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TomyK鎌田氏に聞く--オンラインのデモやピッチで心がけるべきこと

新型コロナの影響を受け、リモートイベントやオンライン商談など、ビジネスにおけるコミュニケーションの環境も変化しています。リモートは移動コストの削減や対面による感染リスクの回避といったメリットがある一方で、開発している製品をじかに見せられないなど、ハードウェア・スタートアップにとっては不利な面もあります。

ニューノーマル時代において、スタートアップはどのようなデモを披露すべきなのでしょうか。HAX Tokyoのアドバイザーで、投資家として多くのスタートアップを支援する鎌田富久氏に伺いました。

10回失敗してもいい、デモ映像は最高の1回を

−−新型コロナの影響でスタートアップが直接投資家にピッチする機会も減っているそうですね。オンラインでのピッチを聞く側として、起業家へのアドバイスはありますか?

私は基本的にデモを見ないと投資しないし、PowerPointのスライドだけ見てもワクワクしません。ピッチでは対面での強い説得力の有無も重要です。オンラインであっても、創業者がどれだけ事業に対して本気なのか、どんな苦労を重ねているのかといったリアリティのある現場感を盛り込むことが大切だと思います。

先日、HAX TokyoのBatch 2に採択されたスタートアップ5社と1on1で面談した際も、「デモデイでは感動する何かを盛り込んで欲しい」と伝えました。シードステージのスタートアップは創業して間もないので、綿密な事業計画よりも、何か一つ突き抜けたものを披露して、私たちを驚かせてほしいですね。

オンラインでのデモデイの利点は、オフラインよりも多くの人たちが集まるので、より多くの潜在顧客に自分たちの可能性をアピールできる点です。

自分たちの技術と向き合ってきた創業者は、今できることの限界もわかっているので、現状から飛躍したヴィジョンを語ることに遠慮しがちです。それでも現時点で実現していることは、最終的に解決したい社会課題の第一歩であるという気持ちで、大きなストーリーを見せて欲しいと思います。

−−投資家や事業会社へのプレゼンで、シード期のスタートアップが気をつけることはありますか?

第一印象が大事ということに尽きます。やはり、最初にあったときの印象というのは、後々になっても残るので、「とりあえず会いに行く」というスタンスでドアをノックするのは、お勧めしません。

デモの内容も驚くような要素や感動するものであってほしいですね。期待以上の何かがあって、それを見た人が周りに話して口コミで広がるような内容が理想です。ダメな部分があったとしても、これまで全くできなかったことができるとか、既存のモノと比較して「すごく早い」とか「ものすごく精度が高い」といった突き抜けたものが一つでもあればいい。それを可能性のある市場に応用すればいいわけですから。

−−鎌田さんが過去に投資されたスタートアップで、印象に残っているデモはありますか?

ハードウェア・スタートアップで言えば、エレファンテックのデモは記憶に残っています。
改造した市販のインクジェットプリンターから印刷された絵に電気が流れるというデモを彼らは手際よくスムーズに披露したのを今でも覚えています。後で話を聞くと、会う前に入念に準備を重ねていたようで、最初の1回目から勝負を決めるという点では、素晴らしいデモだったと思います。

−−対面でのデモは失敗が許されないので、入念な準備が必要ですよね

逆を言えば、映像で披露するデモは最高のパフォーマンスが取れるまで何度でも取り直していいと思います。SNSで話題になるようなロボットの歩行デモも、1回の成功の裏に何十回、何百回と失敗しているものです。ただし、フェイクやCGはダメです。あくまで自分たちの技術のリアルな可能性を示すのが目的です。

実際、現時点での成功率が10回に1回でも良いんです。その成功確率を100%に実現することで、社会課題が解決したり、大きな市場へ応用できるというストーリーが伝われば、投資家や事業会社にとっては支援する価値があるわけです。オンラインでデモ映像を披露する機会も増えていますが、ワクワクさせるものを見せてほしいですね。

※記事上の写真…TomyK 鎌田富久氏とHAX Tokyoチームの橋本、石川(右から左

(取材、文、撮影:越智岳人

※写真は、取材後の約1分間ほどの時間で撮影したもので、本編は、ソーシャルディスタンス、換気、消毒などに十分な配慮をして行いました。

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HAX TokyoはSOSV、SCSK、住友商事の共同運営による、ハードウェアに特化したアクセラレータープログラムです。 シードステージのスタートアップの成長を加速する3ヶ月間のプログラムを提供しています。 https://www.hax.tokyo/
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