文藝春秋2020年3月号

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キーン先生の孤独|小池政行

文・小池政行(青山学院大学法科大学院客員教授)

ドナルド・キーン先生に初めてお会いしたのは、筆者が在フィンランド日本大使館の文化担当官の時、外務省の依頼でポーランド、当時のソ連、そしてフィンランドの講演にいらした時であった。コロンビア大学東洋学部の中心教授として多忙な日々を送られながら、ひとりの人間が成し遂げたことがいまだに信じられないような何巻にもわたる「日本文学史」を完成されつつある時だった

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スターは楽し「アンナ・カリーナ」|芝山幹郎



アンナ・カリーナ(写真・ROGER_VIOLLET)

まぶしく弾けるソーダの泡

ダークヘア、ややぱらついた前髪、濃いアイライン、ニーソックス、格子柄のベレー。そして、牝鹿のような眼。

アンナ・カリーナの顔や姿は、すぐに浮かび上がる。記憶を遡るまでもない。

1960年代、カリーナの名を聞くだけで浮き足立ったガキは、私も含めてそこらじゅうに転がっていた。ゴダールとカリーナ。そう、ジャン=リ

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世界経済の革命児 重光武雄(ロッテグループ創業者)|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、重光武雄(Takeo Shigemitsu、ロッテグループ創業者)です。

重光武雄

ガムから石油まで牛耳った稀代のマーケター

日韓「ロッテグループ」の創業者、重光武雄名誉会長(韓国名:辛格浩(シンギヨクホ))が1月19日、ソウル市内の病院で死去した。98歳だった。日本でロッテといえば、

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数字の科学 地球の公転周期|佐藤健太郎

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。

今回の数字:地球の公転周期=365.24219日

今年2020年は、4年に1度のイベントが多く重なる年だ。西暦の年号の数字が4で割り切れる年は閏年であり、アメリカ大統領選が行なわれ、オリンピックが開かれる。だが、このうち閏年は、正確には4年に1度ではない。たとえば、マッキンリー大統領が当選(再選)し、パリで

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稲泉連さんのおふくろの話。

著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、稲泉連さん(ノンフィクション作家)です。

サーカスで働いた理由

母は周囲からいつも、行動が唐突な人だと言われてきたらしい。確かに数年前も突然、「私は那須で暮らすことにした」と言い出し、同世代の知人が共同生活を営む高齢者向けサービス付の住宅地に引っ越していった。何事にも慎重な僕とは違い、物事を決めてからの行動がとにかく早い。その辺りは雑誌ライタ

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船橋洋一の新世界地政学 地経学の時代

今、世界では何が起きているのか? ジャーナリストの船橋洋一さんが最新の国際情勢を読み解きます。

米中両国は、先月、貿易協議で第1段階の合意にこぎつけた。トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争は今回、とりあえず休戦に持ち込んだ形である。

しかし、米国は5Gをめぐるファーウェイ(華為技術)排除の動きを止めるつもりはない。半導体、AI、量子コンピューティング、バイオといった戦略技術をめぐる米中の技術覇権

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新しい血|東山彰良

文・東山彰良(作家)

今年1月11日に行われた台湾総統選挙では、大方の予想通り民進党・蔡英文が再選を果たした。820万票を集めての圧勝だった。

対立候補の国民党・韓国瑜は「安全でお金持ちの台湾がいいか、危険で貧乏な台湾がいいか」と民衆に問いかけた。台湾独立を主張する民進党が勝てば中国が黙っちゃいない、逆に我々国民党が勝てば14億の市場が開けているぞというわけだ。が、そのようなポピュリズムに与し

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主役は君たちだ|相良南海夫

文・相良南海夫(早稲田大学ラグビー蹴球部監督)

国立競技場を満員にした約5万7000人の観衆の前で、優勝したときにだけ歌うことのできる部歌「荒ぶる」を唱和する――1月11日、ピッチで私は感無量でした。11季ぶりのラグビー全国大学選手権の優勝、その上、昨年準決勝で敗退した宿敵の明治大学を跳ね返しての勝利です。

早大ラグビー蹴球部の監督就任への打診をOB会から受けたのは、2017年のクリスマスでし

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国立競技場と法隆寺|隈研吾

文・隈研吾(建築家)

1964年の秋、10歳の僕は、父に連れられて、オリンピックの水泳会場であった国立代々木競技場に行った。あまりの美しさに圧倒され、「誰がデザインしたの」と尋ねた。「丹下健三という建築家だ」と聞いて、建築家という仕事をはじめて知り、その日に建築家というものになろうと決心した。その日まで僕は猫好きのおとなしい子供で、獣医になることを夢見ていた。

2回目の東京オリンピックの主会場

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