「三度思い留まって年明けにとうとう買ったお台所の素敵な道具」
売り場で見かける度、手を伸ばそうか、どうしようか、迷っていた――私は道具は使えなくなる迄使う人である。修理の仕様がなくなって、漸くお別れとする。名残惜しい時もあるけれど、「今日迄ありがとう」ときっぱり別れる事にしている。わが家のお台所には、おろし金がある。まだまだ現役で、凡そ壊れそうにない。だがらこれを買う事は、欲ではないかと、無くても困らないのではないかと、三度思い留まった。だが、私は大根はおろし金を使うけれど、生姜は半解凍のものを俎板の上でスライスや刻むなどして使う。この