出庫から17時までのデータを分析してみた【タクシー業界の人じゃないと理解できないかも】


そろそろ乗務データが溜まってきたので少しずつ統計処理していこうと思っている。ぼくは、あまり勘が良いほうではない。何かを始めて見て、最初から人並みに出来た経験が全然ない。最初はいつも劣等生なのだ。

だけど、あれこれ考えながら効率化していくのは得意としている。長考型の戦略ゲームなどは極めて得意なのである。逆に反射神経を要求されるもの、格闘ゲームやシューティングなどはあまり得意ではない。

ぼくは3月に乗務を始めたのでコロナ真っ盛りの中でのデビューであった。そのため、データに偏りは見られるはずなのだが、どんなデータでもデータはデータなのである。データは分析することによって雄弁になる。逆に言うと、ただデータを眺めているだけでは何もわからないのだ。

今の段階でわかることは少ないものの、分析する癖をつければ必ず営業の効率化に繋がっていくと信じている。

というわけで分析したのだが、公開をする必要性はぼくにはあまりない。ただ、もしかしたら、公開することによって誰かの参考にはなるかもしれない。データ自体はスモールサイズなので、あまり役に立たないかもしれないが、どう解釈するかというところは、ある種の刺激になるかもしれない。

日頃Twitterタクシードライバークラスタの皆様に教えを請いながら少しずつノウハウを学ばせて頂いているので、ほんの少しでも恩返しできればという思いもあり、すべて公開することにした。

まず、自分の乗務時間をいくつかの区分に分けた。

・15−17時(2時間弱、実質1.5時間程度) 「さてどこへ行こうか」
今回の分析対象。出庫から最初にどこへ向かうのかを決める大事な時間なのだが、とても苦手としている。ここで流れをつかめないと後々まで引きずることも多いので、改善したいと考えた。

・17−19時 「帰宅または飲食店へ」
ビジネスマンが帰宅したり、会食場所へと向かう時間。なのだが、コロナによってこの需要が大きく減っている。分析はこれからなのだが、恐らくコロナ前後では大きな違いが出ているはずだ。

・19ー22時 「青タン前」
需要が小さい時間であり、深夜料金が始まる22時に備えて休憩する時間。この時間帯は営業収入よりも、どこで営業してどこで休憩するかを考えながら動くことになる。お腹が減って、疲れてくるとあまり頭が回らなくなり、うまく休憩場所に辿り着けなかったり、妙に遠い休憩場所を目指してしまったりすることもある。この時間帯に休みを入れずに深夜に突入するだけの持久力はないので、しっかり休みたいところだ。コロナ時代は、少し遠目の帰宅をするお客様もいる時間帯ではある。

・22ー1時 「青タン、終電前の世界」
深夜料金にはなっているがタクシーで一気に帰宅する人は多くない時間帯。この時間帯はとても苦手としている。コロナの影響でタクシーが多すぎるのも正直あると思う。電車が動いているにもかかわらず、タクシーで帰るお客様の気持ちがよくわかっていないのもある。

・1ー3時 「青タン、終電後の世界」
終電を乗り逃したけど、明日は仕事というお客様が出てくる時間帯。一番の稼ぎ時。なのだが、コロナ時代になってからはうまくお客様が見つけられないことも多い。上級者はひっきりなしにお客様を乗せて稼いでいるが、空車のまま回り続けているタクシーも多い。

この時間帯をフレッシュな状態で迎えられているか、あるいはいくら稼げているかがタクシードライバーとしては非常に重要。そのためには、どこに行くべきかをデータからも根拠づけておきたい。もちろん最重要なのはその日の町の状況なのであるが。

・3ー5時 「青タン、始発前の世界」
たっぷり飲んで帰宅したいけど、始発まで待つのは面倒くさいというお客様が出てくる時間帯。ロングが出やすい時間帯でもあると思う。正直眠気に負けることも多いので、データは少なめなのだが、今後のためにしっかり統計を取っておこう。

・5ー7時 「夜明けと共に」
始発が動き始め、「新宿駅東口まで」というお客様も出始める。また、近郊に住んでいる夜の仕事人たちも帰宅し始める。そんな中に朝っぱらまで飲んでいたお客様も混じる(中にはそのまま出勤していく強者もいる)。また、早めの出社をするお客様も動き出す。そして、帰庫するタクシーも目立つため、タクシーが少ない時間帯となる。というわけで、お客様は多い時間帯だが、客単価は下がる。また、その後の出勤タイムにあわせて休憩することも必要になるため判断が難しい時間帯。

・7ー10時 「出勤ラッシュ!」
繁華街から住宅街へと移動して、出勤するお客様を探す。リモートワークが天敵の時間帯。本当は、7時台、8時台、9時台と別々に分析したほうがいいのだが、最初はひとまとめにやってしまおう(データを割るのは容易であるため)。ここは必勝パターンもあり、かなり得意としている時間帯。


前提が長くなったので、今日の分析はさっさと終わらせる。

15時から17時までの営業回数、営業している区、客単価、平均距離などを計算した。

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営業回数が多いのは車庫が近い江東区で、客単価は高くはないものの1000円を超えているので悪いわけではない。必ず通るところなので、どのルートを選択するのがいいのか、あるいは、次のどのエリアにどの道で進むと効率が良いのかを、何通りも見つけておく必要がある。

