十六人一首ZINE

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おひさしぶりにnoteを書きます。新しいZINEができました。

タイトルは…。

「Open your window Listen to the windsong   ー疫病の時代の十六人一首ー」

タイトルどおり、コロナの自粛期間の時期に敬愛する物作りのアーティスト達に私から依頼して、コロナ禍にまつわる、いろいろな感情を言葉にしてもらいました。そして、百人一首のように、言葉にまつわる写真、イラストを用意していただき、言葉は活版印刷、対になるカードはコロタイプ印刷という珍しい技法で名刺サイズのカードに印刷してもらいました。

そして、また再びコロナが蔓延しつつあります。今だからこそ、収録されている言葉達に共感したり、癒されたり、ふふふと笑ったりすることがあると思います。(実際、私がそうでした。)

昨日、発送し、本日MOUNTZINE様に納品される予定です。そして、来週の連休には、ご寄稿してくださった十五人の詠み手の方に発送予定です。もうしばらくお待ちくださいませ。順番が前後して恐縮です。

詠み手の方達には、本当に至らない編集でご迷惑やお手数をおかけしました。皆様に暖かく見守っていただき、無事、編集を追えられました。ありがとうございます。自分の作品は、いつも至らずすいません…という感じなのですが、今回は皆様の作品がどれも素晴らしく、きっと今の状況の中、いろんなものがもらえると自信があります。お手にとっていただけたら幸いです。

以下、ZINEに入れておいたご挨拶の文をそのまま、記載します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーBook Bandの「十六人一首」を読まれる方へ。 編集者からのMC

日本に新型コロナウィルスが蔓延しはじめた4月上旬、自粛生活が始まり、世の中は大きく変わり始めていた。
少なくとも私が生まれてから、かってないことが起きているそう感じた(そして、これを書いている最中、報道では緊急事態宣言が解除されてから最多の感染者数と発表された)。

4、5月の自粛生活の間、私は私たちがどう考え、なにを想い、その中でどのような日常、非日常を過ごしているかを知りたかった。それはどんな形であれ、私たちのこれから先の未来につながっていくものだし、私たちの心のこれからのありかたを現していると感じた。それを記録し、なんらかの形に残しておきたいと思った。いろいろ迷ったが日本古来の百人一首の形はどうだろうと考えた。そして外出できない状態のため、あえてというか、必然というか、ほとんどの人がお会いしたことがないSNSで繋がっている人に声をかけた。おそらく、その方が多様な地域の様々な声が聴けると思った。お声がけした人誰もが、私がZINEや作品を購入したことがある敬愛してやまない作り手達だから、この人ならという信頼感があった。最終的には十五人の方に引き受けていただいた。

依頼した方には、新型コロナに関係があってもなくても良いし、日常のささいなことでも非日常でも、表現方法は詩、俳句、散文、小説なんでも200文字以内であれば問わないと伝えた。今の気持ちを名刺版に詰めてくださいと。そして百人一首だから対になる写真、イラストもできる範囲で提供していただけたら嬉しいと伝えた。この時点では緊急事態宣言下だったので正直、状況の変化ではいろんな事が難しいとも考えていた。

5月に入って、作品が少しずつ届き始め、私は大事な人からの、近況の手紙を読むように、作品を読んだ。プリントアウトして実際に声に出して読んだりした。作り手達の深い場所から湧き上がる物語を感じた。読んでいるうちに、この表現が適当なのか自信はないが、編集者としては、この作品集は様々な作り手たちが組んだバンドのように感じた。カードの1枚1枚音色は違えど、通して読むと、1つの歌のように自分には聴こえてくる気がした。音楽をライブで聴く事ができない中でそれはすごく救われたのを覚えている。

そう、あなたは思い通りにいかない、制限のある毎日にうんざりしているかもしれない。あなたは自分の部屋にいる。窓をあけるように、このZINEの箱を開け、扉を開く、空気を入れ替えようとあなたは思っている。扉を開くと今はどこも野外フェスなどやっていないはずなのに、どこからか風が歌を運んでくる。その風の歌に耳を澄ませてもらえたら嬉しいと思う。世界がそれで変わることはないけれど、あなたは一人ぼっちではないことを、同じことを考えている人がいることをもしかすると、感じるかもしれない。大それたことかもしれないが、そう願っている。私たちはどこかで繋がっているのだ。

本にまつわる方も作り手の方に多いことだし(本ではなくカードなので、若干の無理はあるかもしれないが)、バンドが演奏しているようなZINEということで作者名は、「Book Band」と私は勝手に名付けている。
ただ、順番に読み進めるだけでなく、たとえば従来の百人一首のように、言葉のカードを読んで読み手の気持ちを想像して、対になる読み手の写真やイラストのカードを選ぶのも楽しめるかもしれないし、想像力が広がるかもしれない。自由に楽しんでいただけたら、良いなぁと思っている。

またこの作品達は作り手のポートフォリオにもなっている。対になる写真、イラストのカードの裏には作者のSNS、メールアドレスが載っている人もいるので、たとえば仕事の依頼だったり、感想を送るなど、この作品を通して、また温かい繋がりができれば嬉しいと思っている。

最後に至らない編集、世の中が大変な状況の中、今回の百人一首企画に参加してくださった15名の皆様、素敵な作品をどうもありがとうございました。また、活版印刷の佐々木活字店様、写真、イラストを美しいコロタイプ印刷してくださった京都の便利堂様、表紙の窓を1枚、1枚、作ってくださったペーパーエンジニアのhiromi takeda様、素敵な作品に仕上げていただきありがとうございました。心から感謝申し上げます。
いろいろ書きましたが、リラックスして、あなたの扉をあけて「Book Band」の十六人一首をお楽しみください。
では、MCは以上です。

新型コロナウィルスが収束すること、少しでも世の中に日常が戻ることを願って 。              
        2020年7月18日 自室にて おはなしの卵社 籏町 知尚

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