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菊花賞 2021 回顧

【レース展開】

M(ミドル)平均型 後半SP持続型 60.0-59.2


平均ペースの後半SP持続力勝負という形だが、中盤区間でかなりのペースダウンが起こっての後半の再加速戦という形。結果的に3000mという距離に対する対応力というよりも単純な位置取りの差が明暗を分けたような気がする。


タイトルホルダー 1着

【出し切る形・自分の得意の展開に持ち込む・要所の加速力生きる・完勝】

【好発】【押して主導権握る】【4角から後続突き放す】【直線序盤から半ばで後続突き放す】【G前後続の接近を許さず】【完勝】

好発から押して押してハナを奪取する形。ハナを奪うのに行き脚がついた影響もあったが前半からそこそこの流れになって前半1000mは60.0秒の流れを演出。1角から向こう正面にかけてペースをグンと落として3角では後続の接近を許すが、2周目の3角以降で再度ペースを引き上げて4角から直線入口では後続を突き放して直線に向く。直線ですでに後続に2馬身のリードを築き、半ばでは再び突き放してリードを広げるとそのリードを保ったままゴール。終わってみれば後続に5馬身の差をつける完勝だった。

押してハナを奪取して自分の形のペースを演出。序盤こそ脚を使った感はあったが、中盤で息を入れての3角からの再加速戦という形で自身の強みをより引き出してきた印象。特に3角以降でペースが上がった時に脚を使って後続を突き放すことに成功するなど、要所の加速力を最大限に生かしてきた印象は強い。主導権を握ってコースロスの無い競馬が出来たにせよ、最後は後続を突き放す形を見せたのだから当然完勝と言っていいだろう。ただ3000mの距離ではあるが展開的には後半のSP持続力勝負の中での加速力がモノを言った形の内容。長距離での純粋な持続力勝負となるとまだ何とも言えない所はあると思う。


オーソクレース 2着

【終始外を回る展開・3角で置かれ気味・後半の持続力で一定の内容示すも・勝ち馬とはコース取りの差大きく・完敗】

【出負け】【中団待機】【3角で外から動く】【4角~直線入口で大外】【直線で伸びる】【最後1Fジリ伸び】【G前接戦制す・2着】


若干出負け気味から中団後ろ目の位置を追走。2周目の3角で外を回って進出を開始するが若干置かれ気味。それでも4角では反応を見せて4角から直線入口ではステラヴェローチェ(4着)と馬体を併せながら外から一気に押し上げて行く形。直線はそのステラヴェローチェとの激しい争いを繰り広げながら前を追いかけるが、逃げる勝ち馬との差が中々詰まらない。最後の1Fからゴール前にかけて散々競い合ったステラヴェローチェを降すのと同時に、ゴール前では内からジリジリと伸びていたディヴァインラヴ(3着)を捉えて2着を確保するのがやっとだった。

大外枠という事もあったし後方の位置取りから勝負所で外を回る形だから、コースロスの無い勝ち馬とは対照的な内容になったと思う。また3角では反応が悪くて若干置かれ気味でやはりコーナーでの加速に不安を覗かせた内容(たぶん加速ラップの区間でもあり、加速に対応出来なかっただけにも見える)になっている。ただ最終的に3.4着馬を捉えているし、後半の持続力でこれらの馬よりも上回っている所は見せた。しかし対勝ち馬の視点では今回は5馬身差の完敗で、勝ち馬に上手く後半SP持続力勝負という展開に持ち込まれたのが敗因の一つだろうか。純粋な持続力勝負の展開ならもう少し差を詰めることは出来たかもしれない。


ディヴァインラヴ 3着

【出し切る形・牡馬相手に善戦の内容・この馬向きの展開・比較的前目の位置取りが効く・勝ち馬には完敗も】


【中団待機・前】【4角で外から動く】【直線序盤で伸びる】【最後1Fしぶとく伸びる】【G前接戦も・3着】


発馬五分から中団前目という位置取りで進める。2周目の3角過ぎからジワッと追い上げて行って4角で一気に動いて直線へ。4角の勢いをそのままに直線序盤で伸びて来ると直線半ばで単独2番手の位置まで上がってくる。しかし逃げる勝ち馬との差は中々詰まらないものの最後の1Fもしぶとく伸び続けたが、ゴール前で外から来たオーソクレース(2着)にアタマ差交わされて3着まで。

勝ち馬には全く及ばない形ではあるが、中団前目から上手く立ち回った感じの3着。終わってみれば純粋な持続力勝負の展開にはならなかったし、比較的この馬向きの流れになったのも幸いしていると思う。ただ最終的には勝ち馬を除く上位勢の中でも前目の位置取りが最大限に効いた形だったが、今回は牡馬に交じってのレースでもあったし後半要素を問われた中でこの結果だから善戦と言っていいだろう。勝ち馬には0.8秒差と完全に突き放されたが、2着馬と同タイムの3着は結構価値があると思う。


