マガジンのカバー画像

杏ワイルダー

43
家族、ご近所さん、友だち、仕事仲間…私のホノルルライフに登場する愛すべき人たちとのお話。
運営しているクリエイター

記事一覧

さらば、ハワイ報知

さらば、ハワイ報知

著者:杏ワイルダー

たった今、最後の翻訳原稿を編集部に送った。

1912年12月7日創刊の日本語日刊新聞「ハワイ報知」が明日、12月7日付の発行を以て廃刊する。

1998年2月に編集部員として入社した私は、2013年8月に退職したあとも、在宅で記事を翻訳するなど、今日まで編集業務に携わってきた。

ハワイ報知への採用が決まると、すぐにヤングストリートにあった「岩瀬書店」に飛んで行き、辞書を数

もっとみる
ラハイナのピアス

ラハイナのピアス

著者:杏ワイルダー

8月8日。

あの日は私の誕生日だった。

夕食後に、バースデーケーキのろうそくの火を吹き消しているときには、あの美しいラハイナの町が、激しく燃え上がる炎に包まれているとは、夢にも思わなかった。

30数年前、私の誕生日のお祝いに、当時ボーイフレンドだった夫が、サプライズでマウイ島日帰り旅行に連れていってくれた。

朝6時前にとつぜん「出かけるぞ〜」と迎えにきて、私は化粧もせ

もっとみる
物価高騰で自家栽培に挑戦

物価高騰で自家栽培に挑戦

著者:杏ワイルダー

最近、ズボンがきつくなり、血液検査で血糖値が高めと注意された夫が、糖質制限ダイエットに取り組んでいます。

大好きな白米を「週末だけ食べる」(結局食べるんだな)と決意し、その代わりに野菜をたっぷり食べると宣言。でも根っからの野菜嫌い。食べられるのがブロッコリー、ほうれん草、にんじんなど、あまりないのです。

そんな中でもやしは「楽しく食べられる」そうで、最近よく買っているので

もっとみる
ひと言

ひと言

著者:杏ワイルダー

先週、定期検診で採血をしてくれた看護師さんから「その鞄、いいですね」と褒められました。朝から採血だ、と気が重かったのですが、彼女のひと言でハッピーになりました。

その後に健康チェックをしてくれた看護師さんからも、検温のときに「ピアスが素敵」と褒められまして、もうこの日は終日気分が良かったです。

大学入学前にハワイ大学の語学研修プログラムを受講するため、3月下旬にわが家に2

もっとみる
エプロンおばさん

エプロンおばさん

著者:杏ワイルダー

先月、高校生の娘が、青少年リーダーシップ・トレーニングプログラムに参加するため、ペンシルバニア州フィラデルフィアに行ってきたのですが、現地から彼女が送ってくる写真は、映画『ロッキー』の銅像と一緒に両手を挙げているものや、ロッキーグッズが所狭しと並ぶお土産屋さんの店内で撮ったもの、さらにはあの有名な階段を走っている動画などばかりで、「ロッキーの研究に行ったのか」と、思わずにはい

もっとみる
38分間

38分間

著者:杏ワイルダー

先週からオアフ島各地の映画館で「20 minutes (20分)」が上映されています。

2018年1月13日、ハワイに向けて弾道ミサイルが発射されたとの誤報が発信され、住民を震撼させた大騒動をもとにした作品です。私はまだ観ていませんが、映画では実際に弾道ミサイルが発射され、「余命20分」ということを悟った12人の人生がどうなっていくかが描かれているそうです。

あの日、警報

もっとみる
第2ボタンに代わるハワイの卒業生からの贈り物

第2ボタンに代わるハワイの卒業生からの贈り物

著者:杏ワイルダー

3月といえば、日本は卒業シーズンですね。斉藤由貴ちゃんが歌っていた「制服の胸のボタンを下級生たちにねだられ…」という、日本の伝統行事は今でも行われているのでしょうか。確か制服の第二ボタンには「1番大切な人」という意味があり、人気のある男子のボタンをめぐる女子たちの争奪戦は凄まじかったです。

