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#読書感想文

本を読んで感じた気持ちや考えたことを、言葉にしてnoteに残してみませんか?おもしろかった本の感想や学びを「#読書感想文」で教えてください!

急上昇の記事一覧

永遠の今~「シッダールタ」ヘルマン・ヘッセ(改訂)

ヘッセは、詩と小説によって知られる20世紀前半のドイツ文学を代表する作家です。 「シッダールタ」(1922)は、あるインドの求道者が悟りの境地に達するまでの体験を描いた作品です。 ヘルマン・ヘッセ(1877- 1962 ドイツ・小説家、詩人) 様々な職に就きながら著述活動を行い、穏やかな人間の生き方を描いた作品を数多く残した。代表作は他に「車輪の下」(1906)「デミアン」(1919) 「シッダールタ」(1922)「荒野のおおかみ」(1927)など。1946年にノーベル

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又吉直樹「火花」読書感想文

読んでみると、おもしろいの一言しか感想が浮かばない。 それでは読書感想文にならないので、もっと考えてみた。 まずは文章のテンポがいい。 セリフがアクセントになっていて、読んでいて気持ちがいい。 話すことを仕事としている人の成せる技なのか。 148ページという短い物語の中に、20歳から32歳までの12年間の場面が、流れるよう書かれて収まっている。 あとはなんだろう。 以外なおもしろさ、というのはある。 ギャップというか、落差というか。 話題づくりの、陳腐なタレント本かと

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「模倣犯」第三部 宮部みゆきさん(読書感想文)(*ネタばれ注意)

第三部・・・。 思うに、マッハの速度で 読ませてくれる小説だけど、 これを読んで、心豊かになるかと いうと、、寒くなる。 書いている宮部さんはどうだったんだろう。 前畑滋子が、網川浩一(ピース)に 「お前がやっていることは、 模倣犯だ!!」 とテレビで言ってのけるのは、 本の100分の1ほどのラスト部分。 スカっとするけど、それまで 九割以上積み重ねてきたものが 果たして、それほど意味のあった ものなのかというと、わからない。 ここまでストーリーを積み上げる 必要があ

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読書感想文『はーばーらいと』

つばさとひばり。 幼馴染で、家族のようで、友達で、いとこのような男女。 ひばりの両親は新興宗教の信者で、娘は両親を「こちらの世界」に戻そうと試みる。 中学卒業後に、家族と共に消えたひばり。 ひばりの居ない町に慣れてきた19歳のつばさの元に、彼女からの手紙が届く。 ………………………… 宗教二世のひばりと、彼女を助けるつばさの物語である。 助けるという言葉が適切なのか、分からない。 助けられたのかも分からない。 物語は、ふたりの中学卒業の時期から始まる。 つばさ

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心の中を辿る旅 -小説『失われた足跡』の魅力

【水曜日は文学の日】 旅をすることは、自分の内面を探検すること。それは、ロードムービーや、旅を巡る小説における魅力でしょう。 私が好きな「旅をする小説」の一つに、キューバの小説家カルペンティエルの『失われた足跡』があります。探究としての旅が個人の内面にダイナミックに結びついた名作です。 アレホ・カルペンティエルは、1904年、スイスのローザンヌ生まれ。国籍はキューバでありながら、父親はキューバで有名な建築家のフランス人です。異国の地で生まれたことは、彼の作

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「人間にとって科学とは何か」を読んで

湯川秀樹/梅棹忠夫「人間にとって科学とはなにか」を読んだ。 知の巨塔みたいな二人の対談は、意外にも「ようわからん」と言い合っているフワフワとしたものだった。1967年の対談なので古いといえば古い。しかしその中でも、未来を予見していたり、真理を探究していく道筋に驚きを感じる部分も多かった。 という問いから始まる。 今現在の私達にとって科学は、生まれた時から身近にあって、それがなんであるかなど考えたこともなかった。 科学が扱う対象は、人間離れした「奇妙なもの」になってきている

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著…原田マハ『旅屋おかえり』

 旅に出たい。  しかし、どうしても旅行できない事情がある。  だから、旅番組を観て、まるで自分が旅をしているかのような気分を味わっている。  …という方におすすめの小説。  この小説の主人公は、所属者がたった一人しかいない零細プロダクションにいるタレント・岡えりか。  愛称は「おかえり」。  彼女は小さな旅番組に出演していたのですが、その番組は残念ながら打ち切りになってしまいました。  しかし、幾つも重なった偶然が、彼女を再び旅へと誘います。  今度は、「旅