ステラヴェローチェ 4着

【展開不向き?・後方から長く脚を使う・位置取りの差大きく・完敗】

【中団待機→後方】【3角で外から動く】【4角~直線入口で大外】【直線序盤伸びる】【最後1F脚色鈍る】【G前接戦も・4着】

発馬五分から序盤は控えて中団後方の位置取り。前半は終始中団馬群の中にいたが、ホームストレッチで後方3番手まで位置取りを下げる格好。2周目の3角で外目に出して進出を開始し、3~4角で外から一気に押し上げて中団外目の位置まで押し上げて、4角からはオーソクレース(2着)と馬体を併せながら外から進出。4角からの勢いをそのままに直線序盤から半ばは大外から伸びて来るが、最後の1Fで若干脚色が鈍る感じ。それでももしぶとく伸びは見せたが最終的に勝ち馬には遠く及ばず、4角から競い合ったオーソクレースには交わされしかも先に抜け出していたディヴァインラヴ(3着)も交わし切れずの4着に終わる。

後方からの競馬で3角から外々を回って押し上げて直線もそれなりの脚で伸びを見せたが、最終的に最後の1Fでやや甘くなって…という内容。2着のオーソクレース とよりも長く脚を使うことは出来ているのだが、やはり序盤から中盤での位置取りの悪さが敗因の一つとして挙げられるだろう。4着とはいえ勝ち馬には0.8秒差(5馬身差)という大差負け。展開が向かなかったという理由はあるものの、勝ち馬にみすみす自分の競馬を差せてしまっているという風にも受け取れる内容だったと思う。


ディープモンスター 5着

【出し切る形・展開向かず・勝負所で置かれる・持続性の脚を見せるも・最後はバテ差し・完敗】

【中団待機・内】【3~4角内通す】【4角~直線入口で外】【直線入序盤で大外】【直線ジリ伸び】【最後1Fバテ差し】


発馬五分から中団の内目を追走。道中は終始中団の内で進めて、3角~4角も隊列は変わらず中団内目の位置。しかしその3角過ぎでやや包まれ気味で身動きが取れない感じで、さらに加速区間という事もあって置かれ気味になって位置取りを下げる形。しかし4角で少し伸びを見せて外に出した後に直線序盤でさらに外に出して追い出しを開始。ただ肝心の直線での伸びは終始ジリ伸び。それでも最後の1Fもジリ脚のまましぶとく伸び続けて、内の先行馬が揃ってタレたところをバテ差しの形で5着を確保した。

中団の内々を立ち回って直線外から伸びて来るという形は悪くないのだが、圧倒的に決め手で見劣った印象のある内容。展開的に後半のスピード持続力勝負であり、この馬向きの展開になっていない事を考えると善戦したとも言えるのだが、やはり加速区間で置かれているのは致命的だろう。この展開でも最後までバテずに伸びて最終的にはバテ差しの形でも5着には来ている。純粋な持続力勝負の形であればまた違った結果と内容になったと思う。


アサマノイタズラ 9着(個人的▲馬)

【出負け・序盤掛かり気味・位置取り致命的・展開向かず・完敗】

【出負け】【後方待機→最後方】【3角で動く】【3~4角内通す】【直線序盤で内から伸びる】【最後の1F伸びるも】【完敗】


若干出負け気味から後方からの競馬。序盤からやや掛かり気味で折り合い面を重視しているうちに最後方まで下がる形。2角から向こう正面序盤でも後方馬群からは3馬身ほど離れた位置を追走し、3角でようやく追撃を開始。3~4角は内を通して進出して後方馬群との差を詰めたが未だ最後方。直線は内目からそれなりの脚色で伸びてきたが、纏めて差し切るほどの脚色は無く最終的に1.4秒差の9着に終わる。

直線はそれなりの脚色で伸びたが時すでに遅しという感じ。折り合い面に専念しすぎたせいかかなり後方の位置取りになったし、9着も結果として内々を立ち回ったのが功を奏しての内容。外々を回っていたらもっと着順が下だった可能性は高く、見所はほとんど無かったと言っていい。ただ今回の展開がこの馬に合っていたとも思えず、セントライト記念、スプリングSの内容からも持続力勝負の展開で再度見直すだけの価値はあると思う。


レッドジェネシス 13着(1人気)

【出負け・位置取り致命的・勝負所で置かれる・後半要素で見せ場無し・大敗】

【出負け】【後方待機】【3角で動く】【3~4角置かれる】【直線ジリ伸び】【最後1F脚色鈍る】【大敗】


出負けもあって序盤から後方2.3番手の位置。道中は終始後方2番手を追走し、2周目の3角過ぎから前にいたステラヴェローチェ(4着)を追いかけるように進出開始。しかし3~4角で加速が効かないのかかなり置かれてしまい位置取りはほとんど変わらないまま。4角から直線入口は大外に振って直線に向くも、その直線での脚色は終始ジリ伸び。最後の1Fでは完全に脚色が鈍る形になってしまい、なんと1.7秒差の大敗となった。

最終的に展開が向かなかったのが要因の一つだろうが、それにしても出負けがあったとは言え後方の位置取りのままでは厳しい結果になるのも致し方ないと思う。元々加速型の馬では無いし、3~4角の加速区間で完全に置かれてより苦しい形になった印象は強い。他の人気馬に比べて後半要素でほとんど良い所が無く、逆に最後の1Fではやや失速気味だったことからも距離的な要因も多少あるかもしれない。


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