高知のカツオと鯨と息子の約束
ホテルに泊まったらいつもロックアイスと牛乳と無糖の紅茶をコンビニで買う。それを部屋のグラスでミルクティーにする。ちょっと贅沢な瞬間だ。今日のミルクティーはいつもと味が違う、間違えてレモンティーを買ってしまったようだ。残念すぎる。ロックアイスとレモンティーを水筒にいれて出発の準備した。
四国を時計回りしながら室戸岬を経由して高知に向かう。今日は雨が降っているけど、屋根付きなのでちょっとの雨でも平気だ。顔はまったく濡れない。お遍路さんをチラホラと見かける。お遍路さんのための休憩所もチラホラ見かける。
道の駅で“はんごろし”というおはぎを買った。仰々しい名前だけど半殺しという名前のおはぎは普通のようだ、知らなかった。旅のおもしろさは、こうやって知らないことを知ることだ。
知ってる場所にずっといて、つまらなくなってしまうのはそういうことだ。だから人は知らない場所に旅へ行きたくなる。
室戸岬を通過して、途中から電車に乗り換えて高知にきた。電車の中で美味しいカツオの店を探す。海外旅行するときは地球の歩き方をいつも買うけど、国内旅行でガイドブックを買ったのははじめてだ。
翌日は朝早くからホエールウォッチングのため漁船に4時間乗船する。前日にしっかり睡眠をとることが必要だ。でも高知で美味しいカツオが食べたいしお酒も飲みたい。そして息子とFaceTimeでお話しする約束もしている。
鯨とカツオと息子の全てをこなすには、バイクから電車に変えないといけない。あとは高知駅でカーシェアすればいい。バイクはあくまで旅の手段だ、目的と手段を間違えてはいけない。
気仙沼漁師カレンダーの撮影で漁船にたくさん乗ったけど、できればもう漁船には乗りたくない…。漁師カレンダーを撮影して、自分がめちゃくちゃ船酔いするタイプだと知った。普通に乗ってても酔ってしまうのに、狭いファインダーをのぞくのだ、劇的に素晴らしく船酔いする。
鯨はみたいけど気が重い。高知に到着すると「明日の出港は中止」という連絡が入った、残念な気もするけど少しホッとしたような気もする。
カツオを食べた。もうほんとにめちゃくちゃ美味い。餅みたいにしっとりしている。今年のカツオは東京のスーパーで買っても美味しかったけど、やはり水揚げ地は鮮度が違う。
刺身とタタキで注文して、締めに土佐巻きを注文した。カツオ大好きくんみたいなオーダーだけど、東京では食べられないので「もうカツオ食べたくない」ぐらいまで食べておきたい。明日の鯨が中止になったので、明日もカツオを食べよう。
FaceTimeでカツオの美味しさを息子に語ったけど、息子はカツオに興味がないようだ。お母さんと作った折り鶴を見せてくれたので、ぼくは息子へのお土産に海でひろった貝殻とシーグラスを見せてあげたらよろんでいた。
「おとーさん、かえったら一緒にゲームしようね」といわれた。東京に帰るたのしみが一つできた。ゲームをすることがたのしみというわけじゃなくて、息子との約束を守ってあげることがたのしみなのだ。
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