満員電車からの解放|#01 クオリティソフト株式会社
第一回は、「エンジニアとして田辺・白浜エリアにUターン就職」をされた龍神村出身の古久保晃汰(ふるくぼ・こうた)さんにお話を伺いました。
執筆・撮影:合同会社ギンエン(東詩歩)
とにかく満員電車から解放されたかった
「とにかく満員電車が辛かったんです」。
自然豊かな龍神村で育ち、電車で通勤・通学する習慣のない地域から、専門学校への進学を機に大阪へ。学生時代は、自宅から学校への距離も近く、特に通学に支障は感じておらず、友人と遊びに出かけたり、買い物に出かけたりと楽しい時期を過ごしていました。
ただ、転機が訪れたのは、大阪の企業に就職をしたタイミング。毎朝、堺筋線に乗る通勤生活が始まりました。
「そんなに長い時間じゃないんですよ。たった15分くらい。それがとにかくしんどい。夏場は、隣の人の汗がじわーっと滲んでくるんですよね」。
大阪や東京などの大都市出身の方からは、たった15分と思われるかもしれません。しかし、車で移動することが当たり前の地域で育つと、隣の人と毎日肩がぶつかる生活は、想像以上のストレス。
また、日常生活でも「歩いているだけで目の前からどんどん人がやってくるんですよ」と人の多さについて小さなストレスが毎日溜まっていったことを回想する。
都市部から移住される方からは、電車が1時間に1本しかないことや、どこに行くにも車が必要になることは負の側面として捉えられることもあります。しかし、古久保さんにとっては、元の生活に戻るだけなので、そこまで不便や苦労は感じなかったそう。
働く環境が決め手
龍神村に実家があるため、いつかはUターンをしようと決めていました。ただ、ご自身のキャリアとして、すぐに地元に帰るのではなく、大阪で経験を積んでからと考えていました。
そして、働きながら、いくつか会社を探すなかで、学生時代から気になっていたクオリティソフトを改めて検討。働きやすい環境に惹かれて入社を希望するようになったと言います。
自然に囲まれたオフィスで、満員電車に乗ることなく、快適な日々を送っているそうですが、転職を考える際には懸念点もありました。
移住に伴う転職のリアル
Uターンで都市部から和歌山に移住を検討する際、壁になるのはやはり「仕事」。
古久保さんも、前職よりも給与が下がること、新しい環境でうまく馴染めるのかということを心配していました。
「ただ、大阪で、趣味の車やバイクを駐車すると月々の駐車場代だけで、かなりの額。駐車場代の安い和歌山なら、その費用が浮くことになりました」。
転職でみなさん悩みどころの給与面は、額面はもちろんですが、それ以外にライフスタイルの変化や出費の変動も考えると、数字だけではない部分が決め手になることもありそうです。
そして、新しい職場に関しては、今ではチームメンバーに慕われる存在。「価値観の違う人と関わるのが好き」「若いメンバーが多く、新しい価値観を知ることができることがうれしい」と社内の関係性も良好な様子。
現在は、開発・テストのチームが合体した組織で、若手メンバーのメンターというポジションでお仕事をされています。
また、以前は、お客様先に出向くことが多く、京都や滋賀への出張もありました。現在、クオリティソフトでは、自社製品の開発をしているため、電車移動もなくなり、かなりストレスフリー。
Uターン後の生活
古久保さん、Uターン後は、職場にも実家にもほどよい距離でアクセスできる田辺市を拠点に生活されています。大阪に住んでいた頃も、田植えや稲刈りなど、季節のイベントごとに龍神村に帰省していました。それに比べると、田辺市から40分ほどの距離で通えるため、帰省も気軽になったとか。
「最近、家を建てたんです」。
笑顔でお話してくださった、お家の話。細やかなこだわりを詰め込んだことを教えてくださり、勉強家な様子が伺えました。
業務が終わると、そのまま帰宅。休みの日には、自然豊かな和歌山で、ドライブや釣りを楽しむことが増えました。「とにかくロケーションが最高です。ぜひ車を好きになってください」とUターンをポジティブに考えるメッセージをいただきました。
クオリティソフト株式会社について
2016年に東京から和歌山県白浜町に本社を移転。
「クラウドサービスとパッケージソフトウェア製品の開発及び販売業務」「ドローンソリューション関連事業」などを手がけています。
保養地として使われていた建物をリノベーションして作られたオフィス。広々とした青空のもと、丁寧に手入れされたグリーンと壁のアートが調和していました。
▼クオリティソフト公式HP
ちなみに、この建物にある社員食堂がおいしいと有名で、地元の方も気軽に利用できます。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
編集後記
地元にUターンをするといっても、古久保さんのように、同じ和歌山県内でも、地元だけが選択肢ではなく、隣の県や市町村を視野に入れたUターン(県内Jターン)のような形式もあるんだなと新しい選択肢を知ることができました。
「実家の都合でUターンをしないといけない」と聞くと、せっかく県外で築いた関係性やキャリアを置いて、新たに挑戦・出発しなければいけない。そんな風に、ネガティブな印象を抱く方もいるかもしれません。しかし、古久保さんのお話や選択を聞いて、こんなに柔軟なUターンがあるのかと発見がありました。
このインタビューをきっかけに、Uターン就職を検討されている方の背中を押すことができていれば幸いです。