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『十二人の怒れる男』を観て

映画『十二人の怒れる男』をAmazonプライムビデオで鑑賞しました。 以前テレビで観たことがありましたが、内容はすっかり忘れていました。 シドニー・ルメット監督 ヘンリー・フォンダ主演 1957年 アメリカ映画 簡単なあらすじ (少々ネタバレ) 陪審員の12 人の男たちが、 法廷から別室に移る。 被告人が有罪か無罪かを審議するために。 12人の俳優たちが迫真の密室劇を繰り広げる。 スラム街で育った18歳の不良少年が父親を刺殺した。 ありふれた事件だ。 目撃証言もあり、

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BOOK📚読書ノート⑤

「舟を編む」を読みました。 2012年の本屋大賞受賞作です。 *読書メモ* 「辞書とは、言葉の海を渡る舟」 「海を渡るのにふさわしい舟を編む」 (編む:いろいろの文章を集めて書物を作る。編集。) 辞書を編む。 辞書編集部(言葉の達人)の物語。 読み応えのある本でした。 * 辞書作り。 想像を絶するような膨大で莫大な作業。 20万以上の見出し語、原稿依頼、用例確認、校正刷り、 さらに 表紙の装丁、辞書の紙質(ぬめり感)、インク選び、 一つ一つが丁寧に進められていく。

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【子ども若者の権利とこども基本法】 書評#108

みなさん、いつもお世話になっております! 本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。 自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 今回は、子どもの権利とそれに関する法律についてです! ヘッダーは、山内コーヘイさんの作品を使わせていただきました! ありがとうございます!! 目次 基本情報末富 芳(編著) 明石書店 出版 2023年10月20日 第1刷発行 全2

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育休中に読んだ150冊について

育休中何してた?と聞かれたとして、育児を除いたら私は本を読んでたと答えると思います。 スキマ時間が多い育休と読書の相性は良いです。 新生児期、24時間は3時間おきの授乳で8等分にされ、それを昼夜ぐるぐる繰り返す。哺乳瓶を洗って時計を見たら次の授乳まで45分。寝るには短い、この時間。 生後半年以降、手はかかるけど午前・午後の睡眠サイクルが整い始めて、その間に家事を済ませて子が起き出すまでの何分ともわからない、この時間。 家族で外出するときの電車移動、夫が離乳食をあげている間、

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『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 | 好き(自分の実存)を仕事にする価値観の危うさ|きのう、なに読んだ?

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 。 「疲れてスマホばかり見てしまうあなたへ」。 タイトルと帯文が「私に話しかけてますね…?」と思うほど刺さりまして、他の本を差し置いて読んでしまいました。 本書は明治時代から現代まで人々が「働く」と「読書」をどう捉えてきたか、変遷を分析したうえで現代の状況を捉え直しており、非常に面白かったです。読書論というより「働き方」論、社会論の趣です。 著者の三宅さんは、明治から時代ごとのベストセラーや人気映画・ドラマからその時代の「働き方観

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【読書コラム】ピントが合わなかったのは、カメラを持つ手が震えていたから - 『ちょっとピンぼけ』ロバート・キャパ(著),川添浩史、井上清一(訳)

 先日、マシュマロでロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』を代わりに読んでほしいというメッセージを頂いた。書かれている内容をどう理解していいかわからず、ページをめくる手が止まってしまったんだとか。  存在は知っていたけど、読んだことはなかった。タイトルから勝手にキャパがどんな風に写真を撮っているのか、技術論だったり、精神論だったり、そういうことが語られているんだと想像していた。  で、Amazonで購入し、届いたものを読み出してビックリ。全然、そういう本ではなかったのであ

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著…岡村理栄子『子どものうちに知っておきたい! おしゃれ障害』

