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Pro Toolsのこと

Pro Tools 2020でようやくフォルダートラックが追加されました。他のDAWでは当たり前の機能でしたがこれでトラック整理が楽になります。今までだと単純な整理目的であってもグループやらVCAやらAUXを駆使してやってきたことがあっという間に出来るのは本当にありがたいです。詳細はAvidのサイトのこちらをご覧下さい。

Pro Toolsとはずっと付かず離れずでもうかれこれ20年(!)ほどのお付き合い。自分の場合は主にMAスタジオさんにお渡しする目的と曲のマルチトラックをアーカイブ化する2つの目的で使っています。それでもあまり積極的ではなくてギリギリまで他のDAWで作業してステムを書き出してPro Tools上で整理するのが常でしたが、最近は突然「結局MA入る事になりまして...」とか「一応サラウンドミックスも作る事になりまして...」みたいな流れが来る事にビクつきながら作業する事に段々疲れてきまして、クライアントワークに限っては事の始まりからPro Toolsで作曲開始することも増えてきました。実はある時期からPro Tools上でのMIDIの打ち込みが結構やりやすいという事は分かっていたのですが、如何せん自分の作業環境だとどうもPro Toolsが思うように動作してくれず...。新しいマシン導入後でもCPU負荷が頻繁に異常な数値を示したり、ビデオエンジンを立ち上げただけでメモリを占有してしまったり、Rec待機した途端突然落ちたりとかなりエラーが多かったので、そんな環境で作曲する気には到底なれず、せいぜいオーディオデータのやり取りにしか使えず困っていました。そんな状況をちょっと変えようとあれこれ模索し現在はPro ToolsはMacではなくWin10環境で運用しています。思い切ってHDX導入も当然考えましたが、絶対に何が何でも生楽器をゼロレイテンシーで録音しなくてはいけない状況でもないですし。今はノーマル版でしかもサブスクリプション。オーディオインターフェイスはUSBの類は使用せずRMEのHDSPe RayDATを使用しているおかげでH/W バッファサイズはオーディオだけであれば何とか64サンプルまで詰められ、MIDIやインストルメント(Vienna Ensemble Pro経由で別途音源用PCを併用)で打ち込む場合でも256サンプルのままトラック数に神経を尖らせる事なく最後まで(ミックス前に全てのインストルメントトラックをコミットするまで)作業できるので、まぁまぁよしとしています(それでも過去の状況に比べたら最も良い結果)。CPU負荷もそれほど多くなくMac環境時代よりも快適に使えています。ちなみに今回のバージョンアップではCPU負荷も改善されているようで、自分の環境では3〜5%ほど微妙に向上しています(少しのストレス軽減でも重要!)。

Pro Toolsのオーディオ編集の偉大さはもはや書くまでもありませんが、何気に個人的に便利だなと思うのはリアルタイムに打ち込む際のクオンタイズの設定が各トラック個別に出来る事でしょうか。

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例えばということで上の画像では上から16分、8分、4分音符とトラックごとにクオンタイズの設定を変えています。これらの設定は「リアルタイムプロパティ」から簡単に行えます。他のDAWだと別のトラックをRECする度にいちいちクオンタイズの全体の設定を変えなくてはいけないのでかなり重宝しています。あとはやはりワークスペースから作るトラックプリセットでしょうか。CubaseStudio OneAbleton(の場合はInstrument Rack)などにも同様の機能はありますが、マルチアウトの設定やAUXセンドの設定も全て包括して読み込んだり、トラックカラーやトラックコメントに至るまで目的に合わせて読み込む設定を細かく取捨選択できるのが非常に便利です。自分はこれによってひたすらに待ち時間の異様に長い大きなテンプレートを開くストレスから解放されました。

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例えば上の画像はパッド系の音色プリセットの一覧で、ローカルだけでなく例えばVienna Ensemble Pro(以下VEP)のような外部ネットワークのインストルメントであってもプリセット化してすぐにロード出来ます(VEPは予め立ち上げておく必要あり)。元々自分は大のテンプレート嫌いで、できれば真っ白の状態からその場のアイディアでチャレンジしたいと思っていたので、Pro Toolsのそれはまさに理想の機能です。ちょうど30年近く愛読しているサウンド&レコーディングマガジン2020年4月号の中土智博さんのコーナーにトラックプリセットとワークスペースについての素晴らしい記事が載っていますので、ぜひご一読を。完全にそちらの記事の方が良質です。

ということでPro Toolsは決して敷居は高くなく、むしろ分かりやすいDAWのひとつだと思いますし、外部スタジオとのやりとりやアーカイブ化を考えればここまで普及しているDAWはまだ他にないと言い切れます。そしてまだ何のDAWにも染まっていない初心者の方にこそお勧めしたいDAWです。

下世話な話、もう少し儲けが出れば扱うトラック数が完全に担保されるHDXを導入したいところですが、まぁ延々と細々とやってますからねぇ。。。当分は長ーい道のりです。

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