ここハワイでは、というよりアメリカの卒業式では、ボタンの争奪戦などありません。制服が

もっとみる
輝くマラサダ

輝くマラサダ

著者:杏ワイルダー

娘の学校で毎年恒例となっている募金集めのイベントが先週末、2日間にわたって催されました。

毎年、高校2年生が中心となって企画、運営にあたり、彼らの父兄は馬車馬のように働かなくてはなりません。

娘は今年高校2年生。ついに恐れていた時がやってきました。私と夫は2日間、仕事も家事もほったらかして、ひたすらマラサダを作り続けました。

イベントは午前11時から午後11時までで、ボ

もっとみる
娘よ、ごめん。そしてサンキュー

娘よ、ごめん。そしてサンキュー

著者:杏ワイルダー

夕飯の後片付けを済ませ、さて録画しておいた朝ドラでも観るか、とリモコンを取ろうとしたところで、「明日の授業で発表する宿題のスピーチを聞いて」と、娘がパソコンを手にやってきました。

テーマは「日本と私」。へえ〜、どんなことを書いたのかな、と興味津々で耳を澄ましていましたら、冒頭からショッキングな内容で、私を不安にさせました。

「小学校4年生の時から、私には自分の部屋がありま

もっとみる
私のTikTokチャレンジ

私のTikTokチャレンジ

著者:杏ワイルダー

最近全米の若者の間で流行中という「TikTokチャレンジ動画」。

先日、ティーンエージャーの娘に教えてもらった「お母さんメイクオーバーチャレンジ」はとっても面白かったです。

このチャレンジは、ファッションに無関心のお母さんを娘がおしゃれに変身させ、モデルがランウェイを歩くように、カメラの前に登場させるというもの。

カメラの前に現れたお疲れ気味のお母さまたちは、ピッチピチ

もっとみる
ご近所付き合い 〜暗黙のルール〜

ご近所付き合い 〜暗黙のルール〜

著:杏ワイルダー

日本の友だちやホームステイする学生さんがわが家に到着したとき、決まって驚きます。「家の前の通りに駐車していいの!?」って。

そういえば、日本では住宅街の通りに駐車するなんて考えられませんからね。売るほどたくさん実をつけている近所の家のマンゴーの木より、路上駐車のほうが驚きだったようです。

さて、わが家の近辺では路上駐車をめぐって、最近モヤモヤが発生しています。

どのスペー

もっとみる
あけましておめでとうございます・パート4

あけましておめでとうございます・パート4

著:杏ワイルダー

本年もどうぞよろしくお願い致します。

新年を前に「来年はブログがんばるぞ〜!」とみんなで誓い合いました。

実はその前に、私は強力な助っ人から「来年は夢の実現に向かってがんばれよ」と背中をガッツリ押され、「もう前に進むしかない」という状況に追い込まれています。

2014年からホストファミリーとして日本などから留学生をわが家にお迎えして、生活全般をサポートしていることは、以前

もっとみる
憧れの暮らし

憧れの暮らし

著者: 杏ワイルダー

私がずっと憧れていた「暮らし」が現実のものとなりました。

きのうの午後、向かいの奥さんから送られてきた短いテキストメッセージ…

「Do you have an egg I can borrow please?」(卵あったら1個借りていい?)

すぐに「Sure!」と返事をし、スキップしながら冷蔵庫に卵を取りに。

ずっと憧れていました。

「ちょっとお味噌を切らしちゃっ

もっとみる
命の恩人

命の恩人

娘は大変ないたずらっ子でございまして、被害者はたいてい私。

去年の私の誕生日には、これまで撮った(ほとんど隠し撮り)動画や写真を編集したバースデーカードならぬ、「バースデービデオ」を贈ってくれたのですが、これが笑えぬほどひどかった。

ソファーでうたた寝しているところや、寝っ転がってアホ面でスマホをいじっているところ、天丼を前にそれはそれは嬉しそうな私のにやけ顔など、とても喜べないバースデービデ

もっとみる