居眠り猫と主治医 ⒖潮干狩り猫 連載恋愛小説
潮干狩りでは、極力接触しないようにした。
これ以上近づいたら、どツボにハマるのは目にみえているし、彼に迷惑をかけるのだけは避けたかった。
「守屋さんて、夏目先生のこと狙ってる?」
気配を消して真横に陣取っていた小静《こしずか》美佐に、文乃は肝を冷やす。サングラス越しでもよくわかる、気合いの入ったマスカラ。
なにを考えているのかわかりづらくて苦手だと、否定した。
「あー、まあね。でも、そこがよくない?」
はまぐりやアサリを前日にまいてあるから、広く浅く表面をふわっとさぐるだ