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短歌ふたたび

著者:六甲茂子(ロコモコ)

ハワイにはいくつか短歌や俳句のグループがあります。その一つ、「ハワイ短歌会」に数年間所属していたことがあります。

月に一度集まって、それぞれ作った短歌を持ち寄って、色々と批評し合うのは楽しく、時には思い切り凹まされたり、びっくりするような気付きがあったりと、毎回良い感じの刺激を受けたものでした。

グループに入ったのは、ほんの偶然でした。私が働いていた新聞社に毎回送られてくる機関紙を読んで、衝動的に、そこにあった電話番号にかけてみたのです。何故だかはわかりません。当時は仕事を3つもしていて毎日忙しく、できるかどうかもわからなかったのですが、日本文化に飢えていたのだと思います。

電話をしたところ、とても良い感じの女性が、丁寧に会の案内をしてくださいました。奇しくもその週の日曜日に集会があると言うので、知った人は一人も居ないけれど、訪ねてみることにしたのです。

訪ねてみると、メンバーは皆様かなりのご年配で90歳超の方もいらっしゃいました。煮ても焼いても食えない中年の私が最若手だったのにはびっくりしましたが、皆様の笑顔に背中を押されて、その日のうちに入会してしまったのでした。

そこで嫌と言うほど気付かされたのは、私の詠む歌は技巧にばかり走って、人の心を打たないと言う事でした。ええカッコしいの浅い歌だったのです。

私は傲慢なところがあり、自分が意識が高い(笑)ぐらいに思って、ひねりが効いている(と自分では思っていた)ややオシャレ系の歌を数首投稿したのです。

ところが批評で得たのは「わかりにくい」との声ばかり。

短歌とはシンプルな心の叫びであり、まるで目で見るように現実的で、状況がわかるべきもの。それを踏まえた上で、自分らしさを加味していくものだ、と。

一人でずっとええカッコしいの歌ばかり詠んできたんだと言う事を、嫌と言うほど気付かされました。

そして一見素朴な年配の人々の歌をじっくり読んでみると、その背後から熱く溢れ出てくるような皆さんの心の有り様と、胸が痛くなるような望郷の念、豊かな日本の美しさに目から鱗がポロポロと。

一人で詠んでいるばかりでは到底気づけなかった事でした。

短歌って面白い!

全く新しいチャレンジにワクワクしつつ、かなり熱心に頑張ったのですが、やはり時間のなさと、義母の介護との両立の難しさ。日本の家族の健康状態などが相俟って、どうにもこうにもならず、退会してしまいました。

その後も短歌への想いはたち切り難く、一人でNoteに発表したりしていたのですが、やはり誰からも批評されないとはさびしいもの。いつしか歌を詠むこともなくなってしまいました。

…と、長い前置きになってしまいましたが、昨日嬉しい事があったのです。

数年ぶりに短歌会の会長さんから連絡があり、最近はリモートで短歌会を行っているので、ぜひ戻って来ませんか? と。

忘れかけていた短歌への想いが再燃し、時は奇しくも文学の秋! 感謝を込めて出戻らせていただく事にしました。今度は細く長くずっと続けられれば良いな♪

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