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コントロールできないことに、一喜一憂しない

この画像の猫をごらんください。コントロールできる気がしませんよね?

見えないウイルスと一緒に、みえない不安も拡がる今ですが、同じことです。コントロールできないことに対して精神を浪費しないようにしましょう。あなたの心は貴重な資源なのですから。

はい以上です、さようなら

・・・

(ちょっとだけ説明しときます)

「不安度」のグラフ (1/15-2/25)

日本社会の不安を可視化すべく、ネット検索数の推移を「不安度」のグラフに見立ててみよう。Google Trendsで「コロナウイルス」「コロナ」「マスク」の3語を、検索が増え始めた1/15からデータが取れた最新2/25まで。(2/28更新)

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1つめの山は、1/20ダイヤモンド・プリンセス横浜寄港、1/24-30中国の春節、関連しての移動制限など開始時。まだ好奇心ベースな検索かと思われ、国会も2/17には「桜を見る会」で盛り上がっていた。

2/17東京マラソン一般部門中止、2/19岩田健太郎神戸大教授のDP船内動画公開、と続き、おそらく2/19が心理的な転換点。翌2/20に第一ピークを超えた。2/25にはIOC有力委員が五輪中止シナリオを警告し、検索ボリュームも不安レベルも、やはり急増していた。

「見えない不安」と「検査」

見えない恐怖がチラチラ見えるのは怖い。「コロナウイルスを検査しろ」という声が一時強かったのも、不安を解消したい心理の現れだろう。

不安に駆られて「検査してくれ」という人にとって、医学とは、

「検査して白黒つける→黒なら薬もらったり入院して治す」

といった、いわば義務教育的な「正解」のある世界観にあるのだろう。

しかし、現代科学とはそんな簡単ではない。今回行われているPCR検査とは、ウイルスの遺伝子の性質を実験しながら推定しにいくような作業をする。精度が低いし、医療現場での合理性も低い。統計学では「ベイズ統計」に分類され、「検査」というより「推定」といったほうが正確かもしれない。

つまり、マクロ統計として社会全体のざっくりな傾向を掴むことはできても、個々人の「不安の解消」にはつながらない。

だから専門家の方針を肌感覚として理解できなくなってしまう。(参考:お医者さんの連続ツイートより)

※2/26昼のBuzzFwwd岩永直子編集長による聖路加国際病院坂本史衣氏インタビューで決着がついた気がする。(公開10時間で約150万Viewsと大拡散中)

結局、僕らは不確かな中を進むしかないのだ。ただし心は安らかにね。

「マイナス情報」と「ストーリー」

政府がこのことをきちんと説明していない(気がする)のは、マイナスな情報を出して不安に陥らせたくない配慮なのか、叩かれ過ぎて揚げ足とられる情報を出したくない恐怖心なのか、睡眠不足で疲弊しているのか、いろいろ事情はあるんだろう。しかし。

現在のマイナスも、将来のビジョンと共に示せば、ストーリーになる。

対策本部にも参加される高山義浩医師の説明は、初期からとてもわかりやすい。限られた情報の中、正確とは限らないのは当然だけど、少なくともなぜ政府がこうしているのか、ストーリー性をもって、その意図を理解できる。

僕の今時点でのざっくりな印象として、ここまで日本の「医療現場での対応」は、大きな方向としては、まあまあ正しいように見受けられる。そう思い始めたのはこの数日のこと、当初は疑問の方が多かった。高山医師などの良質な発信のおかげでもある。

実行と広報は別。なぜそうしているのか、納得できる公式説明は、引き続きなされていない。それができる彼のような人を正式な報道官なり副大臣なりで登用してほしいものだ。彼のFacebook投稿も1日たってシェア数は1万に満たず、届いていない人が圧倒的に多い。日本国内でも、海外に対しても。

「強い言葉」への逃避

このように不安をコントロールできない状況では、強い言葉で他者を攻撃する行動があちこちで見られる。たぶん、不安を解消したいから。強い言葉を使うことで、自分が強い立場にあると自己確認できる(気がする)から。

この心理構造は、場合によっては、「イジメ」とも共通しないかな? それは時に、自分自身の弱さをネットを通じて全世界に公開するような行為ですらあるかもしれない。

そんな「強がりたい弱者」を従えたい一部の"専門家"(というブランドを利用する商人)が、この心理を利用して意図して強い言葉で扇動することも多い。

改善すべき点はもちろん指摘するべき。とはいえ、それどころではないのが非常事態だ。SNS上の「正論」(ぽくみえるもの)には、現場のリアルや優先順位を無視した空論も目立つ。

