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世界中の鉱山に安全を提供するRockMass Technologiesがシードラウンドで2億円を調達

本記事はHAXの公式ブログ「RockMass Technologies Raises $2.5M CAD To Continue Bringing Digital, Safe Technologies To Mines Around The World」を翻訳したものです。

デジタルデータを活用した鉱山解析技術によって掘削作業をより速く、より安全にするHAX卒業生(2017年度)のスタートアップRockMass Technologies(以下、RockMass社)は、シードラウンドで250万カナダドル(約2億1700万円)を調達しました。
調達した資金はグローバルへ進出を目的に、地質学者や地質工学エンジニアに製品を提供するほか、同社が開発するツールを鉱山業界の主要ソフトウェアと連携するための投資にあてるとしています。

地下1km以上の掘削現場は、真っ暗闇の中で湿度が高く、粉塵が舞うなど、技術的に厳しい環境です。岩肌の検査は目視が一般的で、ほとんどのエンジニアは岩盤を至近距離でチェックして手書きでメモを取っています。この作業工程は時間がかかり、正確性にも欠けるため、意思決定の遅延や、記録した内容の不正確さから年間数百万ドルの損害を鉱山会社に与える可能性があるとされています。

RockMass社のソリューションは、コンピュータビジョンやロボット工学などの最先端技術を駆使して、より安全で効率的な採掘環境を実現しています。同社の代表的な製品であるAxis Mapperは、ハードウェアとソフトウェアを搭載した業界では初となる携帯型ツールで、地下の構造的な方向性や地質などのデータを数秒で測定できます。より実用的なデータによって、採掘作業の効率と安全性を大幅に向上させることができるのです。

RockMass社の製品は、南グリーンランドのAEX GoldのNalunaqプロジェクトをはじめ、世界中の地下採掘事業で使用されています。「Axis Mapperは直感的で、迅速かつ安全に寄与するデータ収集が容易にできます。今後のプロジェクトでもAxis Mapperを使用したいと思います」 と、Golder社※の鉱山地質工学のリーダーであるXander Gwynn氏は評価しています。

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CEO兼共同設立者のShelby Yee氏は金・卑金属の大手企業との連携は非常にエキサイティングだと語っています。
「当社が2020年に開始したパイロット・プログラムにはカナダ、米国、ブラジル、ペルー、グリーンランドから、当初の定員を超える応募がありました。鉱業市場は引き続き堅調で、特に貴金属部門が好調です。鉱山では、生産を維持しながら地下で作業に当たる人員削減を目的に、デジタルによるデータ収集・記録量を増やす必要がありました。私たちはこうした市場環境に対して優れた立場にあります」(Shelby氏)
新しい分野に進出するために、RockMass社は世界的な大手インフラ企業であるRocscience社※と提携しました。この提携によって、データ取得から分析までのシームレスな体験を提供しています。
「当社ではソフトウェアを通じた価値提供を常に模索しています。その、具体的な目標の1つに『より効率的かつ効果的なデータ分析を実現する革新的機能の実装』がありました。RockMass社との提携は、この目標達成に確実に貢献するでしょう」 とRocscienceのCEOであるThamer Yacoub氏は述べています。

RockMass社の調達総額は350万ドル(約3.8億円)となります。シードラウンドの参加者はSOSV, BDC※に加え、Maple Leaf Angels、Creative Destruction Labといった戦略的エンジェル投資家たちです。
「BDCキャピタルのブリッジ・ファイナンス・プログラムは、COVID-19の影響を受ける可能性の高い企業に追加資金を提供するために設立されました。このプログラムは、他の投資家とともに、革新的な鉱山会社を支援し、女性起業家が率いる有望なハイテク企業の成長に貢献する機会を与えてくれました」と"BDCキャピタルのExecutive Vice PresidentであるJérôme Nyczは述べています。
RockMassの創設者であるShelby Yee氏とMatthew Gubasta氏は先日、Forbesの 「30 Under 30 in Manufacturing and Industry」 にも選ばれました。彼らはCreative Destruction LabやHAX、Next Canada、DMZの卒業生でもあります。


RockMass Technologies
RockMass Technologies(本社:カナダ・トロント)は2016年に設立。同社の製品はクイーンズ大学の博士論文をベースとしています。同社のミッションは、一貫性のある正確な地質データへのアクセスを産業界に提供し、さまざまな産業分野においてモデルの不確実性を低減し、コストを削減することです。

※ Golder
1960年に設立され、全世界に155以上のオフィスを持つ従業員所有のグローバル組織です。技術的な卓越性、革新的なソリューション、および受賞歴のあるクライアントサービスを通じて、地球、環境、エネルギーなどの専門分野でコンサルティング、設計、および建設サービスを提供しています。現在では、石油・ガス、鉱業、製造業、電力、インフラなど、世界の主要産業と開発の推進力を代表する企業との取引があります。

※RocScience
1996年に設立されたRocscience社は、土木エンジニア、鉱山エンジニア、地質工学エンジニア向けの22Dおよび3Dソフトウェア開発の世界的リーダーです。20年以上にわたり、最先端の研究を基に最高の地質工学ソフトウェアを開発してきました。同社のエンジニアは、信頼性が高く使いやすいソフトウェアを持つことの重要性を理解し、クライアントに適した専門的なソリューションを作成するために、プログラムを継続的に改善しています。

※BDC
BDC Capitalは、カナダの起業家向け銀行BDCの投資部門です。30億ドル以上を運用しているBDCキャピタルは、この国で最も革新的な企業の戦略的パートナーとしての役割を果たしています。シード投資からグロースエクイティまで、あらゆる種類の資金を企業に提供し、世界進出するという野心を持ったカナダの起業家を支援しています。


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