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J2ライバルチームを考える~上位候補3チーム~

ライバルチームのオフ動向と今年の展望を考えるシリーズ。前回は優勝候補に推す3チームを挙げたが、今回はそのチームたちに限りなくほど近い、各メディアでも優勝候補に推されているような3チームについて考えていく。

■ジュビロ磐田

◆監督:鈴木政一

山雅とほぼ同じタイミングでフベロ監督からチームを引き継ぎ、沈んでいたチームを立て直す。遠藤システムの構築やゴン中山のコーチ就任などフベロ体制では実現しにくかったチーム作りをできた一方、離れていった選手も少なくなく、成功かどうかは外のチームからは判断出来ない複雑な状況。何としても早めに結果を残したいという意志はより伝わってくる。

◆主なIN:大津、鈴木雄、鹿沼、ゴンザレスなど

予想より大人しめのオフとなった。しかし、大津や鈴木雄など即戦力級はしっかりと確保。J3から獲得した鹿沼も適応は早く、遠藤との補完性も良さそう。志村の抜けたGKの補強がこれからあるのかどうか……。

◆主なOUT:上原、中野、櫻内、宮崎、ムサエフなど

フベロ体制で輝きを放っていたベテランや生え抜き選手を複数放出。鈴木体制で出番が少なかった選手を入れ替え、良く言えば戦力的にはスリムになった。核の遠藤や小川、ルキアン、伊藤らをチームに残せたのは好材料。

◆ブレイク候補:森岡陸(法政大→)

磐田ユース時代に伊藤洋とともにトップチームに登録されていたこともあり、去年2月にはすでに内定が発表されていた期待のルーキー。天皇杯ではガンバ大阪相手にゴールを奪い、完封勝利をあげた経験も。キャンプでは3バックを試している磐田だが、CBは怪我人も少なくない。早めの定着もありえる。

◆勝手に予想布陣

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◆今年の展望

タレント力のみを見るとJ2でも1、2を争うレベル。各ポジションに実績と経験のある選手を揃えていて、特に遠藤保のレンタルを延長できたのは継続性・チーム内への影響などあらゆる面で大きかった。

監督も続投しており、上位には安定して入ってきそうな地力はある。が、昨季は終盤にかけてFWが足りなくなったり、勝ちきれない期間が続いたりしたため、絶対的な軸となるストライカーの確立がさらに上を狙うには必要不可欠になってくる。ルキアン、小川、ゴンザレスと高いレベルの選手はいるので、後は得点王を争うだけの結果を残したい。

そして、昨季途中から怪我人も少なくない模様。そんな中で絶対的な存在感を放つ遠藤や怪我がちな今野、大津らが年間フル稼働できるかは微妙なところで、放出選手の多さが響く可能性も。コンディションを安定させられるかどうかは不安要素になってきそう。

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■ヴァンフォーレ甲府

◆監督:伊藤彰

甲府で3年目の指揮。一昨年は5位、去年は4位と安定して昇格争いに絡む成績を残しており、自身のやりたいポゼッションサッカーと伝統の堅守速攻のカウンターアタックをうまく織り交ぜている印象がある。3度目の正直なるか。

◆主なOUT:ドゥドゥ、バホス、内田、武田、今津など

日本でも実績のある高給の外国人を放出。ベテランも入れ替え、売れる選手は売ったのはコロナ禍の他のチーム同様だが甲府にとってはある意味平常運転。それでもドゥドゥを手放さなければならなかったのは痛いかもしれない。

◆主なIN:三平、金井、野津田、有田、リラなど

フリーやレンタルで移籍金を抑えながらJ2ではトップレベルになりうるタレントを獲得。チーム力の低下を感じさせないのはさすが。またそこに須貝や鳥海、長谷川ら即戦力級の大卒ルーキーも控える。誤算があるとしたら掘り出し物を狙って探し当てたであろうブラジル人FWが揃って出遅れる点。

◆ブレイク候補:須貝英大(明治大→)

J2全体の注目選手に挙げた鳥海芳樹は以前語ったのでこちらでは明大からのルーキー須貝を挙げる。大学5冠を達成した3年次は、去年J1でブレイクした森下(鳥栖→名古屋)とポジションを争い、今年度は名門のキャプテンとしてチームを引っ張ってきた。残念ながら12月の骨折で開幕には間に合わないが、大卒の登竜門となっている甲府では昨季すでにデビュー済み。J1クラスのタレントになるのは時間の問題と言っていい。

