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FC今治が嫌い疑惑のロック総統に、J昇格を目指すクラブがJFLとどうやって付き合うべきかを聞いてみた。


ふと思いついた。

ロック総統はFC今治が嫌いなんじゃないかって。だって、ロック総統はJリーグにあがることを第一目標に掲げるクラブのことを「Jリーグ原理主義」と言って、地域密着の理念の悪例としてあげているのだ。

この疑問をロック総統にぶつけてみたらどうなるんだろうか。という1フレーズから始まった鼎談記事なのであーる。

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写真協力 
トップ画像:カメラ係&FC今治@英治(Twitter
今治の超有名店、二宮かまぼこの看板美人娘(性格もとても良い) モグ様(左側、Twitter


インタビュアー
中村慎太郎:OWL magazine主筆。ロック総統のことを師と仰いで尊敬しているけどよく喧嘩もする。すごい人なんだけど、わけがわからないこともあるんだもの。

円子文佳:OWL magazineで2番目に書いている人。ロック総統とは初対面。今回はサポート要員(というか録音マシーン持ってきてくれた上に文字起こしまでしてくれた現人神)。

インタビューされる人
偉大なる何とかロック総統(写真右側、Twitterなんで偉大だったのかはもはや誰も覚えていないアングラサッカー界のカリスマ。J開幕期の鹿島アントラーズコアサポを経て、JFL所属のホンダロックサポーターの一人サポーターとして、地域リーグ界隈の偉大なる奇人として君臨している。

目立ちたがり屋なのに恥ずかしがり屋で、舞台の上には立ちたがるのに緊張すること甚だしく、フォロワー数を実はとても気にしている。エゴサーチをいつもしているので、「ロック総統、対談しませんか?」と空に向かって呟けば、一日以内にエゴサで見つけて返信してくれる。中村に熟女の魅力を教えてくれた恩人でもある。


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中村:さて……。いきなりですが、総統はFC今治のことが嫌いなんじゃないかなと思いまして……。実際のところどうなんでしょう?というのも、FC今治ってJリーグ原理主義ですよね。Jリーグに昇格することを目的にして、Jリーグ昇格のためにお金を集めて、行政を説得しているわけですから。

ロック総統:いや……。うーん、まぁ正直言うと、最初に今治が出来るという話になったときに、愛媛FCが既にあって、愛媛と今治は50kmも離れていない中で、ホームタウンにしていいのかというのは思った。今治から愛媛FC観に行っている人もいると思われるのに、ホームタウンとしては近すぎるんじゃないかと思うところはあった。

そうなってくると商圏が食い合って来るし、今治市の人口は15万くらいしかない。しかも、瀬戸内の玄関口だから島も点在していて、そこからわざわざ見に来る人がいるかとか?心配するところはあったんだけど、一番最初に今治に行ったのはまだ地域リーグにいる頃に、宇都宮さんと一緒にね。まだ、何って言ったかな? 今試合している夢スタじゃなくて、その前にあった海沿いにあった……。

中村:ああ!何か座席を鉄パイプで組んだやつ!! 
※名前がわからなかったので県リーグの記録を探したら「桜井ふれあい広場」と記載されていた。

ロック総統:そうそう。斬新だなと思ったのは、ピッチの外にしかも、フェンスの外に建築現場で使う足場を階段状に組んで座席にしていたこと。椅子じゃないんだよ。足場の上に座る。それがフェンスの外にあるわけだよ。それを見た時に必死感と言うか、一生懸命やっている感があるなと感じた。

相手がトライスターかアイゴッソだったか、コーユー(高知U)に合併する前だったんだけど、そことのダービーだったら、まぁ地域リーグなのにびっしり入ってたんだよ。

中村:なるほど。ひと味違ったわけですね。そもそもなんで今治まで行ったんですか?

ロック総統:それは参謀長が……(笑) これを見ておくべきだという試合に設定していたからだったかな。 

※参謀長 「ロック総統ぶらり旅」というDVD企画をプロデュースしていた人。ぼくも収録に参加したことがあるけど、企画が頓挫してお蔵入りになってしまった。

中村:ぶらり旅ですか?

ロック総統:ぶらり旅の撮影も兼ねていたけど、あれはもう多分、お蔵入りだから出てくることはないだろうけど、その企画の一環で行ったわけですよ。

中村:それはいつ頃ですか?

