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地域CL決勝ラウンド最終日レポート

地域CL決勝ラウンドは24日、最終戦が行われた。いわきと福井は1ー1の引き分け、高知とお京都は3ー1で高知が勝利。これによりいわきの地域CL優勝と高知のJFL昇格内定が決まった。いわきと高知は12月5日に行われるJFL理事会において昇格の可否が正式に決定する。


いわき1ー1福井

寸評:朝から降りしきる雨の中行われた一戦は痛み分けに終わった。序盤から濡れたピッチに両チーム苦戦する場面が見られたものの、徐々に持ち前のスタイルを発揮し始める。既に敗退の決まっている福井はこれまでの硬さが嘘のようにのびのびとしたサッカーを見せ、28分にCKのこぼれ球を中筋が押し込み先制する。優勝に向け反撃に出たいいわきだが赤星の負傷交代もあり無得点で折り返した。しかし、後半立ち上がりにバスケスバイロンが左からのクロスに合わせ同点に追いつく。意地を見せたい福井は途中交代の金村が前線で体を張りながら攻め込んでいくがネットを揺らせない。一方のいわきは球際や走力で相手に上回られる場面も見受けられ、勝ち越し点を奪えず。試合は引き分けに終わったが、勝ち点1を積み上げたいわきの地域CL優勝が決まった。

福井ユナイテッドFC:望月一仁監督
「昇格は無いですがこのまま帰れないという気持ちで選手も意地を出したと思います。来季に向かっての一歩は踏んだと思います。全体を通すといわきのペースだったかもしれないですけど、勇気を持って繋げるところは繋いでというところはちょっとは出せたと思います。スリッピー(なピッチ)でもしっかりサッカーをやりたい。繋ぐところはしっかり繋いで。繋ぐのを目的になっていた場面が前の2試合あったので、そこはちょっと違うよという話で。繋ぐところと長いボールを入れて押し込むところと、使い分けながらうちのスタイルが出ればと思っていました」
Q.ハーフタイムの指示は?
「スタートの15分、そこはもっとシンプルにという話をした。そこで誤算が(あった)。自分たちのペースになっていたので、イケイケで行っちゃった。あれをしっかり、ああいう奪われ方をしないで(ほしかった)。カウンターのような状況を作ってしまった。あれがまだ浸透してない、チームとして成熟してないところかなと思います。あれさえ無ければうちのペースで最後まで行けたのかなと思います」
Q.失点後の戦い方について。
「真ん中で収まらなかったので収まる選手を入れた。点を取って結果を出したかった。勝ちに行ったんですけど残念ながら引き分けてしまいました」
Q.JFL昇格を決めたいわきFCからどんなことを学べましたか?
「縦に速くてハッキリしてる、スピード感のあるサッカーをするので、それに対して自分たちもしっかり準備の段階や切り替えのところ、球際のところは頑張っていきたいと(思っていた)。それが上がっていかない限りは相手にならないと思うので、そこがちょっとは対応できたのかなと思います。攻撃の質のところのクオリティでカウンターを食らってやられましたけど、あそこがやっぱりキチッとできないと勝てないなというのはより選手も感じてくれてる。そこのクオリティを上げるための一工夫二工夫を1年間でもう一度積み上げていってほしいと思います」
Q.選手の硬さや焦りは取れていましたか?
「プレッシャーの中でというと中々テクニックのところが(落ちる)。結局プレッシャーを感じて周りが見えなくてテクニックが(落ちる)。そこが一番質のところが落ちる。守備、ボールを蹴って前に蹴り出すようなプレッシャーを少しでも軽減するようなサッカーも必要だと思う。ただ、うちはそれだけを求めるのではなく、プレッシャーの中で質を上げられるというところをもっと求めていきたい。また、それが福井のサッカーだというところを見せたかった。(この決勝ラウンドで)福井のサッカーは見せられなかった。でも、最後は選手が意地出して多少片鱗を見せてくれたと思います」