◆勝手に予想布陣

甲府

◆今年の展望

3バックをベースにしながら、ピッチのメンバーを変えることなく4バックへと可変できるだけの積み上げやメンバーは整い、柔軟性や配置の幅広さでいうとトップ5の中でも随一。新体制発表会でも伊藤監督・佐久間GMともに可変に対応できる編成にする点は共通のキーワードとして挙げており、相手に応じて形を変えながらゲームを支配するサッカーはより強化されそう。

新加入も適応はそれほど苦労しそうではない面々だが、主力が抜けてるのもまた事実。まずは泉澤や中村、新井あたりの既存主力メンバーと三平金井野津田あたりの新戦力がどれだけ早く融合できるかは焦点に。そこからルーキー組や遅れてくる外国人たちの上積み次第では去年(4位)超えも見えてくる。

個人的な優勝候補3チームにあげなかった点は得点面。まだ20点近く計算できるタレントは現時点では見当たらないので、誰かが大きく飛躍するかチーム全体でカバーは必要になってきそう。

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■町田ゼルビア

◆監督:ポポビッチ

町田2年目。相馬監督の残した遺産と自身のスタイルをうまく組み合わせながらうまいことチーム作りをしていた印象だが結果としては19位。なかなか日本で結果を残せていない。とあるサイトのデータからも分かるようにスタメン固定度が2位から大きく離して圧倒的。日程は緩和されるといっても昨年からこの点は改善されないと……という気はしている。

◆主なOUT:秋元、小田逸、安藤瑞、ジョンチュングン、大谷など

レギュラークラスは小田、安藤、(怪我がちだったが)ジョンチュングン。ダメージとしてはそれほど大きくないはずだが、GKでは秋元・廣末・渡辺の3人がチームを離れたことで2人体勢でスタートしているのは早急な改善が必要かもしれない。

◆主なIN:鄭大世、ドゥドゥ、長谷川アーリア、三鬼、高橋祥など

町田史上、未だかつてないほどの大型補強に成功。ウタカの1億オファーでJ2界隈を騒がせたが、その分鄭大世、ドゥドゥの獲得でお釣りがくる。その他も長谷川・アーリア・ジャスールの獲得、水本や高江の完全移籍移行、三鬼の復帰など驚きの補強も多く、戦力面ではJ2でも上位チームになっている。

◆ブレイク候補:太田修介(甲府→)

昨季甲府で頭角を現したスピードスター。一瞬の加速力があり、抜け出しからのシュートがうまいというイメージがあるが、町田加入後早くもTMで結果を残している模様。育成から在籍してきた甲府からの移籍がどちらに転ぶか。

◆勝手に予想布陣

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◆今年の展望

昨季との違いはやはり攻撃面。去年は得点数41とリーグワースト4位だった。DF、DH陣が去年のベースになりそうなことを考えると、攻撃で得点数を20点程度上げ、守備の時間も減らすことで失点数も改善していく方針になりそう。

その鍵になりそうなのはチャンスメイカー・平戸と佐野、高江の去年の鉄板コンビ。地上戦のみならず、今年はロングボールを当てても収められる攻撃陣が加わったが、ビルドアップで苦しくなった時でもそこ一辺倒になることなく、できるだけ後ろが主体となって、ゴール前で彼らの持ち味を生かせるかは上位を争う上でのポイント。

また上に書いたスタメン固定化の改善の鍵を握りそうなのがポポビッチからの信頼も厚いであろう、新戦力の長谷川アーリアジャスール。昨季は出番がなかったが、前線ならどのポジションでも高いレベルでこなせすことができ、周りを生かすのもうまい。先に挙げた若手たちの助けや代わりにもなるはずなのでどこで彼を使うかだけでも違いを生み出すことができるのではないか。ただし、ネックなのは彼自身が怪我などでなかなか年間フル稼働ができていない点になってきそう。

去年の成績や不安要素から現時点でのトップ5には入れなかったが、ここ2~3年での成長度を考えると初昇格も遠くはない予感はさせている。

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開幕まであと10日を切った。


……間に合わない。

END


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