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わたしのトランスジェンダー人生攻略 -タイ渡航編-

前回の続きです。まだ読んでない人はそっちから読んでネ。

さて。声帯の麻痺も治り、ついにタイに渡航できる運びとなりました。以下タイのあれこれについてのレポートです。


概説

そもそもなぜタイに行くのか

 タイへの渡航はSRS(Sex Reassignment Surgery):性別適合手術を受けるためです。タイは性の多様性を認める価値観が仏教の影響で広く浸透しており性転換手術を受ける人が多いため、関連する医療技術が近隣他国より発展しています。そのため、設備や技術、症例数等が全体的に乏しい日本の病院ではなくタイの病院で受けるのが日本のトランスジェンダーでは一般的なのです。料金も渡航費を除けば国内と変わらないのでお得ですよ♬(日本だとなぜか保険が適用されないだけなんですけどね♬)

手術概要

 わたしが選択したS字結腸法は小腸の一部であるS字結腸を性器の内壁として使う術式です。ほかの術式(男性器の皮を内壁として利用する反転式などがあります)より歩けるようになるまでの期間が短く、術後のメンテナンスが楽といわれていることから選択しました。もちろん絶食期間が長い,清潔に保持する必要がある等のデメリットもありますが。
 SRSはどの術式でも術後のケアが大変なのですが、どう大変か…というのは実際に苦しんでいる様子を見ていただいたほうがわかりやすいと思うので、ここではあえて書きません。術後の記事をご参照ください。

渡航スケジュール

7/22 出国
7/25 術前検診
7/26 オペ
8/1 退院 以後ホテル療養
8/15 帰国

タイ基本情報

タイ観光庁HP(thailandtravel.or.jp)より引用

位置:画像を参照。日本からは飛行機で約6時間。
時差:-2時間。日本が12時のときタイは10時。
言語:タイ語。観光地では簡単な英語も通じる。
首都:バンコク(正式名称:クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット)。現地ではクルンテープと呼ばれる。
通貨:自国通貨の฿(バーツ)が用いられる。2023年7月現在1バーツは約4円。
気候:熱帯に位置するため一年を通して気温が高い。6~10月は雨季にあたるため、1時間ほどのゲリラ豪雨:スコールが毎日1~3回降る。

タイ渡航記

1~3日目:観光

 悪天候で飛行機が飛ばなかった場合等を考え早めの22日に渡航していたので、最初の数日間はタイ観光を楽しめました。全部書くとえげつない分量になってしまいそうなので、ここではパートに分けて紹介します。

《観光》

古都アユタヤの遺跡、ワット・プラ・シーサンペット。15世紀に建立された仏塔で、それぞれが王子の墓となっています。アユタヤは当時は交易によって栄えた黄金都市でしたが、18世紀のビルマ(ミャンマー)軍侵攻によりその遺跡は大部分が破壊され、さらに二次大戦後の混乱期に貴重なものの大部分が略奪されてしまったそう。現在の遺跡は戦後バンコク王朝が修復したものとなっています。ゼルダや原神に少なからず影響を与えただろうレンガ積みの遺跡は、2度の嵐を経てもなお荘厳。大迫力でした
同じアユタヤの遺跡ワット・マハタート内にある、菩提樹に包まれた仏頭。戦後多くの仏像の頭が略奪犯たちによって売却のため切断されましたが、この仏頭は大きすぎて持ち帰れなかったのか切断後床に放置されました。偶然そこが菩提樹の根元だったことにより、菩提樹の成長に伴い根に包まれ現在の姿になったそうです。小さいころ図鑑で見たこれが一目見たかったので感動…。
こちらはバンコクの寺院ワット・ポー内の涅槃仏。バンコクはビルマ軍の侵攻や戦後略奪の影響を受けていないため、ほとんどの寺院がその豪華な装飾を当時と同じ姿のまま保持しています。ワット・ポー内の仏像はそのどれもが金箔で彩られており、中でもこの涅槃仏は40m超の身体が全て金箔で覆われていますから圧巻。バンコク王朝の国威を垣間見ました。
チャオプラヤ川の夜景。奥に見えるのはワット・アルンの巨大な仏塔です。タイ料理店のテラス席でこの景色を見ながら夕食を頂くことができました。超よかった。きれ~~~

《食べもの》
 マジでおいしい。スパイスと豚肉やエビ・カニのバランスが絶妙で、タイ料理が好きなわたしにとっては天国。どれもさすが本場と思わせてくれるクオリティでした。わたしは辛いものがすごく得意というわけではないのですが(CoCo壱は中辛を頼みます)、適度な辛さのものや全く辛くないものも多くありお腹を壊すことなく楽しめました。最高すぎるぜ。