いわきFC:田村雄三監督
「日曜日ということもあって沢山の人に来ていただいて、ホームみたいな雰囲気を作っていただいた。結果的に勝利することはできなかったんですけども、勝ち点1を得たということで首位に立った。選手が本当によくやったと思います。うちより福井さんの方がポゼッションしたかったと思うので、(雨のピッチは)福井さんにとっては不利だったのかなと思います。水たまりがあるところと無いところもあった。でも、3日間通して良い状況、良いスタジアム、良いグラウンドでできたと思います」
Q.赤星選手の怪我について。
「赤星が起点を作ってくれて競り合いを自分たちのものにできるというのはチームにとって大きい。でも、平岡でも起点は作れる。赤星がいなくなったからといって全部のチームの総合力が落ちるわけではないと思う。いる選手でしっかり戦わなきゃいけないなと思いました」
Q.ハーフタイムの指示は?
「慌てずにしっかりシュートを打ちにいかなきゃいけないこと。チャンスは起きるから後ろはしっかり我慢する。相手のストロングのポイント、この試合のポイントをしっかり抑えながら戦うことを伝えて送り出しました」
Q.同点弾について。
「結構早い時間で取れたので追加点をと思ったんですけど、中々そういう風にはならなかった。最後まで選手は勝ち点1に満足することなく、勝ち点3を奪いに行ってくれた姿勢は良かったと思います」
Q.優勝について。
「3連勝だったら一番ハッキリして皆様が求める結果なのかなと思います。2点足らなかったのですがそれは来季の課題だと思う。でも、選手に言ったのは『みんなの頑張りがあったからそういう結果を得られた』と言った。本当に良いチームだったと思いますし、選手たちは最後まで本当に頑張った。選手の努力のおかげだと思います」
Q.地元の皆様へ一言。
「今日沢山の方がスタジアムに足を運んでいただいて、選手を後押ししていただいて本当にありがとうございました。まだまだ台風の被害も含めて、このスタジアムに足を運ぶことすらできない人もいると思うんですけど、本当に選手には最低限一生懸命120%戦う姿を見せなくちゃいけないと言った。そういう姿が少しの人にでも元気や勇気を与えることができたら僕たちがやってることの意味はあるのかな、と思います。引き続きそういうことを忘れることなく、しっかり胸に刻みながら今後もサッカーというスポーツを通して皆様に何か還元できるように体現していきたいと思います」
Q.来季の抱負を。
「まだ全然考えてなかったです。1つカテゴリーが上がるということで、目の前の試合を勝つことも大事ですけども自分たちのクラブとしてもプロセスを大事にしながら。結果は後でついてくると思い、自分たちのやるべきことをしっかり取り組んでやっていくことが1つの期待なのかなと思います」
Q.あえて来季の課題を上げるとすれば。
「最後の決めきるところ。最後の崩しの精度も含め課題なのかな、と思います」

いわきFC:平澤俊輔選手
「難しい天候だったので、勝ちきりたかったというのは正直なところですけど勝ち点1取って優勝を確定させたことは良かったと思います。累積で出られなかったウェズレイ(ロドリゲス選手)だとか、ベンチに入れなかった選手というのも本当にチーム一丸となって練習してました。今日変わって入るというところで自分が1年間の集大成として何かプレーで見せることができたらなという思いで入りました。失点の部分はセットプレーだったので、ある意味しょうがないというか、1つ切り替えて逆転するために何が必要なのかを考えてチームに語りかけをしようという気持ちでプレーしました」
Q.濡れたピッチについて。
「相手も(条件は)同じ。その中で福井さんはバイタルに入れるところだったりが出されてしまった。DFとしては少し課題が残った試合かなと思います」
Q.同点弾について。
「全員が今日負けたら意味ないというか、今までの積み上げてきたものが意味ないという思いでプレーしてました。逆転するためにもう一度エネルギー出そうという思いでやってた。早い時間帯で同点に追いつけたというのは良かったと思います」
Q.サポーターの大声援について。
「本当に集まって来てくださった方には感謝しかないです。だからこそ、勝利という形で応えたかった。そこは残念だった。来年も引き続き応援してもらえるようにここから積み上げていきたいと思います。もっともっと多くの人に自分たちのサッカーを見せられるように、これから自分たちでもっと高みを目指すというか、もっと魅力のあるチームにしていきたいと思います」
Q.優勝について。
「優勝しなきゃ意味ないという話はしていた。勝ち点1は最低限の結果というか、最高の結果ではなかったですけど、優勝というのは良かったと思います」


