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文筆業を志してから7年が経った時、7歳の息子から聞かれた。「パパの将来の夢って?」



誰が風をみたでしょう ぼくもあなたも見やしない

けれど木の葉を震わせて 風は通り抜けていく

風よ翼を震わせて あなたのもとへ届きませ


この詩を覚えているだろうか。庵野秀明が声を吹き込んだ「堀越二郎」が絵に描いたような棒読みで吟じたものである。そう、宮崎駿監督の映画『風立ちぬ』での一幕である。

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この映画では、第二次世界大戦前後の人間ドラマを描いている。

と同時に、宮崎駿監督の芸術論、表現者論が語られている。


この映画では関東大震災の悲劇から、不治の病としての結核の流行、そして第二次世界大戦へと進んでいく日本の姿を生々しく描かれている。その中で、ぼくにとって最も印象的だったのが、主人公の堀越二郎と、設計家カプロー二の交流であった。

堀越二郎というのは、実在の人物で零式艦上戦闘機、通称零戦の設計者である。ただ、「実在の堀越二郎」をかなりアレンジしているので、同一人物とは言いがたい。

余談だが、零戦を設計していた会社は三菱重工で、戦後の1950年に設立された三菱重工サッカー部は、浦和レッズの前進となった。

カプロー二も実在の人物でイタリア人の航空機設計家である。この二人に実際の接点はないのだが、宮崎駿の脳内宇宙では、二人は夢の中で出会い、夢を語り合ったことになっている。カプローニは、二郎の師匠として、何度か現れては印象的な言葉を残す。


「まだ風は吹いているか日本の少年よ!」

「はい、まだ風が吹いています。」

「では生きねばならん!」


カプロー二は、若き堀越二郎に夢を語る。

そして、堀越二郎も夢に向かって走り続る。



「まだ風は吹いているかね?」

「はい、吹いています。」

「設計で大切なのはセンスだ。センスは時代を先駆ける。技術は後からついてくる。」


ぼくはこの言葉を大切にしている。ここでいう設計とは、表現のことである。宮崎駿は飛行機の設計などしたことがない。従って、設計のことなど何もわからない。彼が語っているのは表現についてだとぼくは考えている。

つまり、表現とはセンスなのだ。ぼくが代表するOWL magazineにも、文章を書いてみたいという人がよく訪れる。その時ぼくは技術の高さについてはまったく気にしない。小学生程度の文章力でもまったく問題がないと思っている。

ただしセンスは必要だ。センスがなければ伸びない。「センスは時代を先駆ける。技術は後からついてくる。」もっとも、文章を添削指導してまったく技術が伸びていかない人もいる。まったく成長しない原稿を何度か見ると、流石に面倒は見切れなくなる。センスだけでも駄目なのである。


「空を飛びたいという夢は呪われた夢である」

「ぼくは美しい飛行機を作りたいと思っています。」

「ブラボー 美しい夢だ。創造的な人生の持ち時間は10年だ。設計家も芸術家も同じだ。君の10年を力を尽くして生きなさい。」


創造的な人生の持ち時間は10年——。

この言葉は32歳のぼくの頭をがつんと殴りつけた。そして、強く思った。今から10年は文章のためだけに生きようと。

ぼくにはセンスがあったはずだ。そして、技術も後からついてきた。だから、本を出すという夢も叶った。立派な成果じゃないか。何らかのコネがあったわけでもなく、周りの人に助けられながらではあるが、実力だけで書籍の出版まで持って行った。そして、賞も取った。

ただ、もしかしたらぼくは満足していたのかもしれない。いや、きっとそうなんだろう。文章書きとしてはある程度完成したと自分で思ってしまったのではないかと思う。


ぼくは、満足していた——。



この恐ろしい事実に気付いたのは、息子の言葉だった。

「ねぇパパ。パパは本を出すって夢を叶えたんだよね。」

「うん、そうだよ。小学校の時の夢なんだ」

「じゃあ、今の将来の夢はなんなの?」

「あはははは、パパには将来の夢なんてないよ。パパはもう大人だからさ、将来なんてないんだよ」

息子は少し不思議そうな顔をしていた。



ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!


なんてことだ!!!!!!!


将来がないなんて!!!!!



将来というのは、「将(まさ)に来たらんとす」という意味で、要するにすぐ目の前の未来のことである。将来がないというのはどういうことだろうか。どんな人にも、生けとし生けるものすべてに将来は存在しているのだ。

もし明日死ぬとしても、何十時間かは猶予があるはずだ。つまり将来はあるのだ。

どんな時だって将来はあるんだ!!

