タクシー本を、俺は書く。目指せ夢のエッセイスト!!
雨ニモ負ケテ 風ニモ負ケテ
暑サニモ 冬ノ寒サニモ負ケル
……。
お酒とおねーさんと夏の暑さに弱いタクシードライバーあらわる。おねーさんが苦手な意識はなかったのだが、酔っ払ったときに「もう一杯」と言われると、5杯くらい飲んでしまうちょろい酔客であり、タクシーの勉強にと訪れた赤坂で信じられないほど使ってしまい。とっても怒られたのでしばらくは大丈夫なはず……。
いきなり結論から言うと、タクシー関係のエッセイを出版する運びになった!! もちろん出来が悪かったら、出版は出来ないのだが、そこには自信がある。
大学生の頃を思い出す……。
ぼくは東大3年生であった。留年をしたので、同級生達は4年生であり、次々と就職先を決めていった。
経済産業省、財務省、総務省、某大手銀行、弁護士(ロースクール)、公認会計士、経済系シンクタンク、コンサルタント、大手メーカー……。
いわゆる「いい仕事」である。
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思えば、「いい仕事」についていれば、接待で夜の町にいって楽しむということもあったのかもしれない。そこだけは若干羨ましいものの、人のお金で飲んでも楽しくもなんともないだろうなと思う。
ゴールデン街でしこたま飲んで、「それじゃ帰るね」と会計をした後、狭い路地で財布の中身を覗き込み、2000円でいけるお店を探すか、ファミリーマートに行くか、花園神社で寝るか悩む……。これが人生の楽しみなのである。
ちなみに花園神社で寝るのは、理性のある常識人にはお勧め出来ない。
関係ないけど、水曜日のダウンタウンでジョイマン高木さんが、吉本興業の本社前で立っているシーンがあるんだけど、そこで、シャドウの前をフラフラ千鳥歩きしている人がうつっていて面白かった。もちろん太陽は昇っている。
さらに関係ないけど、タクシーで営業していると、ドアが開いているシャドウの中が見えることがあり、親不知さん(という人がいる)が見えてちょっと笑った。
財政を健全化し、体調を整え、ゴールデン街に趣き、タクシー仲間に家まで運んでもらうという「豪遊」が出来るように頑張りたい次第である。
何の話かわからなくなってきたが、これが調子が出てきた証拠だ。「ちゃんとした原稿」の場合には、上記の関係ない話二つはそぎ落とすしかないのだが、noteなのでそのまま残させてもらおう。
ーーーーーーーーーーーーー閑話休題ーーーーーーーーーーーーーー
さて、夜の町で遊ぶこともなく、バスケばかりしていた大学生時代であったのだが、そのときのぼくは「物書き」になりたいという気持ちを強めていた。
その中でも自分に一番向いているのは「エッセイ」であると気づいていた。自分の心で感じたことを、言葉の形へと変換していき、共感を促す。そういった文章を書いていきたいと思った。
ただ、現実を見据えた時に、エッセイストになる方法が思いつかなかった。必死で探せばあったのかもしれないが、そもそも動き回って探すのが得意なタイプではないのだ。
エッセイを書けるのは有名人であり、自分は無名人である。かといって有名人になる方法はなく、有名になるためには良い文章を書かなければいけない。ぼくには文章しか武器がなかったのだ。
そして、物書きへの望みをかけて志した出版業界への就職面接で全滅した。やはりネタになる人生を送らなければ文章など書けないと思い、興味があった海洋関係の大学院へ進むことになった。文系でありながらの大学院試験は大変だったのだが、ペーパーテストだけは得意なのだ。
二種免許の学科試験は二回落ちたが、大学院入試は一発であった。
それから10年以上経った。
10年というのは無限に近い時間で、その間に色んなことがあった。色んな人に会った。大器かどうかは知らないが、晩成であることは間違いないタイプなので、その期間も少しずつ成長することが出来た。
成長した理由は「同じ事の繰り返し」にならないように人生の方向を決めてきたからではないだろうか。常に新しい刺激があり、常に新しい出会いがあった。
繰り返しではないから、慣れることはなく、失敗続きであった。
「誰でも簡単に月10万円稼げる」と言われるブロガーになることも失敗したし、書店員も失敗した。最初の本である『サポーターをめぐる冒険』の次を見つけるのにも失敗したし、ブラジルワールドカップも物書きとしては失敗した。
『サポーターをめぐる冒険』もエッセイとは言えなくもないのだが、「私」より「あなた」に比重があるため、エッセイを書いたという実感は小さい。「あなた」というのはつまりJリーグであり、Jリーグのサポーター界隈である。
そして、育児については失敗したわけではないが、二人の子供を前に大苦戦だし、妻の中での順位が1位から3位に陥落してしまったままうまくPRも出来ていない。
べいべー、そんな俺だけど。愛してくれる人がいて、ちょっとずつ成長することが出来て……。
そして、タクシードライバーとなり、これまで磨いてきた言語表現力とシンクロさせることで、何と!!!
エッセイストとしての道が切り開かれたのであった!!!
15年越しに夢が叶う。
あの時の自分に伝えたら何と言うだろうか?
「君の夢は、タクシードライバーとして叶うよ」
意味がわからなかったことだろう。
ぼくは飽きっぽくて継続性がなく、根性がないので踏ん張ることも出来ず、商魂たくましいとも言えないのでいつも稼ぎは細い。
だけど、「書く」ことだけは、断続的ではありながら、かれこれ20年ちかく続けてきているのだ。
書くのうまいね、とか文才あっていいね、などと言って頂けることはあるのだが、最初から書けたわけではない。というよりも、作文や小論文は非常に苦手だった。
思うに、文才というものはあるにはあると思うのだが、それは「最初から苦もなく書ける能力」ではなく、「苦労の末に書けるようになる能力」なのではないかと思う。
さらりと書ける人もいるのだが、そこからあまり伸びないなと思うことも多いのである。
ともあれ、エッセイストとしての書籍が出せれば、この先の人生が非常に明るいものになっていく。お金になるかどうかは知らないし、そんなことはどうでもいい。
ゴールデン街などで飲み歩けて、友達とそこそこ遊べて、家族を旅行に行かせることが出来て、子供を大学に……。
ぐっ。いくらするんだ……。吐血……。
人生は段々と重くなるが、「他人」ではなく「自分」に力点を置いた書き物のオファーを頂けたこと以上の幸福はない。
ともあれ、エッセイを書くにも本業のほうを頑張らないことにはどうしようもないので、免停まであと一歩まで迫った二種免許を抱えて、明日も東京の町へと飛んでいこう。
望みを胸に生きていけば、いつか必ず——
夢は叶うよ!
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