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本が100冊できるまで 作家・中村慎太郎 第二号(2016/05~07)

第二号はゴールデンウィーク明けに書いています。しかし、書き終わったのは6月末です。本業の執筆が本格化したので、なかなか隙間がありませんでした。切れ目で書こうと思っているんですが、なかなかうまくいきませんでした。でも、これはとても良いことだと自分では思っています。

さて、少し古い話になってしまいましたが、皆様お休みは取れましたか?(以下の冒頭部分はゴールデンウィーク明けに書いたものです)

この企画は、作家中村慎太郎が100冊の本を出版するまでの過程を綴るものです。記事の半分程度が無料で、残りが100円の有料記事として書いていますが、今回は後半部分がうまく書けなかったため、前半の無料部分だけ公開します。つまり、今回は無料版です。

さて、ぼくのゴールデンウィークは基本的には仕事でした。5月4日に締め切りが2つ訪れて息も絶え絶えになりながら何とか書き上げました。そして、徹夜明けのまま幕張メッセのイベントに子供を連れて行くことに……。約束だからね、パパ頑張った。

ゴールデンウィークは3歳児が保育園に行かない期間なので、我が家で大活躍しており、有り余った体力を消耗させるために、山に行ったり、公園に行ったりしているうちに過ぎ去って行きました。

本当はベトナムまでFC東京の試合を観に行きたかったのですが、家を空けられない事情もあり、飛行機は泣く泣くキャンセルしました。

2013年11月以来、サッカー観戦漬けの日々を送ってきましたが、この半年は家族で数試合に行ったのみです。何とも物足りない気持ちもありますが、過去のものを全てアウトプットしてしまうまでは、新しい刺激を受けないようにしたほうがいいのかもしれません。

今回のお品書き

・徹マガ連載
・お喋りチャンネル
・書斎『鳩ノ巣』

では、はじめましょう!


【徹マガ連載】

写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱さんが主催するウェッブマガジン「徹マガ」の連載も全6回すべて終了しました。

この企画、なかなか大変でした。しかし、やる度に自分が成長したと思えるという意味で心からやって良かったと思えます。有料のメディアですが、いくつか無料公開した記事もあります。

中村慎太郎の「百年構想の向こう側へ」
vol.1 サポーターはJリーグを滅ぼそうとしているのか?
(無料公開)
vol.2 Jリーグとは文化である

vol.3 対談いぬゆな氏「なぜJリーグとサポーターは対立する羽目になったのか」
(無料公開)
vol.4 対談いぬゆな氏「Jリーグよ、俺たち色に染まれ!」(無料公開)
vol.5 J’s GOALとサポーター的な見方と個人的な葛藤
最終回 Jリーグは『ワンピース』である。

vol.1は今年の抱負というか、今後Jリーグとどう向き合っていくのかを、一人のサポーターとして考えた文章です。

サッカー、特にJリーグ界隈のコアなことを書いているのにも関わらず、サッカーに普段興味を持っていない人からも反響を頂きました。熱のある文章が書けたということだと思います。

良い文章は、その文章がターゲットする範囲で愛されます。しかし、本当に良い文章はジャンルの枠を軽々と越えて、著者が想像をもしていなかったところに到達してくれます。

さて、この連載は、1と2が内省的な内容で、3と4はジェフ千葉サポのいぬゆな氏にご助力を頂いた対談記事を書きました。

ぼくは実はライターとして対談記事を書いたことがなかったので、これが対談執筆デビュー作です。対談記事を単なる文字起こしにすると、内容が深まらず感覚的になってしまう懸念があったので、いぬゆな氏にはこの短い記事のために3時間以上ディスカッションに付き合って頂きました。計二回なので合計6時間ですね。前編・後編共に無料公開されているので是非ご覧下さい。

最新のVol.5の締め切りが5月4日でした。ざっくりとした記事なら、運が良ければ3,4時間で書けることもありますが、大抵は構想に2,3日かかり、執筆にも丸1日くらいはかかります。

ぼくの今の実力ではそのくらい労力を懸けて書いていかないと良いものが書けません。テクニックに頼り、トピックに飛びついて記事を書いていくのは実は難しいことではありませんが、その先には何もありません。

書籍の文章と、こういった単発の記事の文章は実は全然書き方が違います。なので、書き手によって得手不得手が分かれます。ぼくはどちらかというと、本の文章のほうが得意なのですが、締め切りに追い込まれて、心臓ドクドクさせながら記事を書くほうが生産性が高いのも事実です。

この記事を更新をしていないうちに最終号も公開されてたので追記します。タイトルが「Jリーグとはワンピースである」となっていますが、これは編集上こういったタイトルになったということで、ぼくの言いたいことの趣旨は違います(そのタイトルにしたほうがいいという編集判断が間違っているという意味ではありません)。