ロック総統:今治が地域リーグを優勝する年だから、2016年。その時にもEXILEのJrチームが踊っていたりとか、バリィさんとかが来ていたりとか、上位リーグのJFLよりも、分かりやすくいえば、少なくとも武蔵野シティvsホンダロックなんかよりもずっと盛り上がっている感じがあって——。

中村:それ書いていいですか?(笑)

ロック総統:うん、いいよ。それを見た時に、荒削りながら、手作り感満載の中で、自分たちで何かやろうぜという気持ちを感じたんだよね。その近くにあったファミマのガードレールに、「我々はFC今治を勝手に応援しています」という横断幕があって、「勝手に」て言うのがいいよな、と。公式じゃないところがゲリラでいい。

たまたま店長さんが店番に立っていたので、話を聞いてみたら「ユースの子がいつも食べに来るからね。勝手に応援させてもらってるんだよ」って。なかなか出来ない事だよ。

それを聞いて、他の急造のチームの作られた感があるところとはちょっと違うなと思ったんだよね。まぁFC今治も急造中の急造なんだけど、頑張ってる感が伝わって来るのは他のチームよりあってね。

円子:典型的な急造のチームはどこなんでしょう?

中村:(また危ないところを突っ込む……)

ロック総統:たとえば、グルージャ盛岡なんかもそうだし、福島ユナイテッドなんかもそうだろうし。カターレ、鳥取、カマタマ、群馬、栃木、言い出すとキリはないけど。

円子:鹿児島ユナイテッドは?

総統:まぁJリーグありきで作っているところは全部そうだな。カターレみたいなところも無理矢理合併して、さあ行こう!みたいなところがあるし。鹿児島ユナイテッドはヴォルカという前進のチームも知っているし、その時からサポーターもいるのは知っているから、自分の中では急造のチームには該当はしないかな。ひいき目かも知れないけど。

そういう意味で言ったら今上げたチームにも伝統はあるのかもしれないけど、昇格ありきで作った急造チームではあって、ただ、その中では、今治は頑張ってるなという印象を受けた。

中村:いわゆるJリーグ原理主義で言うと、今治はJリーグにあがることを夢と掲げて、町おこしをしようとしているわけですよね。

ロック総統:それを言ってしまうとだな、そういう意味合いでは松本山雅も原理主義なんですよ。元々は喫茶店のチームだったという美談はありますが、教員のチームだったり、実業団が解散してとか、そういうのは歴史を振り返ればどのチームでもあるんですが、まぁ上がるぞっていう雰囲気のチームでいうと松本山雅もやっぱり原理主義だったということ。うーん、なんだろうな、こういってしまうとロジカルじゃないんだけど、空気感の違いというか——。

中村:わかるような気がします。

ロック総統:特に今治の場合は、岡田さんが作ってきたというのがあるからね。最初の経緯までは直接岡田さんに聞いたわけじゃないから正確にはわからないんだけど、記事なんかを読んでいる中では、私が言っている急造のチームがやっつけ感であがっていくことに関しては、岡田さんも是としているところはなく、岡田メソッドは理想はとても高かった。実際それが出来ればいいよねとは思っていた。

中村:ふむふむ。空気感以外で決定的に違うところもあるのですか?

ロック総統:内部事情はよく知らないけど、他の急造のチームがここまであがってくる段階との大きな違いはある。それは、大抵のチームはお金がショートしてしまっている、またはカツカツで来ているということ。だけど、今治はショートしてない。これは決定的な差だと言えると思う。

Jリーグ原理主義なんだけど、思想だけを掲げている身分不相応の原理主義を超える資金力を持っているということ。つまり、思想を支える資金力があれば原理主義でも構わないと思っているんだよ。原理主義を抱えながら、金がショートしてしまってぽしゃるから、私は駄目だって言ってるんだよ。

中村:金がないのに志だけあっても駄目だよ。そこをちゃんとやってるのかよってことですね。すごく大切な話しですね。

ロック総統:だってさ、鹿児島ユナイテッドの前身のFC鹿児島だって、天皇杯の初戦に勝ってしまったら、FC東京と対戦するために、東京に行くお金がないって募金を集めていたんだけどさ。私は、こういうのは美談じゃないって断言するからな。

テゲバジャーロ宮崎も地域決勝に行く際に、遠征費がなくて金が無くて、サポーターが募金をしている時点でアウトだと思うよ。高速道路を走ってるのにパーキングエリアで1000円づつガソリン入れてドライブしてるようなもん。

中村:昔ザスパクサツが毎年恒例で募金やってましたけど ああいうのも駄目なんですか?

ロック総統:駄目だね。ぼくに言わせれば。極端な話、アンダーアーマーの責任で全部やっていくというのなら、その会社がけつを拭けばいい話だからいいんだけど、ケツを市民やファンに拭かせるのは、地域密着の拡大解釈だからね。
「じゃあ、下部リーグはいつまで経っても勝ち進めない」と言うのであればそれはサッカー協会がケツを拭なきゃ。そう思わない?(笑)

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