嘘つきおばあちゃん
言い訳あるならさあどうぞ by 私
そういえば、今何歳だっけ?
趣味のラジコンにハマりすぎていること、最近もの忘れが多いこと、同年代の人よりも多い白髪だらけの外見を気にしている先輩が、決まって夕方、今年だけで何回目かの同じ質問をするためにやってくる
え〜〜そっかあ、すごいねえ〜
今年何回目かの同じ回答を無邪気に笑って聞いている
よほど重症らしいので、何回目の質問なのかは教えてあげないことにする
その40代の先輩は、自分が何歳かわからなくなるというお決まりの話をして、いつまでたっても中身が青年で止まっているからねと、同僚たちと盛り上がる
ふと、思いを馳せる
子供の時から苦手なおばあちゃんがいる
子供が誰かを苦手とするのに、大人と違って理由がないことは無いのだろう
正月、ゴールデンウィーク、盆、年末に祖母の家へ帰省すると、これまた決まって言われた呪文がある
「あんたまた肥えたね〜」
小学校中学年の漢字ドリルではまだ習わない言い回しだ
「まあでも、女の子は20歳過ぎてからシュッとするけんね〜」
不安そうな私を見て、おばあちゃんも、周りの大人達もそうそう大丈夫だよと口を揃えた
おばあちゃんは、私の顔を見る度に私に呪文を唱え続けた
あれから十数年
40代の先輩の、年相応の自覚がないのは私も同じだ
小学生の時におばあちゃんにかけられた魔法のせいだ
「あの、私も成長止まってます」
「え〜、それは、まだ早すぎるよ〜」
今日もまた何回目かのご指摘をいただくのである
言い訳は胸にしまっておこう
だってまだ大人じゃない
だってまだ、シュッとしてないもん
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