本来のタイトルは「Jリーグ記事の書きづらさと底知れぬ魅力について」でした。想定していた取材が出来なかった中で、楽しく有意義に、これからの展開を繋げたかなとは思うのですが、やや「小手先的」です。

「小手先」とは言いますが、連載記事を続けて行くというのは、小技も駆使していくことが求められるということです。今までは、大技だけぶん回してきたわけですからね。

魅せる小技も身に付けていくべきなんだろうと思っています。

というわけで徹マガ連載シリーズも終わりです。このシリーズを通して、物書きとしては大きく成長できたと思いますし、課題も明瞭に見えてきました。しかし、Jリーグとサポーターの間にある空白を埋めるというテーマは未解決なまま、ぼくの中に残りました。

今は沈静化しましたが、何かある度に噴出してくる問題なのかなと思っています。立ち向かっていかないといけないなとは思うものの、勉強不足、実力不足です。執筆作業を落ち着けたら、インプットを集中的にしようと思っています。予算があれば大学院にまた通うのもいいなと思っています(でも、それは流石に贅沢過ぎかなという気もします)。

大きな仕事は、ベースアップした上で始めようと思います。

【お喋りチャンネル】

書く仕事と比べて喋るほうは劇的に進展しているなと感じているこの頃です。文章を書くのは、ある程度「小賢しさ」があれば、至らない点をフォローすることは出来ます。というのも、文章は発表するまでに十分な推敲時間が取れるからです。

一方で喋りのチャンネルでは、その場その場でのアドリブ力が問われます。空気を読む力も必要ですし、全体の流れを読んで構成していくことも重要です。

「あー、あんなこと言わなければ良かったな……」

などと嘆くこともあります。いや、ありました。最近それが減ってきています。喋ることに慣れてきたのかなという気がします。もちろん、元から喋るのは好きなのですが、時間と内容に制限がある中で、第三者を意識しながら対話を進めていくコツがわかってきたような気がします。

インターネットで聴けるラジオ『ハトトカ』の中から特に気に入っているものをピックアップするとこんな感じです。

第三十三回『ねこがまるい』
個人的にはハトトカの最高傑作です。適当に喋りながら、要所要所でちゃんと構成をする。しかし、それをあえて崩して、適当な方向に放り込む。ジャズセッションみたいな作り方をしたエピソードです。

その割りに最後はまとまったので世の中には奇跡があることが実感できました。これは「要約」と「展開」という技術なのかなという気がします。ぼくの場合は、敢えてロジックを崩すことを試みます。

文章ではロジックを崩すと意味不明になりますが、会話だと成立するのでそこが面白いです。試しに文章でロジックを崩壊させてみましょうか。

私は喋るのが好きです。だから、鳥になります。私がそう言った理由がわからない方には、オススメしたいものがあります。それは鳥と密接な関係があるものです。鳥は世界の全てを持っています。そう、鳥には言語すらあるのです。鳥はいいですね。大好きです。

論理的な文章であるような形式ですが、中身は全く繋がっていません。文章にすると意味不明ですが、喋っていると「おいおい!」とか突っ込みながら聴けてしまうんですよね。

ただ、これを計算でやるのは難しいところがあります。普段から崩れた生き方をして、崩れた考え方をし続けないといけません。生き方を崩すというか脳を崩すというか。この時の「ねこがまるい」はうまく脳が崩れたので面白いエピソードになりました。

第三十四回『実行委員長がラジオに出演しました!ハトトカ2/3シリーズ 54&ハト』

ニッポン放送のラジオに出演してきた時の話をしました。いつかラジオの仕事が取れるくらいまで、上手に喋れるようになりたいと思います。あめんぼあかいなあいうえお!

第三十九回『ハトトカ2/3シリーズ 鳩&松が俺のサッカーベストイレブンを語る!!』

(前編) (後編)

普段はあまりサッカーの競技面についてはコメントしないのですが、実はずっとやりたかったことでもあります。今回は、俺のベストイレブンを発表するという形式で話しています。まだうまく喋れないので時間がかかりすぎたという反省点はありますが、サッカーファンには楽しく聞いていただけると思います。

オレのベストイレブンの日本人選手は、石川直宏、米本拓司、おでんくんの三人です。

それ以降のものもいくつかタイトルだけ紹介します。

【実験投稿】鳩&松の二人が語る『CL準決勝 アトレティコ・マドリーvsバイエルン・ミュンヘン』

第四十二回『激論バトル!ドラゴンボールって本当に面白い?!前編』

第四十三回『激論バトル!ドラゴンボールって本当に面白い?!後編』 

第四十五回『梅雨の味覚

このへんの一連のエピソードではブラジル本プロジェクトの進行度が語られます。

第四十一回『個人文化祭の進捗状況 2016年5月』 

第四十四回『ブラジル本編集会議』

第四十六回『ブラジル本編集会議 その2の前半 続きもあるよ!』

第四十六・五回『ブラジル本編集会議 その2の後半』 



【鳩ノ巣】

文章を書き始めたのは、15年以上前のこと。ネット上での名前は「鳩」。自分の書斎というイメージで作成したホームページ『鳩ノ巣』に、荒削りな文章を書き綴っていました。

