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ハワイに骨を埋めるか否か

著者:六甲茂子(ロコモコ)

できるだけあっさりと書こうとは思うのですが、今日はちょっと重い話かもしれません。また仕事に関連する部分には守秘義務がありますので、かなり曖昧な表現となっております事をご了承ください。

私達の事務所に持ち込まれる依頼は、ビジネス関連からビザ取得、遺産相続等幅広いのですが、たまにあるのが、ハワイに住む遠いご親戚や旧友がお亡くなりになったらしく、「突然英語で連絡が来たのですが、どうしたら良いですか?」と、言う日本からの相談。いわゆる「孤独死」と呼ばれる案件です。

ハワイには何万人と言う日本出身の日本人が住んでいます。日系4世や5世の人々とは違い、「新一世」と呼ばれるこれらの人々は、ハワイにたくさん親戚がいる訳もなく、成功して豊かな暮らしをしている人々も多い反面、ひっそりと一人で慎ましく暮らしておられる方々も多いのです。

定年後は日本に戻るという選択をされる方も大勢おられます。が、家族や親戚との交流がない場合、家族や親戚がすでに居られない場合など、日本帰国にメリットが見出せず、ハワイに骨を埋める場合も多々あるでしょう。

ハワイの高齢者施設は軒並み非常に高価で、コンドミニアムの様な素敵な施設には、いわゆる富裕層の方しか入ることができません。その他の選択肢としては、一般の方が自宅で行なっているシニアケア施設などを選ぶこともできますが、当然日本語は通じず、英語が苦手な方にはハードルが高いものとなっています。

家族と同居できる場合は良いのですが、例え結婚されていても、配偶者が亡くなった後は、親戚との交流が途絶える事はよくある事です。

そのような場合、アパートで一人暮らしをされ、ある日変わり果てた姿で発見され、私物の中から連絡先を探し、例えその方が日本に住む遠い親戚や友人であったとしても、連絡が行くというわけです。

その後、お亡くなりになった方の口座を調べたり、アパートのクリーニング代を支払ったり、遺留品の処分、領事館への連絡など、多数の事務処理が必要になります。そのための金額が口座にない場合も多々あるのです。

このような依頼があるたびに、英語の書類を日本語に翻訳しながら、胸が締め付けられるような気持ちになります。自分だってそうなるかも知れない…と。

私は今、米系の法律事務所で毎日英語で仕事をしていますが、歳を取ったら英語を忘れてしまうかも知れません。皆より長く生きてしまった場合、周りに友人や知り合いが誰も残っていないかもしれません。

本日のタイトルは「ハワイに骨を埋めるか否か」としましたが、私の場合、夫はハワイ出身ですし、日本にはもう実家も無いしで、ほぼ8割がたはハワイに骨を埋めるつもりでいます。

まだまだ遠い先の話ではありますが、いざというときの為に、金銭関係をはじめ、自分が死んだ時どうしたいかと言うエステート・プランニング(遺産計画)を早めに作成しておくことが重要かと思われます。

あとは、例え少しでも人との繋がりを大切にし、どのような形であれコミュニティに属しておくことも大切ですよね。健康に留意するのはもちろんのこと。

海外に住むと言う事には、楽しくワクワクするような大冒険と言う一面もありますが、選択肢によっては、かなりの茨の道が延々と続くことになるのです。でもそのような中、できるだけきちんと人生を全うしたいと思う今日この頃です。

などと言いつつも、まあ人の一生はなるようにしかならないのですから、ぼちぼちいきましょうね♪



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