?

僕達の牧場で搾乳牛に与えている餌は

・牧草(1番)
・デントコーンサイレージ
・配合飼料(非遺伝子組換え)
・塩
・水(飲み放題)

これだけ。

至ってシンプル。

これらを使って、胃の中で大量の微生物を飼育(!)し、繊維質を消化し、タンパク質源として微生物達を吸収する。

このあたりの若い牛たちは、ようやく胃袋がちゃんとできあがってきて牧草も美味しそうに食べてくれます。

今朝も無事に、バル

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選手交代! 乾乳&分娩入れ替わり

選手交代! 乾乳&分娩入れ替わり

乾乳牛は2ヶ月のバカンスへ分娩日から2ヶ月前ぐらいの牛は乳もほぼ出なくなるので「乾乳」にして軟膏を乳頭に入れて休養期間に入ります。今日は2頭を乾乳に。 軟膏を入れたら牛舎から出して乾乳舎へ連れて行きます

むこうの端っこから繋いで引っ張ります。毎回牛のダッシュ力に引っ張られるのでなかなかの体力勝負です。

まもなく分娩の牛と入れ替わる外に出したその場所に乾乳舎から分娩の近い牛を連れてきます。 こち

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超優等生のおばあちゃん牛

超優等生のおばあちゃん牛

以前から時々登場しているこの牛は牧場一のベテラン牛。

1年1産で乳量も多い乳牛は1年1産のサイクルで

分娩→出産→搾乳→妊娠

この流れが作れるのがベストと言われます。

これは牛の台帳。 ほぼ毎年のように分娩し、仔牛も元気に出産。乳量もちゃんと出るとても優秀な牛です。

昨日から立てなくなってきた(泣)ところが、ここ数日自分で立ち上がれない時が見られるようになってきた。診療で診てもらったけど

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1日1本。 いい牛乳の源です

1日1本。 いい牛乳の源です

今年の牧草収穫真っ最中

ひろーいスペースにまだこれぐらい(汗)。

収穫しているNさんに聞いてみるとまだ3分の1ぐらいとのこと。

切るか伸ばすか、晴れるか雨か。好天の続いた先週なら一気に収穫できたのですがえまだ少し伸びが甘かった。

そして今週は天気がずっとイマイチなので切り込んだ後に乾燥させるのが難しい。

なかなか思い通りには行きませんが、どこかでタイミングを見て集荷始めると思います。

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