フードコートで食べたガパオ(50バーツ:約200円)。長粒米と甘辛い挽肉がよく合います
いいレストランで食べた豚串ともち米のセット。タイではもち米が主食としてポピュラー

 そして忘れてはいけないのがフルーツ。熱帯に位置するタイでは多くのフルーツが収穫できるため、いたる所でフルーツジュース(シェイク)やカットフルーツが販売されています。このシェイクがほんとうにヤバい。注文したフルーツをその場で氷とミキサーにかけてくれるお店がほとんどで、しかもほとんどが30バーツ(120円)ほど。キンキンに冷えた果汁が暑さでへろへろの体に染み渡ります。このためだけにタイに来る価値がある、そのぐらいおいしい。3日で9杯も飲んじゃったぜ…(ちなみに3日で3kg増えました)。

フードコートのジューススタンド。選んだコップに入ったフルーツをその場でミキサーにかけてくれます
かわいい持ち手をつけてくれるお店もあります これはいちごシェイク

《その他》
暑すぎる。暑すぎます。ほんとうに暑すぎる。気温自体は30°ほどと控えめ(?)なのですが、湿度が70%越えと全く控えめじゃありません。やってられるか。この季節が観光的にはオフシーズンなのも納得がいきます。観光に出かける前毎回外出たくね~と思ってました。結果的にはいい物が見れたのでよかったんですけどね。

・日本語を目にする機会は予想に反して多めでした。日本語の案内板自体も都市部や観光地で見かけましたが、それ以上によく見たのが日本商品。セブンイレブンやイオンといった日経資本が進出しているのももちろんですし、日本文化がかなり広く受け入れられているようでお寿司屋さんやおにぎり屋さんも頻繁に見かけます。なんなら全く関係のないお菓子や洗剤にまで日本語が書かれていた(当然日系メーカーのものではない)。日本における英語や韓国語のように、日本語がある種おしゃれや先進性のシンボルとして扱われているのかもしれないですね。

怪我をしないようやめておきましたが、象に乗れるスポットもありました。日本人も多いのか、日本語でも象に乗れると表記されています
コンビニで買ったお菓子。どちらもなぜか日本語が書かれていました。

4日目:予診

 朝の9時から病院へ。日本での治療歴を示す書類や性同一性障害の診断書を提出し、手術や性別違和に関してのカウンセリングを受け関連書類にサインをしました。その後は術部検診やレントゲン撮影を経て病室に。トイレとお風呂が完備されており、入院期間中は部屋外に出ることなく過ごせるようになっています。今日の予定はこれで終了とのことで、映画を見るなどしてくつろぎました。
 ちなみに食事は今朝から制限されており、朝食は野菜や果物などの繊維質が禁止、お昼は病院食のスープのみ。夜ご飯も画像のドリンクとゼリーのみでした。手術に向けて腸をきれいにする必要があるからなんですね。下剤も複数回に分けて飲んでおりウンチ出まくりです。明日は6時から水分も含め一切の経口摂取が禁止。いよいよという感じになってきました。さすがに緊張してきた…!

最後の食事。この見た目で食べきれないほどおいしくないなど誰が想像したでしょうか。ドリンクもゼリーも絶望的でした………。

きもちとか

 ようやくここまで来られた、という達成感はあります。性別違和を自覚して6年、病院に通いはじめて2年半。ずっと苦しかったし、痛いのも怖いのも我慢してきた。そうしてずっと目指してきたものが、クライマックスがついに目の前にある。そう思っている部分はわたしの中に確かにあります。

 でも、そうじゃないんだよな、というのもわかっています。人生は長くて、何十年もあって、まだ18歳の私の先に広がる未来はあまりに広大で。こんなところは決してゴールではない、そういうことも頭ではわかっています。きっとこの先トランスジェンダーとしての苦しみはいっぱいあって、ふつうの人間としての苦しみもいっぱいあって、決してこんなところで立ち止まっていてはいけないと。


↑いやうるさくてワロタ


 ここまでだいぶ頑張っただろ!!!!!!!!!!褒めてくれてもよくないか??????????なあ!!!!!!!!!!おい!!!!!!!!!!七億回通院して八億回採血して九億回カウンセリングしたが???????????おい!!!!!!!!!!なんか言え!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 まだこれから先いろいろあるのは確かですけど、ひとまずこの達成感を味わってもよくないか?と思います 手術が終わったら、たくさん彼女のことを褒めてやってください ここまで、ずっと頑張ってきたつもりなんです これからのことなんてそれからでよくないですか いまは喜んだってよくないですか


そんな感じです。あと14時間後には手術(術前なのにちょっと夜更かししちゃったね)。応援していてくださるとうれしいです。

じゃあ、頑張ってきます

次回に続く 


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