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「リカバリー・カバヒコ」|青山美智子 についての感想【読書】

あらすじ

タイトル:リカバリー・カバヒコ

新築分譲マンション「アドヴァンス・ヒル」には、古くからの伝説が息づく。
近くの公園にあるカバのアニマルライド、「カバヒコ」は、自分の治したい部分を触れることで回復すると言われている。

この都市伝説に導かれ、5人の住人たちがそれぞれの悩みを打ち明け、心の傷を癒していく姿を描いた連作短編集。
各話は独立しているが、登場人物たちの繋がりが徐々に明らかになり、やがて一つの物語として結実する。

青山美智子によるこの作品は、どんな痛みも優しく受け止め、希望の光を照らしてくれる。

レビュー

優しさに包まれた「リカバリー・カバヒコ」

青山美智子の「リカバリー・カバヒコ」は、本屋大賞にノミネートされた感動的な連作短編集です。
寂れた公園に佇むカバの遊具には「触れることで治る」という伝説があり、そこに寄り添うのは、悩みを抱えた住人たち。

成績が急落した高校生、ストレスに苦しむ女性、母親との関係に悩む中年男性など、彼らの小さな痛みが、カバヒコを通じて癒されていく様子に心を打たれました。

一話完結の構成ながら、登場人物たちが互いにリンクし、感情が織りなす物語の厚みを感じます。
随所に散りばめられた人生の格言は、読む者に深い思索を促し、心の支えとなります。
特に「ちはるの耳」のエピソードでは、心の不安に寄り添う温かい言葉が印象的でした。物語を通じて「カバヒコ」はただの遊具ではなく、心の癒し手として機能し、我々自身が持つ心の力を再認識させてくれます。

読みやすく、心に響くこの作品は、日常に疲れた時の気分転換にもぴったり。
最終話でのクリーニング店のおばあちゃんとの結びつきも素敵で、全ての物語が一つに繋がる感動を味わえます。
「リカバリー・カバヒコ」は、誰にでも訪れる悩みと向き合う勇気を与えてくれる、そんな力強い作品です。

こんな人におすすめ!

  • 心に寄り添う物語を求めている方:日々の疲れやストレスを癒したい方に、心温まるエピソードが満載です。

  • 短編小説が好きな方:一話完結の構成なので、ちょっとした時間にサクッと読めるのが魅力です。

  • 自己成長に興味がある方:キャラクターたちが悩みを乗り越えて成長していく様子は、自分自身を見つめ直すきっかけになるでしょう。

  • ファンタジーや超常現象に抵抗がある方:カバヒコの治癒能力は決して超常現象ではなく、心の持ちようが重要であることを描いています。

  • 共感できる悩みを抱えている方:学業、仕事、家庭など、誰にでもある悩みを扱っているため、自分の状況と重ね合わせやすいです。

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