赤信号。助手席に転がる「特濃」桃ジュースを手に取り、沈澱してそうな果汁をよく振って待つ。ラベル見ながら開栓。 「三ツ矢サイダー特濃ピーチ」 もう遅いよ。外はピーカンの8月。車中は大雨。連続青信号新記録。拭くヒマなし。ベッタベタな髪と眼鏡と、この夏購入したばかりのTシャツで帰省中。
電車の車両に乗り込む行列で、私の右後ろに腰の曲がった老婦人がいた。 車両に乗り込むとき、どうぞお先に…と彼女を振り返ったら、それがOLが胸に抱えるようにして持つグレーのミンクバッグであることに気づき、そのまま誰もいない空間に向かって会釈をし、後退りしながらフェードアウトした。