 おしゃれをすることによって子どもに起こる健康トラブルの本。  トラブルの内容について、写真とイラスト付きで紹介しているので、とても分かりやすいです。  ●まつげエクステによる結膜びらん  ●化粧かぶれ  ●ヘアアイロンによる火傷  ●ピアスによるケロイドや肉芽腫  ●金属アレルギー  ●カラーコンタクトレンズによる角膜新生血管や巨大乳頭性結膜炎  ●タトゥーによる肝炎や敗血症  などなど…。  単におしゃれはダメ!と言うのではなく、「金属アレルギーになりやすいニッケ

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平面を立体に見せる

 今回の記事は、蓮實重彥の『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』の読書感想文です。全体が「space・空間・空白、sense・方向・意味、order・順序・序列」というタイトルになる記事集の一部として、とりあえず書けた分だけ投稿することにします。体調が良くないので無理をしないためです。  使用するのは以下の河出文庫版ですが、現在は講談社文芸文庫版でも読めるようです。 *『フーコー・ドゥルーズ・デリダ』の作り 「「立体人間」と「平面人間」」で書きましたが、『フーコー・ドゥルーズ

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青山透子著「日航123便墜落の新事実」/政府の、国民を救わない保身体質を暴く本。事実であるならその罪は果てしなく重い。

私たち夫婦が結婚した翌年の夏、夫の実家へ初めて帰省した翌日に起きたのが、坂本九さんも犠牲となったあの日航機墜落事故でした。夫の実家の茶の間で皆でずっとテレビ報道を観ていたことをとてもよく覚えています。  森永卓郎さんの「書いてはいけない」と、元日本航空客室乗務員 青山透子さんの本を読み大きな大きな衝撃を受けました。 この事故にこんな大きな疑惑があることを私は今の今まで知りませんでした。 陰謀論めいた話ですが、 元日航客室乗務員で退職後東大大学院に進み博士号を取得された

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しずくのぼうけん

今朝は雨が降っている。ウサギは部屋の窓辺に座り、じっと雨の音に耳を傾けていた。彼女の目の前で窓ガラスを伝う水滴は、それぞれが小さな旅をしているかのようにゆっくりと動いていく。窓から見えるいつもの景色は、雨の日は少し特別に見える。彼女は、そんな雨の日が好きだった。 ウサギはふと思い出したように、本棚から一冊の本を取り出した。「雨の日に読むなら、この本だね」と彼女は呟いた。その本の表紙には、一輪の赤い花を空に掲げながら微笑む「しずく」の姿が描かれており、手書きの文字で、マリア・

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雲を紡ぐ

お久しぶりです。今日は本の感想です。 それと、近況。 「雲を紡ぐ」 伊吹 有喜 共感できる部分が多すぎて泣きそうになりながら読みました。主人公の女の子の性格がほぼ自分と一緒。自分の悪い所しか見つけられない。繊細である事が良くない事だと思ってる。そしてみんな不器用。でもそこが良かったりする。おじいちゃんが素敵✨心に留めたい言葉がたくさん。良いおじいちゃんだなぁと思いながら。 物語の舞台になる岩手県盛岡市にやまびこで行ってみたくなりました✨今度お金貯めて行こうっかな 閉鎖病

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星野源さん「いのちの車窓から」を読んで

星野源という人が好きだ。 暗闇を知ってるからこその明るさ、どん底を知ってるからこその正直さ、暗さを持ってるからこそのユーモア、そんなようなことを感じて。 書かれる文章からも、それがたくさん溢れていた。ただカラカラに明るいだけではない明るさ。いろいろを知ったからこその正直さ。周りの人の気持ちまで持ち上げてくれる優しいユーモア。 そして、誰が読んでも分かりやすいような、シンプルで噛み砕かれた文章。 この中で、新垣結衣さんについて書かれていたエッセイ。人のことを先入観なしに見

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もう成瀬にはなれないから、成瀬を好きになる / 本屋大賞2024

さて、わたしもついに「成瀬」デビューしました。 2023年、彗星の如く現れた成瀬あかりに、多数の著名人が夢中になり帯にコメントを寄せているのを見て、そんな面白いの?と穿った目で見ていたのはこのわたしです。 でも結局わたしも成瀬にハマってしまったひとりで、ついにはなんでこの物語が、成瀬あかりが、こんなにも人を魅了してしまうのかなんてことを考える始末。 作者の宮島未奈さんは、柚木麻子さんとの対談で、重くない話を書きたかったと語っていました。 その思いで書いたのが、「成瀬は天下

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