高知3ー1お京都

寸評:高知が悲願のJFL昇格権利を掴み取った。繋いで攻める高知に対し、お京都はハイプレスで対抗。しかし、個の力で勝る高知はセカンドボールの回収率でも上回り、じわじわと相手ゴールに近づいていく。すると19分、CKの流れから右からのクロスを西村が決め先制。これで逆にギアの上がったお京都はシンプルに最終ラインの裏を狙いながら攻め込むが高知も度々カウンターを見せ、前半を終える。後半も攻め立てるお京都に対し、高知は5バックでブロックを作って応戦。61分、お京都は切り札となる3人の外国籍選手を同時に投入し、勝負を仕掛ける。しかし、試合を動かしたのは高知だった。64分、途中出場の前原が値千金の追加点。これで流れを掌握した高知は87分にも高い位置でボールを奪った田口が流し込み3点目。サポーターの大声援を背にした高知は相手の反撃を終盤の1点に抑えタイムアップ。1次ラウンドのリベンジを果たし、遂に高知県から全国リーグを戦うクラブが誕生した。

おこしやす京都AC:石田祐樹監督
Q.スタメンの変更について。
「予選ラウンドからその日のベストコンディションで臨める選手を選択していた。当然チームの戦術とどういう風に戦っていくかというのもある。自分たちの中で考えられるベストの人選というところは常に意識している。予め選手、第1戦第2戦第3戦で誰が出るというのは事前に決めていたわけではないです。精神的な疲弊の部分もありましたし、パフォーマンスが前日のトレーニングも含めて、当然選手はベストを尽くしてやってくれているという風には考えている。この試合のベストだと思った先発にしたという感じです。リーグ戦から外国人選手が先発で出続けたわけではない。日本人選手だけで臨んでる試合も多くある。結局コンディションとチームの戦術と、どうハマるかというところと。あと、メンタリティの部分の状態を考慮した上で選んでる。当然外国人選手の身体的な強みもありますけど、日本人選手の組織立った守備や連係・連動というところも自分たちの強みだと思っている。そこの部分は自信持って送り出しました」
Q.1次ラウンドの高知戦との違いについて。
「1次ラウンドに関しては高知さんが全てを出し切ったとは考えてない。当然事前の他会場の結果だったりとか、そういうところも状況によって判断は入っていたと思う。1次ラウンドの結果がそのまま決勝ラウンドのパフォーマンスに反映されるかと言えば間違いなくそうではないという風に考えてました」
Q.来季に向けて。
「プレー強度の部分、切り替えのところ。どうしてもミスは起こってしまいすし、狙い通りの展開にならないときに素早く一歩を出せるか。考え方的にもプレー的にもいかに早く次のプレーに進めるかというところ。怖がらずにチャレンジしていく部分に関しては、もっともっとミスしたとしても自分の強みを出せるようなチームになっていければと思っています。戦術、怪我のところに関しては、選手の特徴にもよりますし、この先まだどうなるかはわからないのでそこに関しては何とも言えない。マインド、精神的な部分は地域CLを勝ち上がる上では本当に大きな要素だと思っている。でも、それはどのカテゴリーで戦っても重要。誰がやってもできる、ただ簡単にはできない。誰にでもできるけど難しいことをいかに地道に築き上げられるか、という風に思ってる。そういう点においては、そこをしっかり向上させ続けられなかった、させてあげられなかった自分の責任かなと思います」

