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雑感

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いくつかの人生

いくつかの人生

「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います。」
北村薫がデビュー作「空飛ぶ馬」のあとがきに書いている。これは子育てにもあてはまる。はじまりは幻想(恋愛)、はたまたしっかりとした家族計画からか。でも育児には自己犠牲や養育、将来の教育費など不安はでっかい。実際にも楽しみ半分、苦労も多い。でも、成人すればそれぞれの道を歩み出しその生き方を疑似(?)体験できる。つまり、自

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元素図鑑

元素図鑑

とても高価な本なんだけど平積みされている「元素図鑑」
この手の化学本ってわざと難しい表現ばかりでつまらないのが定番なんだけど、この本はレトリックのお見本だらけで本当に面白い。
以下は、扉のイントロダクションを引用。

「周期表は、あなたが自分の足の上に落とすことができるあらゆるものが載った、普遍的なカタログです。世界には光、愛、論理、時間のように周期表にはないものがありすが、それらは足の上に落とす

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こどものお土産。

こどものお土産。

我が家の一丁目一番地に置かれているものは、修学旅行のお土産としてやってきた本人も忘れている手塗りのシーサ。

熱海カルデラ

熱海カルデラ

熱海火山のカルデラから海没した南陵にたつ白波に想いはせる。

武蔵野台地

武蔵野台地

山手通りや環七の神田川、渋谷川と目黒川流域で削られた河岸段丘の高低差を楽しみながら走るのが好き。

東名高速

東名高速

‪炭酸飲料メーカーの赤い馴染みのある筆記体ネオンが左手に見えるあたりでテールゲイトに三島由紀夫が市ヶ谷のベランダで右手を斜め15度に振り上げたイメージをデコレートした大型トラックをやり過ごすと路が直進することを諦め大きくうねりだす。落ちることを諦めた雨が行き場を失い漂い視界を塞ぐ。‬

河と海

河と海

午前5時前に起きて河が海と出会って絶望しているのを横目に防波堤を持続可能な閾値走で覚醒してコミュニティの回覧板を配布したあと朝食と昼食を同時に摂って長めの午睡後の薄暮に長めの入浴をしてAORを聴きながらビールを飲むロスジェネの小説のような日曜日を過ごした。

地下

地下

世田線のどん詰まり三茶のすずらん通りで豚骨の魅惑フレイバーに誘惑されながら246と3号線の立体レイヤーを視線から外してかび臭い新玉川線の地下への階段を無自覚に共時的意識で降下するとおどりばには品のいい記念碑のようなベンチと茄子とスプーンにもみえる母と子のレリーフに目撃されて絶望の急行列車を見送るとそこには地底の硬質なものしか残されていなかった。