※SNSでそんな投稿が目立ったとしたら、その責任はあなた自身にあります。フォローを外せば解決するのに、していないのだから。

ちょっと想像してもらいたい。叩いてるその向こう側には、生身の人間がいるということを。政府のような「遠くの強者」は強い言葉で叩くのに都合がよいのだけど。9年前の震災では、官邸中枢で働いていた僕の同級生が2ヶ月後にハードにダウンして大変だった。療養を経て無事復帰できてよかったけど。

だから、今回の結論:

「コントロールできること」に集中する

コントロールできないもの、予測不能なものについても、考えて備えておくことは有益だけど、そこに感情のリソースまで吸い取られてはいけない。意識・感情を向けるのは、コントロールできるもの=自分の行動でなにかを変えられるものだけでいい。

では、何だったらコントロールできるのか?

上記高山医師の2/26投稿は、知人の医師も絶賛するわかりやすさ、全文を読んでいただきたい。

❝ このウイルスの感染力は必ずしも強くはありません。少なくとも、インフルエンザほどは強くない。 〜 もっとも効率的に感染を引き起こしているのは、ドアノブや手すり、トイレなどに付着していたウイルスに触れて、その手を目鼻口の粘膜に付着させること ❞

明確。感染者の接触状況の追跡調査をふまえた現状説明だ。

この結論は、意外と少ない感染者数(※低精度の検査結果ではなく、実際に肺炎を起こしている重症患者数)からも、確度が高いように思われる。

追記:TOKYO2021 ?無観客2020?

大阪大学感染制御学の森井大一氏・朝野和典氏の日経メディカル2020年2月26日寄稿がわかりやすい。

現状分析:

「国内での感染者急増は不可避 2009年2000万人に迫る規模の感染になる可能性 今後数年でおそらく大多数の日本人が一度は新型コロナウイルスに感染 社会の中に既感染者が増えることで集団免疫が構築される 対策はピークを可能な限り低く後ろにずらす」

終息の見込み:

「季節性インフルエンザは毎年11月〜4月頃 夏季に流行が起こったのは2009年だけ 半年前後に終息 SARSは2002年末から2003年5月頃まで約6カ月 新型コロナウイルスは南半球での疫学状況や1年を通しての流行状況が今後どのように推移するかを今しばらく見守る必要」

東京五輪がどうなるか? 世界から集まり散ってゆく性質上、日本だけ対策できてもダメ。

好材料として、1ヶ月くらい引きこもればコントロール可能になるシナリオはあり、中国は徹底対策のおかげでスタバ店舗も再開できるようになった。

ワクチンは米Moderna社がさっそく開発し、米国政府(NIH)が臨床試験に着手、バイオ工場は量産体制を整える準備中。ただここから月単位で時間が必要だろうし、副作用なども予想されるわけで、判断基準の5月末では間に合わないだろう。

地域的に、中国は好転したが、アメリカ・南半球など海外の動向はこれからだ。

総合的に、今夏は「幸運にも開催される可能性はある」くらいでは? シナリオは2本並行。※無観客開催を含めれば3本。

出場レベルのアスリートたちにとってはメンタル的にも厳しい状況だけど、結局ここも「コントロールできることに集中する」ほかない。この夏でも、限定的な形での競技会の開催可能性などもありえて、7月に向けてピークを作って行く意義は当然ある。

この危機を乗り越えてのパフォーマンスには特別な価値が生まれるだろう。厳しいけど、がんばってほしい。

スポーツジムの危険性

このnoteをお読みのみなさんには、スポーツジムが関係しそうだ。実は危険ゾーン。

顔の汗とか無意識に触りやすいから、注意しよう。こういうマスクならその心配はいらない。(別の心配をされる)

プールは、水中は塩素殺菌されるが、出た後のシャワー、ロッカーにリスクがあるだろう。

高山医師は日帰り温泉について、「感染者は鼻汁や咳嗽で環境を継続的に汚染します。身体を洗えば(微生物学的な意味で)清潔になるわけではない」とコメントで補足されている。この点で温泉と共通するはず。

とはいえトライアスロンなら泳ぎたいわけで、ロッカーの使い方、服のしまい方(ナイロン袋に収めていれるとか)、トイレの使い方、など入念にしていただきたい。リスク箇所に触ったら、顔に触れない。マスクを付ける(=新品交換)時にも注意。

結局、手洗いという基本に行き着く。

なお猫には伝染らないそうです。


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