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女子は「最低限の結果」 パシフィック・アジアカーリング選手権

中国・深圳で9日まで開催されていたパシフィック・アジアカーリング選手権は、男女とも決勝進出を果たしたが、男子は韓国に、女子は中国に敗れ、ともに準優勝という結果に終わった。中部電力が日本代表として出場した女子を振り返る。

DSCの精度で予選1位をゲット!

8ヵ国が出場した女子は、予選で日本・中国・韓国の三つ巴の争いとなり、日本が中国に敗れたものの韓国には勝ち、韓国は中国に勝つという三すくみになった。その他の国からは星を落とさず1敗で並んだ3ヵ国は順位決定がDSCに持ち込まれ、その結果韓国に2.53cmの差で1位通過を決めた。
準決勝で1位と4位、2位と3位が戦い、勝者が決勝へ進む方式のため、準決勝で中韓と当たらないことが重要だった。なぜなら、上位2ヵ国が世界選手権の出場権を得るため、決勝に勝ち上がることがいわば中部電力に与えられた最低限のタスクだったからだ。
1位になればラクな相手と戦えて、決勝進出を決めやすい。予選最終戦のLSDで、松村選手が16.5cm、北澤選手が8.0cmという素晴らしい精度のドローショットを放ち、DSC1位を決めて集中力の高さを誇示した。
しかしながら、準決勝は香港に3エンドで2点スチールされて一時逆転されるなど、思わぬ抵抗に遭い苦戦。だが、4エンドに3点獲得して再逆転すると、5エンドから3連続スチールし、7エンドの4点でダメを押して12-5と最終的には大差勝ち。
この準決勝が7日夜で、決勝は9日昼前から(現地時間)。もう一方の準決勝は8日だった。連日試合となるもう1つの準決勝の勝者に比べ、中1日開いて休養がとれるぶん、日程的に日本が有利ではと思われた。

決勝は予想外の大差に・・・

しかし、試合はご存知の通り序盤から厳しい戦いになった。後攻中国の1エンドは途中までブランクになりそうだったが、フォース北澤選手がスルーをするなどミスが重なり2点を奪われてスタート。
2エンドは日本が後攻だったが、北澤選手のラストストーンの曲がりが予想以上に強くなってガードに当たってしまい、中国が2点スチールし0-4という意外な展開になった。
3エンドは1点取らされた形だが、ラストストーンも右にロールしていってちょっとびっくりした。まともに当ててその場にステイでいい場面で(ロールしすぎたらNo2になるところ)、北澤選手の微妙なズレが直らなかった。
5エンド終了時点
中国22022
日本00100
4エンドに2点奪われたのち、5エンドも2点スチールされた。1-8で前半終了となったが、苦戦ぶりが5エンド終了時点での北澤選手のショット成功率40%という数字に表れていた。これは北澤選手個人だけではなく、チームとしてアイスリーディングがうまくいかず後手を踏み、結果的にフォースが難しいショットを選択せざるを得なかったことにもよる。
6エンドもスチールされかねない形だったが、ラストストーンを北澤選手が決めて、なんとか1点を確保。7エンドで中国がまた2点を加え、8エンドも1点どまり。ここでコンシードして中国の優勝が決まった。

★女子決勝
中国🇨🇳
22022 020XX∥10
00100 101XX∥3
日本🇯🇵

🏆中国は5年ぶり8回目の優勝
🥈日本
🥉韓国

中国と日本は世界選手権出場決定
韓国、④香港は世界最終予選へ

日本は決勝で大苦戦。大会が進むにつれて徐々に滑りが良くなってきたというカーラーもいたが、深圳は例年より気温が高めでシートに霜がよく降りた。
1日休みがあった間に氷の状態が変化したのかもしれない。準決勝以降は5つあるうちの真ん中のシートをテレビ中継用のシートとして固定していたが、そこで前日にも試合をこなしていた中国のほうが、氷の変化を読み取れていた可能性はある。
最終的には日本は準優勝という結果に終わった。

帰国後の記者会見でスキップの中嶋選手は「2位で悔しいけど、枠を取るという最低限の目標は達成できた」と語っていたそうだが、やはり最大目標は優勝だったはず。正直決勝でここまで差が広くとは思わなかった。何をやってもうまくいかない"BAD DAY"だったのかもしれないが、それが決勝ではなく準決勝に訪れていたらゾッとする。それでも香港が相手ならなんとかなったかもしれないが、中国が相手だったら……。その意味でも、DSCで1位となったのはとても大きかったわけだ。

日本選手権は間違いなくハイレベルな戦いに

中部電力の健闘で、日本は世界選手権の切符を手に入れた。ここで勘違いしてはいけないのは、あくまで「日本が」出場権を得たのであり、中部電力が世界選手権に行けることが決まったわけではないということだ。
来年2月8日〜16日の「第37回 全農 日本カーリング選手権大会」の優勝チームに出場権が与えられる。中部電力も、ここで優勝を争い、出場権を勝ち取らなければならない。
11月10日付のランキングで日本チーム最高の7位に位置するロコ・ソラーレ、同10位でシーズン中の新メンバー募集が話題をよんでいる北海道銀行フォルティウス、さらに日本時間の12日朝が最終日だったカナダの大会で優勝したチーム富士急も35位からさらに順位をあげてくるだろう。
ランキング的には中部電力は現在18位で、国内3番手。これは海外の大会の出場頻度の差もあるが、やはり自分たちが国内トップという自負があるだろうし、12月の軽井沢国際、年明けのヨーロッパ遠征を経て最高のコンディションで日本選手権を迎えるはずだ。
今シーズンもまた、軽井沢国際、そして日本選手権と、国内で熱戦が繰りひろげられる。これを見逃す手はない。毎年、「今年は格段に面白い」「今年はこれまでにない熱い戦い」などとボジョレーヌーボーかのように言っているが、今シーズンも間違いなく味わいある濃厚なバトルが見られるだろう。
国別ランキングでは、日本は現在5位まで上昇している。その立役者はもちろん切磋琢磨を続ける4強だが、他にも経験を積み、力をつけているチームは複数いるし、ジュニアに伸び盛りのチームも目立つ。ハイレベルな日本選手権を制覇して世界選手権の出場権をつかむのはどのチームか、前哨戦や海外大会の戦いぶりも含めて目が離せない。


地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。