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【フィリーズレビュー(G2)回顧~その先へ】血統篇

【フィリーズレビューの結果】
レースは、先団の後ろを追走したシングザットソング(1人気)が、最後の直線コースで抜け出し、追い込んだムーンプローブ(7人気)にクビ差をつけ優勝。さらにクビ差の3着にジューンオレンジ(11人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、まず優勝したのが1人気馬なので8年連続敗退が崩れた。ただ、2着7人気馬、3着11人気馬なので、「6番人気以下の穴馬が大活躍」は継続。さらに、優勝馬(前走1600㍍)が該当する「前走から距離短縮馬に注目」も継続。

血統面からみると、「Seattle Slewの持続力が活きる傾向」から1着、3着馬が該当(他出走馬18頭中5頭)。さらに、父ハーツクライ系となると3着馬のみ該当。そして、父か母父がロベルト系は該当馬が2、3着(他出走馬18頭中2頭)。

【血統傾向からわかる事柄】(過去5年)
①芝1200㍍志向の強い1400㍍戦になる!
 (マイル志向のある馬はチューリップ賞に流れる)
                       (近3年は前半3F33秒台のハイペース)
*スピードに対応できる血統は軽視できない!? 
父ディープインパクト系 単勝オッズ30倍未満 [0-2-2-5]
母父ミスプロ系 単勝オッズ30倍未満 [2-0-2-2]
母系にBlushing Groom持ち 前走芝1400㍍以上で5着以内 [1-0-3-2]

②一番重要なのは「スタミナ血統」と「距離経験」 
*芝1200㍍戦並みのハイペースだが、実際は1400㍍戦で、後の直線には急坂もあるのでラストはきつくなる。
*芝1200㍍戦に実績がある馬はバテて、1600㍍戦経験があってスタミナ血統も持つ馬が相対的に浮上してくる!
父ハーツクライ系 芝1600㍍勝ち経験馬 [2-0-0-0]
父か母父がロベルト系 芝1600㍍勝ち経験馬 [2-1-1-2]

③フルゲートになると求められるタフさが増す!
母系にNever Bend系持ち Shirley Heights 持ち [3-0-0-4]

近5年1着〜3着の父、母父の系統
2023年
1着父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父ミスプロ系/米
2着父モーリス(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
3着父ジャスタウェイ(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧

2022年
1着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ロベルト系/欧
2着父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着父キズナ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米

2021年
1着父モーリス(ロベルト系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着父スクワートルスクワート(ミスプロ系/米)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米

2020年
1着父ジャスタウェイ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ロベルト系/米
3着父スクリーンヒーロー(ロベルト系/欧)×母父ロベルト系/欧

2019年
1着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
1着父ルアーヴル(ナスルーラ系/欧)×母父ナスルーラ系/欧
3着父キンシャサノキセキ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米

【血 統 背 景】

シングザットソング(牝3、栗東・高野友和)は、父ドゥラメンテ×母ザガールインザットソング(母父My Golden Song)。母ザガールインザットソングは輸入繁殖。現役時代はラ・カナダS(GⅡ・ダート8.5F)を勝利している実績馬。とはいえ4代母Bel Shebaを根幹とするファミリーは活力があり、米二冠馬Alysheba、英スプリントGⅠ・2勝のQuiet Reflectionなどが出ている。母の叔父がAJCCとアルゼンチン共和国杯勝ちのマチカネキンノホシで日本の競馬ファンにも馴染みのある牝系。成長曲線はゆったり目でスタミナとスピードがある馬が多いのが特徴。本馬もまだまだ幼い大味なレースが続いているが、素質の片りんは見せている。

前走のエルフィンS(リステッド・中京・芝1600㍍)は、スタートから行き脚がつかず最後方からの競馬。直線も馬群の大外からの追い上げとなりスムーズさを欠いたが、末脚を伸ばして3着を確保した。メンバー中最速の上がり3ハロン33秒2(推定)をマークしたものの、逃け馬がそのまま勝ったように展開も合わなかった。ちなみに、2着(クビ差)のコナコーストが先週のチューリッブ賞で2着に好走。デビューから3戦全てでメンバー中最速の推定上がり3ハロンをマーク、末脚の破壊力が光る。脚質から展開に左右されやすい面はあるものの、直線では確実に脚を伸ばしてくるだけに期待したい!?

同レースで勝った同馬は、向正面終わりから4コーナーにかけて600~1000mが23.7と若干緩んだなか、4角を4番手で回り先行して押し切った。とはいえ、ほかの先行勢は8着ポリーフォリアが最高で、他は軒並みふた桁着順、同馬の粘り腰は恵まれたわけではない。ドゥラメンテ産駒は父のイメージ以上に操縦性に優れた馬が多く同馬も、ハイペースで前に行っても息を整えられる操縦性の高さにあるだけに、次走・桜花賞(芝1600㍍)本番でも十分にチャンスが活かされる!!

ムーンブローブ(牝3、栗東・上村洋行)は、父モーリス×母スマイリングムーン(母父フジキセキ)。母スマイリングムーンはJRA4勝(ダ1200-1400)。母母スプレッドスマイルはJRA3勝。牝祖ダンスオアプランスからはボードオヴガヴァナーズH(米G3・ダ8.5F)のスウィンギンスウェイなどが出る。モーリス×フジキセキはホウオウリアリティなどと同じ。母方の北米スピードでフワッと先行する手堅いマイラーで、未勝利-白菊賞と阪神外マイル戦を連勝してここに挑む。相手は一気に強化されるので、正攻法のレースでどこまで通用するか。

デビュー2戦目となった3走前の未勝利(阪神・芝1600㍍)では、楽な手応えで先行集団に取りつき、じっくりと脚をためた。直線で追い出しを開始されると、鋭く反応して力強く抜け出し、そのまま押し切り勝ち。前々走の1勝クラス・白菊賞(阪神・芝1600㍍)も、先行策から直線で抜け出して2勝目をマークした。G1への挑戦となった前走の阪神ジュベナイルフィリーズこそ17着に敗れたが、高い能力を堅実に伝える母系だけに見限れない!?

同馬は、阪神JFではハイペースを強気に攻めて17着。この経験が今回活きたのか、中団追走から鋭く伸びた。次走(桜花賞:芝1600㍍)、再度の距離延長でリズムをとれるかどうか??

ジューンオレンジ(牝3、栗東・長谷川浩大)は、父ジャスタウェイ×母アドマイヤサブリナ(母父シンボリクリスエス)。同馬の曽祖母ツィンクルブライドは、オグリローマンが勝った1994年桜花賞で12番人気2着と波乱を演じている。2歳上の兄ジューンベロシティ(牡、父ロードカナロア)は現役2勝。3代母のツィンクルブライド(父リファール)は、94年桜花賞でオグリローマンの2着馬。

冬の小倉開幕週芝1200mで未勝利を勝ち、前走かささぎ賞は前後半600m33.4-34.9のハイペースを出遅れて後方から差して5着。先行、逃げで決まり、決着時計1:08.3のスピードレースの経験が同レースで活かされた。半兄ジューンベロシティは小倉芝1200m2勝、障害2勝(小倉と福島)、小倉で行われた今年の春麗ジャンプSで2着に入った小倉巧者。 

同馬が、次走(桜花賞:芝1600㍍)距離延長で壁に当たったとしても、夏の小倉で距離短縮(芝1400㍍以下)なら見直したい??

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