その時間を漫然として使うか、夢に向かって進んでいくか。どちらが正しいかどうかはわからない。しかし、どちらを望むかは決めることが出来る。


そんなのは決まっている!!例え余命が1年だろうが、1ヶ月だろうが、1時間だろうが、夢を持ってそこに向かっていく生き方のほうがいい。そうやって生きていくべきだ。

ぼくは完璧な人間じゃない。というよりも不完全な人間の代表例だ。会社に行くときはいつも忘れ物をするし、タクシー乗務を始めて半年で4点も点数を引かれたし、酒を飲み過ぎてわけがわからなくなることも多い。

でも、こんなぼくだけど。いや、こんなぼくだからこそ。夢を見る人生を選んだんじゃないか。

夢を追い続ける限りは、人生の主人公でいられるのだ。

虹に手が届くかどうかが問題じゃないんだ。

人は、虹を追っている人に注目するんだ。


I believed I'd catch the rainbow...


虹を掴んだはずだった。ぼくの夢は叶ったんだ。

だけど、その時すぐに次の夢を描くべきだった。もちろん、浸る時間はあっていい。休むことだって必要さ。でも、時間は限られているのだ。

創造的な人生の持ち時間は10年だ。

ぼくが文筆業を始めたのは2013年だから、あと3年残されている。この3年で何を夢を見るか。

もっともっと良い文章を書けるようになろう。今だって技術は十分に付いてきている。だからといって、ここで終わっていいわけじゃない。あと3年は追求していこう。ぼくに残された時間は3年だ。その3年で創造的な感性を最大まで伸ばす。

もっと映画を見よう。もっと小説を読もう。もっと色々なことを書こう。学びにならない人間関係は断とう。同じく夢を見る人と付き合おう。

酒はそこそこにしよう。遊びもそこそこにしよう。

まずはこの3年で、タクシー本を出す、小説も仕上げる、サッカー旅記事でも大きな成果を出そう。そして、3年が終わったら後は、次の夢に向かう。


「ねぇパパ。パパは本を出すって夢を叶えたんだよね。」

「うん、そうだよ。小学校の時の夢なんだ」

「じゃあ、今の将来の夢はなんなの?」

「うん、5年以内に社長になろうと思っているんだ!」


正直今、悔しいことがある。

今も人を育てる活動はしているのだが、経済的な保証をしてあげることが出来ない。OWL magazineの小さな稼ぎだけでは、原稿料以上のお金を出してあげることが出来ないのだ。

ぼくの周りに集まる人が、もっと自由に夢を追えるようにするためには、今よりも真摯にビジネスに向き合う必要がある。

だから社長になるというのは現実的な目標だ。

それが出来たら次はどうする?

3年後は42歳。社長になるのも42歳だとしよう。株式会社を作って代表取締役に就任すること自体はそれほど難しいことではない。十分達成可能な夢だ。もちろん、どんな事業をするかは考えなければならないが、それはまた別の話だ。

人間の数だけ悩みはあり、悩みの数だけビジネスはあるのだ。

社長になったら次の夢はどうしようか。


今すぐには見えてこないな。

カバンの中も、机の中も探したけれど見つからないのに

まだまだ探す気ですか?

それよりぼくと語りませんか?

夢のことを 夢のことを 一晩中でも語りませんか?


今から10代の学生みたいなことを言う。

ちょっと恥ずかしいけど、照れずに言う。


俺には夢がある!!

だからこそ、俺は主役なんだ!!

俺は誰よりも輝いた人生を送ることが出来る!!

何故なら俺は夢を諦めない男だからだ。


俺は夢を見ることをやめない。

だから、人に夢を見せることが出来る。

人の夢も育てることが出来る。


日本は衰退していくかもしれない。

世界も不安定になっていくかもしれない。

だけど、俺は夢を見る。

本物の夢を見る。

馬鹿にされようが、見下されようが、そんなのは知ったことではない。

やりたいことはみんな実現させて見せる。

それが俺の人生だ。


一緒に夢を見ようと思う人はついておいで!!

夢を語りたい人も一緒に飲もうじゃないか!!


愛する息子よ、愛する娘よ、愛する妻よ、ついでに猫よ。

そして、ぼくのことを見守ってくれる数多くの友人達、読者の皆様。


ぼくは今まで以上にもっともっと大きな夢を見る。そして、それを叶えるために生きていく。だから必ず夢の途上で死ぬことになる。

でもそんな人生を過ごしたいんだ。


ああ、次の夢も生まれてきた。社長になってから、あるいはそれと平行してやりたいことがある。

自分がメインのラジオ番組が作りたい。タクシーをテーマとした番組としたら非常にフィットするのではないだろうか。

番組アシスタントは誰かって?


ホリプロに全力でオファーだ!!!!!!!!!


俺はさとみきちゃんをタクシー業界の星にする!!!!!!


結構本気なのである。


サトミキちゃんともう一度共演したい。サトミキちゃんに毎週会いたい。それが俺の夢だ。


本気と書いて、マジと読む。


婆羅門!


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作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。
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