RPG風小説

リュカオーン獄門道

リュカオーン獄門道

俺たち4人だけの救国義勇軍は、魔王と謳われた巨魁を遂に打ち破った。 夢破れた魔王は、捨て台詞に復讐を誓い姿を消した。彼の率いる魔の軍勢は潮が引くように姿を消し、王国にはようやく平和と安息が戻って来た。 国に戻り、束の間の名声と僅かばかりの褒章を得て、救国義勇軍は解散。 剣士のライオネルは剣聖の称号を拝命し、国王付きの武官に配属。若くして国立武術アカデミーの剣術指導員に抜擢される、歴史的快挙を成し遂げた。 僧侶のゼノクラテスは、枢機卿の背信と腐敗を暴き、神の威光を世に示

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ひとふで小説|2-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[II]

ひとふで小説|2-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[II]

前章:[I] II  二人が湯浴みする頃には陽がずいぶんと傾き、鮮やかに夕焼けしていた。風のない西の空で橙色に焼けた雲が有終の美をじっと待っている。冷えて澄んだ空気に混じって、近くからは虫の声や鳥の羽ばたき、峰々からはこの山に棲む獣たちの咆哮が聴こえてきた。地面に埋め込むようにして作った小さな湯場の周りには石畳が張られており、隙間の土からは緑の雑草がいくらか生えていたが、もう一息冷え込む頃には黄色く枯れてしまうことだろう。  湯場を囲う石垣の脇には、葦立草を干して編んだ垢

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ひとふで小説|1-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[I]

ひとふで小説|1-イェダラスカレイツァ:バルヴァリデ[I]

I  大巌猫と山耳犬を従えて育った女児が、明らかに「剣を」と決めたのは、相棒を人魔に斃された夕刻。己の剣で初めて触れたのは幾度も幾度も撫でた可愛い可愛い相棒の毛で、初めて斬ったものは可愛い可愛い相棒の皮と肉だった。人魔や魔物の牙や爪は生命を狂わせるはたらきをもっていた。傷口から湧いた魔虫は遺体を蝕み、死者に二度目の命を与える。こんどは、魔族としての。  だから、愛する者を魔物に襲われて亡くした人々は汗と涙にまみれながら亡骸を解体して、早急に焼き払う必要があった。悼む間も無く

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