高知ユナイテッドSC:大谷武文監督
「我々は今日勝たなければいけないというところで、しっかり割り切って点を取って勝つというプランで入りました。どっちが有利かはわからない。ただ、我々はやることは明確にして、今まで負けたところの学びを大事にして。その上で我々の戦いがどうだというところの話を選手たちにしました」
Q.昨日の過ごし方について。
「昨日も近くの道の駅に行って買い物をしてリフレッシュしました。1日目の敗戦の後の切り替えのところが1つポイントだったのかなと思います。あそこでいかに選手の気分をスッキリさせて次の試合に挑むか。あそこで良い流れがもう一度立て直せたのが大きかったと思います」
Q.守備について。
「自分たちのやるべきことをしっかり選手が頑張ってやったと思います。うちらしさがしっかり出たんじゃないかなと思います」
Q.おこしやす対策は?
「1つは球際のところ。予選の時にすごい勢いで縦に速いサッカーでうちは後手を踏んだ。それが1つ。とはいえ、我々が同じことをやって、本当にそれでうちの特徴が出るのかというとそうじゃない。しっかり判断しながらボールをもう一個繋げられる、そういう自分らのどこで長所が出るかっていう話もしました」
Q.ハーフタイムの指示は?
「今日に関してはみんなが何をしないといけないのかというのをわかってた。選手たちで話をしてたぐらいよく理解して。僕から特にというのは無いです。ただ、交代メンバーのときには危ない、こういうシーンがあるかもしれないという話はしました」
Q.相手の外国籍選手の投入について。
「点数が離れてるシチュエーションだった。こちらが勝ってるので、そのとき用の考え方でやりました。あまり後ろのところを変えるんじゃなくて、前線もう一個走れるようにタメを作れるように。あそこでまだ時間があったので守りに出るんじゃないというメッセージも込めて前線の選手を変えました」
Q.ゲームプラン的にはいかがですか?
「今回に関してはゲームプランも勿論考えていたんですけど、熱い声援とそれを感じ取って選手が体現できた。そこに尽きると思います」
Q.サポーターの皆様、高知県民の皆様へメッセージを。
「高知でも集まって応援していただいていると聞いてます。沢山の方がこうやって駆けつけていただいて力になりました。感謝しています。次の舞台に立つのでまた皆さんと一緒に前に進んでいけるように、地元が明るくなるように少しでも貢献できたら良いなと考えてます。またよろしくお願いします」

高知ユナイテッドSC:横竹翔選手
「僕自身高知に来て5年目で、来た当初からJFL昇格というのがチームの目標でやってきた。やっと責任が果たせたと思います。笛が鳴るまで悔いの残らない戦いをしようと思っていた。最後まで笛が鳴るまで戦ってました。ピッチに立ってる11人だけじゃなくて、控えのメンバーであったりサポートメンバーが一緒に戦ってくれて。勿論ここまで応援に駆けつけてくれたサポーターもそうです。高知で応援してくださってる全ての方の力が勝因だと思います」
Q.JFL昇格について。
「レベルの高いリーグで戦えるのは僕自身新たな刺激になりますし、選手としてももうひと段階レベルアップできる舞台だと思う。良い刺激をもらいながら自分自身も戦っていきたいと思います」
Q.気持ちや気迫の部分で勝っていたと思います。
「こういう試合というのは球際のところだったり1対1というのが大事になってくるのはわかっていた。チーム全員がそれを意識してできてました。良い入りができるように周りのみんなが声をかけてくれた。そういった力がピッチに出たと思います」
Q.監督がされたリフレッシュの効果について。
「1戦目負けてしまって落ち込んでしまったんですけど。でも、まだ2戦勝てば自分たちの手でJFL昇格が掴めると思っていた。中日でのリフレッシュというのは切り替えの部分でスムーズに頭の中をスッキリさせられたと思います」

高知ユナイテッドSC:田口遼選手
Q.得点シーンについて。
「2ー0で勝ってる状況だったんですけど、2ー0は一番怖いと言いますし、仕留めるならもう1点欲しいというのがあった。前からプレスかけて、奪えた瞬間に元々自分の好きな形だったので、これはもう行こうと思って自分で行きました」
Q.今日の試合前の意気込みは?
「心理的には相手の方がやりづらいと思ってました。完全に僕らが挑戦者だった。受けにならずにガンガン前から行こうという感じでした」
Q.勝因は?
「気持ちに限ると思います。全員が1人残らず勝つという強い気持ちが相手より勝ってたと思います」
Q.来季からJFLです。サポーターの皆様、高知県民の皆様へ一言。
「全試合タフな試合になると思います。(でも)僕たちはまだ上を見てる。もっと高知の子供達や応援してくれてるサポーターの皆様の夢になれるように、全力で走ります。しっかり応援を力に頑張っていきたいと思います」

(選手監督コメントは抜粋です)

文:湯郷五月

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