【事例紹介】福岡のIoTスタートアップyoctoが東京・丸の内で体験会を実施するまで
HAX Tokyoではアクセラレーションプログラム以外にも、さまざまな形でスタートアップを支援しています。その事例として、IoTヨガマットを開発する「yocto(ヨクト)」を紹介します。
yoctoは福岡県福岡市に本社を置くスタートアップです。現在開発中の「yoctoMat(ヨクトマット)」は、ヨガ用のマットに重圧センサーや通信モジュールが備わったIoTデバイスで、マットにかかる加重などを計測することでヨガの動きを視覚化、データ化できます。2022年10月19日にβ版を発表し、現在はヨガ教室事業者への導入と並行して、量産に向けた準備を進めています。
β版リリースから5日後の10月24日はHAX Tokyoの拠点であり、住友商事が運営するイノベーションラボ「MIRAI LAB PALETTE」で体験会を実施しました。代表取締役の河野敬文氏はβ版リリースにこぎつけるまで、さまざまなハードルを乗り越えてきたと振り返ります。yoctoとHAX Tokyoの関わりについてオンラインでインタビューしました。
――HAX Tokyoにコンタクトするまでの経緯について教えてください
河野氏（以下省略）：私たちが拠点としている福岡でも、さまざまなアクセラレーションプログラムがあるのですが、ハードウェアスタートアップ向けのプログラムの数は限られていました。HAX Tokyoは普段お世話になっているコミュニティマネージャーの方が「IoTに特化していて、オンラインで参加できるプログラムが東京にある」ということで紹介を受けたのがきっかけでした。
そこからオンラインの座学講習に参加したり、メンタリングを受けながらβ版リリースに向けた準備を進めることができました。MIRAI LAB PALETTEでの体験会もHAX Tokyoとつながったからこそ実現できた取組でした。
――HAX Tokyoに参加して、どういった点が役に立ちましたか？
私はソフトウェアエンジニア出身で、ハードウェア開発に対する知見が無い状態からヨガマットの開発をスタートさせました。その際に最も苦労したのはソフトウェア開発とハードウェア開発の違いでした。工場とのやり取りで使用する言葉や商慣習も異なり、これまでやりとりに非常に苦労してきました。
HAX Tokyoではディレクターの市村さん（市村慶信氏）がメンターとして、相談に乗っていただいたのですが、今後量産を進める上で前もって準備するべきことなど、全てのアドバイスが的確で驚きました。
工場との契約や発注のポイントからトラブルが起きることを想定したリスク管理、ハードウェア開発の商慣習に至るまで、ハードウェア開発をする上で必要な情報が得られました。それまでは「何がわからないのか」がわからない状態でしたが、今後開発を進める上で起きうることを提示しながら、必要な対策やノウハウなどをアドバイスいただいて非常に助かりました。
今となっては、IoT系のスタートアップは全員HAX Tokyoに行ったほうがいいと自信をもって言えます。
――先日はHAX Tokyoも入居するMIRAI LAB PALETTEで体験会も実施されましたね。
体験会では男性ユーザーからのフィードバックが多く得られて、非常に有意義な時間になりました。ヨガ業界は女性ユーザーが圧倒的に多く、これまでも実証実験として女性ユーザーからの意見を収集していましたが、男性ユーザーの声はなかなか集められていませんでした。
体験会ではデザイン面の課題や収集したデータの活用方法に対する示唆など、さまざまなフィードバックが得られました。HAX Tokyoとつながっていなければ、都内で体験会を実施する機会も得られなかったと思いますので、非常に感謝しています。
――現在は量産に向けて準備を進めているとのことですが、今後の計画について教えてください
現在、国内のヨガ教室事業者と商談を進めていて、半年以内の導入を目指しています。1年後には日本国内だけでなく、北米や東南アジアでの販売も視野に入れています。
現状はセンサーを搭載したIoTヨガマットを開発していますが、スマートウォッチで収集したデータなどをかけ合わせて、ユーザー個々のライフスタイルに沿ったトレーニングメニューをアプリ上で受けられるようなサービスも考えています。更にその先の展開として、介護業界やスポーツ業界など更に市場規模が大きな業界への展開も目指しています。
※yoctoMatはyoctoの登録商標です。
スタートアップからの相談にこたえるオフサイトイベントを開催しています
HAX Tokyoでは起業予定の方や既にスタートアップとして活動されている方、ハードウェア・スタートアップとの事業開発に興味がある大企業の皆様向けに、カジュアルな相談会を実施しています。
相談会ではHAX Tokyoでスタートアップをメンタリングするディレクターやメンター、大企業とスタートアップをつなぐHAX Tokyoスタッフが聞き手となり、大企業との連携のコツや試作開発の進め方、創業期の事業開発など、さまざまな相談をお受けします。
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