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自分の訃報記事を書くということ

「日はまた登る」「武器よさらば」「老人と海」など数々の名作を生んだ作家アーネスト・ヘミングウェイ。1954年に2度も飛行機事故にあっったにもかかわらず生還しますが、多くの新聞社は早まって彼の訃報記事を載せてしまったのだとか。

面白いのは、ヘミングウェイが自分の訃報記事をスクラップブックにまとめて、毎日朝食後にシャンペンを飲みながらそれを読んでいたということ。冒険家で型破りだった彼らしいエピソードです。

ヘミングウェイだけでなく、自分の訃報記事が何らかの手違いで生前に書かれてしまうことがあるようです。

さらには、自分の訃報記事を存命中に書いてしまう人も最近では増えているとのこと。しかも、訃報記事の作成方法を教える本やオンライン講座まであるのだそうです。まさに「究極のセルフィー」。

このような風潮をテーマとして制作された映画「あなたの旅立ち、綴ります」。生前に自分の訃報記事を書くよう依頼した主人公ハリエット・ローラーが、自分の人生を見つめなおす姿をユーモアいっぱいに描いた心温まる作品です。

映画「あなたの旅立ち、綴ります」

あらすじ
自分の訃報記事を生前に執筆することにした裕福な老婦人ハリエット。地元の新聞記者アンに依頼しますが、わがままで自己中心的なハリエットをよくいう人は誰もいません。そこでハリエットは、「最高の訃報記事」を書いてもらうため、自分を変えることを決意します。

堅物で強気なハリエットと一歩を踏み出す勇気のないアンは、正反対で何度もぶつかり合いながらも、少しずつ絆を深めていきます。どこにでもあるようなストーリー展開ですが、「生前に自分の訃報記事を書く」という現代の風潮を捉えた本作のテーマが面白いと思いました。

キャストも本格派ぞろい。ハリエット役には、80歳を過ぎてもエネルギッシュな大女優シャーリー・マックレーン、新聞記者アン役に、個性派女優アマンダ・セイフライドがキャスティング。それぞれ役のイメージにピッタリで、シャーリー・マックレーン演じるハリエットは、「これって彼女自身なんじゃない?」と思わせるほど。監督と脚本家が、直接マクレーンに「この役を演じることができるのはあなたしかいない」と手紙を書いて出演をお願いしただけあります。

さらに本作では、音楽も大きな役割を果たしています。音楽好きなハリエットが選ぶ曲は、あまり知られていないアーティストの曲も多くて個性的。これには映画の予算が限られていたことも理由だそうですが、選曲はまさにハリエットの人生を物語っているかのようです。

「最高の訃報記事」に欠かせない4つの条件とは?

本作の中で、ハリエットが挙げた「最高の訃報記事」の条件がこちら。

①家族や友人に愛される
②同僚から尊敬される
③誰かの人生に影響を与える
④人々の記憶に残る

人生の先が見えた時、人は「自分の人生が周囲にどのような影響を与えたか」について思いを寄せてしまうのかもしれません。

「自分が死んだ後なんて、人にどう思われてもいいんじゃない?」と思っていた私。でも、死を見つめるということは、自分の生を見つめ直すことなのだと考えるようになりました。物事をあとまわしにすることなく、後悔のない毎日を過ごしたいものです。

おわりに

ヘミングウェイの話にもどりますが、墜落した飛行機からどうやって生還したかも印象的。煙がいっぱいの機内に閉じ込められたヘミングウェイは、自分の頭でドアを突き破り脱出したのだそうです。まるでアクション映画のワンシーンのよう。

困難にも勇気を持って立ち向かえば、物事は変えられるということを教えてくます。たとえ状況は変えられなくても、「それでよし」と思える自分に変われるような気がします。

少し重いテーマで書いてしまいましたが、映画「あなたの旅立ち、綴ります」は、ノリノリの音楽でユーモアたっぷりの楽しい作品です。

機会があれば、ぜひご覧になってみてくださいね。


最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

参考
映画「あなたの旅立ち、綴ります」公式サイト







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