見出し画像

中国武術の正式弟子(拝師弟子)と学生との差!!認識力と思考方法の継承

中国武術の練習生は、「正式弟子」(拝師弟子)と「学生」の2種類に分けられます。

これは、昔の武術界における考え方で、現代では、このように練習生を分類している教室は、少ないかもしれません。

昔の練習生の分類


当教室も、このように練習生を、分けて教習する事はありません。

ただ、少なくとも当流では、私の世代までは、潜在的にこのような分類が存在していました。

私の師は、潜在的に練習生を分類していたので、最近まで続けられた考え方だとも言えます。

それだけ真剣に、継承する人間を選別していたとも言えます。


「正式弟子」と「学生」とは


中国武術では、伝統的に「正式弟子」と「学生」の二種に「練習生」を分けていました。

「正式弟子」と「学生」の違いは、特に昔の教習では、大きな差を生みました。

この「正式弟子」の事を「拝師弟子」という場合もあります。

日本では「内弟子」が一番近い言葉だと思います。


「正式弟子」と「学生」の違い


「正式弟子」と「学生」の違いは、色々な意味がありますが、一つの理由として「思考法」の継承が上げられると思います。

両者の学ぶものは、大きく違ったものではありません。

もちろん、昔は「正式弟子」でしか学べず、一般の「学生」には教えない「技術」「秘伝」や「秘訣」と呼ばれる技法が存在しました。

これらの技法は、昔は外部に隠して秘密裏に継承されてきたのも事実です。

しかし、現在では特に教える内容に大きな差異はありません。


ネットと情報処理


現代では、全てとは言いませんが、多くの技法が公表されてさえいます。

ネット上を検索すれば、多くの情報を手に入れる事も出来ます。

もちろん、だからといって、これらの情報だけで「武術」を身に付ける事は難しいでしょう。

何故なら、これらはただの情報でしかないからです。

これらの情報を活用する「認識力」と「思考方法」が必要です。


情報とソフト


上記を例えるなら、「ハードディスク」に蓄積された情報はあっても、それを使うための「ソフト」がないようなものです。

つまり、「正式弟子」と一般の「学生」との違いは、「認識力」と「思考方法」である「ソフト」が構築されているかどうかにあります。

そのため、この両者には大きな差が生れるのです。

それは、「ソフト」の構築状態によって、同じ「技術」を学んでも、捉え方が変わってくるからです。


技術の捉え方


極論すれば、「師」から学ぶ「技術」は、一つの情報に過ぎません。

これを正確に捉える「思考法」と「認識法」が必要であり、情報を運用するための「認識力」と「思考方法」こそが「ソフト」なのです。

そして、「師」から学ぶ「技術」という情報を正確に捉えるためには、「師」と同じ「考え方」、「思考法」、「認識法」が必要となります。

極論すれば、「師」と同じ「性格」「人格」の人間ともいえます。

つまり、「師」と同種の「ソフト」を持つ人間という事です。


ソフトの継承


本来の武術において、「師」から学ぶ「技術」という情報は、「師」の「思考法」、「性格」を含めた「個人」が前提となって形成されています。

そして、「武術」の教習とは、情報を与えるだけではなく、「認識力」と「思考方法」である「ソフト」の構築も行うのです。

そして、練習者の現在の「バージョン」の「ソフト」で、処理出来るであろう情報を、教習者は選択して教習します。

多くの情報を一度に教習しないのはこのためです。

そのため、昔の「正式弟子」も、「師」と寝食をともにするなど、なるべく「師」と時間を共有する事によって、これらの「思考法」、「性格」を最大限トレースし、「ソフト」の構築を行おうとしたのだと思います。


ソフトの継承をなされた弟子


「ソフト」の構築がある程度なされた「正式弟子」は、「師」の簡単な説明からでも、普通の「学生」の何倍もの理解を示す事が出来ました。

当然の話しですが、現代で、前述のような指導は難しいと思います。

そのため、現代の「練習者」には、学ぶための「工夫」が必要なのではないでしょうか。


ネット上の情報


前述したように、現代ではネットで検索すれば多くの情報を手に入れる事が出来ます。

しかし、「ソフト」の構築が出来るのは、「人」からの、直接的な教習だけなのではないかと思います。

そのため、「明師」につき、学ぶ事が必要なのです。


当教室note


noteを含めた、当教室のサイトでも、技術を一部公開しています。これは、情報の公開でしかありません。

当然、「ソフト」の構築のための媒体とはなりません。

これらの情報を、どのように活用するかは、受け取る側に委ねる他ありません。

どのような媒体であっても、直接的に長期にわたり、頻繁に学ぶという、本来の継承法と同じ事は難しいと言えます。

昔は、実際に会って学んだとしても、伝統武術では、継承できる事が稀だったのですから、なおさらでしょう。

しかし、逆に言えば、一つの流派の継承に、こだわらなければ、受け取る側の自由に活用する事が出来るとも言えます。

そして、現代の一般練習者の多くは、そのような情報を求めているように思います。

技術解説




ホームページのリンク

YouTubeチャンネルのリンク

太極推手クラス


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?