今でも書斎『鳩ノ巣』は存在して、そこには日の目を見ぬ、有象無象の原稿達がひしめいているのであります――。

鳩「Jリーグ本の原稿はいるかい?元気にしている?」

J本「はい……。なんとか……。」

――Jリーグ本の原稿が、青白い顔をして横たわっていた。もう2年近く、試行錯誤を繰り返し、何度も何度も改訂しながらも、未だに完成していない原稿だ。

鳩「そんな顔をしないで。もっと堂々としていておくれ。君には日本のサッカー、Jリーグを変えて欲しいんだ!!」

J本「はい……。わかっております……。わかってはおるのですが、どうしても、どうやってもうまくいかない時間の中で、次第に自信を失ってしまったのです。」

鳩「そうか……。ごめんね、それはぼくのせいだ。ぼくは悩んでいた。君の形を作ったのはいいんだけど、どうやらうまく活力を吹き込めなかったみたいなんだ。ぼくの迷いがそのまま伝わってしまったのかもしれない。」

J本「ええ、ええ。いいんです。わかっています。悩んでいらっしゃったのは承知の上です。私も今出て行っても、あまり活躍は出来ないのではないかという気がしています。今は、このままずっとここで暮らしていようと考えるようになりました。」

鳩「それは駄目だよ!!君には何かがあるんだ!!世界で唯一の特別な原稿へと変身できるだけの何かが。ぼくにだけはそれが見えている!もう少し。もう少しで完成させるから、もう少しだけ辛抱しておくれ!!」

ブラジル本「待ちな!!」

J本「あなたは、ブラジル本?!」

――書斎の奥から、猛烈な勢いでブラジル本が飛び出してきた。

ブラジル本「そうだ。2年間寝かされているのは、何もあんただけじゃない!鳩よ、部屋から先に出るのは俺だよな?」

J本「何を言っているのですか!時系列では、私のほうが先です。私が先にここから出るべきです!!」

ブラジル本「ほー。あんたはよく知らないようだね。2016年の8月に、ブラジルで何が起こるか知っているか?」

J本「リオデジャネイロオリンピック!!」

ブラジル本「そうだ。俺はな、リオ五輪前にこの部屋から出ないと価値がなくなってしまうんだよ!!だから、先に出るのは俺だ!!鳩よ、そうだよな?」

鳩「うーん……。実はそうなんだよね。ごめんね、J本。」

J本「ええええええええええ!!!!」

鳩「ブラジル本がいうように、今書くべきはブラジル本なんだ。5月半ばのギリギリまで頑張ったんだけど、君の方はどうしても完成させられなかった。ぼくの力不足だ。」

J本「そうですか……。残念です。」

ブラジル本「ハハハハハ!もう少しそこで待っててくれよ!」

鳩「J本、落ち込まないで。ぼくはわかったんだ。ワールドカップについて書いてからのほうが君のことがうまく書けるよって。嘘じゃない。そもそも君は、ワールドカップの次の本だったんだ。大丈夫。安心して。きっと良い作品に仕上げるから。」

J本「そうですか。それならば期待して待つことにします。」

ブラジル本「やるぜーーーーー!!!俺の情熱を見せてやる!!!!アモーレだ!!!」

ぼくは小さく頷いて、インスタントコーヒーを作った。そして、書斎の奥にある机へと向かう。

『サポーターをめぐる冒険』を書き上げて以来、まとまった量の文章が書けていない。スランプではなく、そもそも実力不足だったのだろう。

表現したいものを描くために必要なだけの文章力がなかったのだ。しかし、深い暗闇の中で自分の文章と向き合う時間を重ねてきたことで、何かが見えてきたのも事実である。

この部屋でくすぶる原稿たちを1つ1つ世に出さなければならない。もし余命が半年だと宣告されたとしたら、その半年は一冊でも多くの本を出すために使う。迷うことはない。

ブラジル本「ふふふ……、実は1巻はNow on saleだぜ!! 1巻は何と100円だ!!まだ公式に告知はしていないんだけどな。2巻以降も週1くらいのペースで出していきたいと思っているぜ!」

というわけで1巻は発売中です。こっそりnoteで告知します。

購入はAmazonより


以上です!!

今回は有料版を作れなかったのですが、いつまでも5月号を出せないまま7月に突入しようとしているのでここで妥協点とします。

忙しい月は無理せずに、無料版だけの更新とするほうがいいのかもしれません。続けて行くことが大切です。

というわけで、ブラジル本、続々と出して行きますよ!!





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