不思議なことに、この時間帯で流れをつかめるとその後もずっと調子がいいのだ。

港区、千代田区は流石の高単価である。ただ、港区については、「何も考えずに港区に滞在する勢」が存在しているため空車ラッシュになっていることも多い。お客様を見つけることが出来れば港区が最高なのは数字上も間違いはないのだが、空車タクシーの台数を見極める必要がある。某社のタブレットはそういう情報が見られるらしいので、非常に羨ましい。

あ、そうだ。港区の単価が高いのは銀座の南端(港区と中央区の境目くらい)から、ロングで8000円超えのお客様がいたからであった。試しにデータから覗いてみたら1200円台になった。うむむ……。

港区についてはデータを増やして再検討しよう。少し遠いのでこの時間帯はいけないことも多い。

逆に、江東区については、空車タクシーも少なく、またお客様が見つかるポイントが絞られているため、逆に言うとそのあたりを重点的に狙う戦術が有効だ。土地勘がある上、道路も碁盤目状になっているため非常に走りやすい。そして、虎の子門前仲町がある。

門前仲町はとてもお客様が多いポイントで、付け待ちも多いのだが、出現ポイントが長く伸びているため、点で戦うことが出来ない町でもある(夜はまた話が違ってくるのだが)。

そういう意味では、この状況下では江東区から千代田区というラインはかなり有効かもしれない。銀座はスカスカになっているし、六本木や広尾のほうも、それほどお客様が多いイメージはない。ただ、千代田区のあたりは、リモートワークの影響を受けやすいので、疫病の流行具合を見ておく必要がある。

……。

というかコロナがなかったら多分あのへんのビジネス街を回ってるだけでそれなりに売上取れたんじゃないだろうか。どう考えてもハードモードからプレーしはじめている。いや、ハードどころじゃなくて、ナイトメアモードだな。

新宿区が案外良かったのに驚いた。この時間帯は買い物から帰宅するお客様が多いからなのかもしれない。少しデータが少ないので、偏りはあるかもしれないが。ただ、出庫から2時間弱で新宿まで行くのはそれなりに面倒なので、たまたま辿り着いたら営業するというイメージで良いと思う。

関さんが書いたタクドラ本だと新宿大ガード下は空車では通過できないと書いてあったのだが(確か西から東)、100回以上通過したはずなのだがお客様を見つけたことは一度もない。そういう意味でも情勢は変わっている。

文京区も悪くないのだが、正直正解が見つけられていない。文京区の人は、少し行動パターンが違うような気がしている。お金持ちも多いはずなのだが、堅実で無駄遣いをしないタイプが多いのではないかと推察している。また、行動範囲が狭いので、タクシーを使う必要性があまりないという可能性もある。港区に比べると電車も充実しているのもあるのかも。

渋谷はデータが2つしかないのと、この時間帯に辿り着くのは困難。墨田区、江戸川区、葛飾区はデータは少ないものの、距離が短い傾向にある。やはり江東区はバランスがとても良い。バス網やタワーマンションの位置などを含めて、もう一回学習する必要がありそうだ。

この時間帯はデータが少ないので、もう少し集めてみるとまた話が違ってくるかもしれない。


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月=11日〜翌月10日

この時間帯は2回前後の営業回数。最大は4回。出庫して営業できそうなエリアにいくために30分近くかかることもあるため、実質1.5hくらいのはず。コロナ前の3月は客単価が1416円なのに対し、5,6月は528円、303円と非常に低い数値になっている。

4月の数値が高いのは、早番に変えてもらっていたため、少し行動パターンが違っていたからかもしれない。

そして、この表を見て萎えるのは、乗務回数の少なさである。4,5月は乗務が減っていたのだが、6月、7月についてはうまく体調コントロールが出来なかった。正直休業中に完全にリズムが狂ったというのもあるのだが、慣れるのに時間がかかるハードな仕事だから、まぁしょうがないと言い聞かせよう。根性で乗務回数を増やした結果、重大事故を起こすなどしたら、この先続けられなくなってしまうのだから。

とはいえ、乗務回数を増やさないことには話にならないので、8月は10回、9月以降は12回を目標にしよう。ちなみに今はフル勤務で11回のシフトになっている。

今月は風邪で2回、暴行被害で2回お休み……。痛いぜ……。まぁ休んでいる間に頭を使おう。というわけでデータを整理しているのである。

この時間帯は、出庫直後であるためコントロールが利きやすいのと、営業スキルが向上したかどうかをはかる良い指標になる。夜の時間帯は、ロングが出るかどうかによって客単価は大きく変わるのと、起きていられるかどうかというフィジカル面の要因が大きい。そういう意味で、一番フレッシュであり、行ける場所も限られているこの時間帯は今後も重視していきたい。

そして、こうやってデータが溜まっていくと俄然やる気になっていく。データを溜めたくなるのは研究者の癖みたいなものだ。

そう、大学院でデータを溜め始めたのはもう10年も前になるのか。あの時学んだことを活かして、タクシーのデータを処理することになるとは……。人生何が起こるかわからないものだ。

でも、データ集めて、発表する度にボロカスに言われ続けて、借金だけが増えていった時代よりも、今の方が生きている感じがして楽しい。

今は自分のため、家族のためにやっているからというのもあるし、他のタクシードライバー仲間に好きな人が多いのよね。なるだけ長く続けていたい。

そのためには……。



俺は

死んでも守る

免許の点数を!!!



というわけで、次は17ー19時編です。データ処理だけで3、4時間かかるので、更新はだいぶ先になるかもしれません。一回作ったらデータを足していくだけなので簡単なんですが。

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作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。

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