如月短編集

【ss】やり残した事

“ なあ今から行っていい? ”

“ え、なに? ”

“ 今からそっち行くからさ。
家の前まで出とってや。頼むわ。 ”

“ いいけど…LINEじゃだめなの? ”

“ ええから待っとって! ”

普段からマイペースでお調子者だけど何故か人に嫌われない。
…いや、むしろ愛されキャラといっても過言ではない彼らしい突然のLINEに振り回される。

この忙しい年の瀬に何事かと思いつつも、言われた通り家

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【ss】秋風と君

いつもと変わらない帰り道。
すれ違う風が冷たさを帯びてきたな…なんて、ぼんやりと季節の変化を感じていた。

そんな他愛ない普通の日のはずだったのに。

「おかえり」

「……あ、ただいま…です」

家は近所なのに馴れ馴れしく話せる関係ではなくて、少しだけ気まずさが漂ってしまう。
そんな憧れの人。

「今、帰り?」

「あ、はい…」

うまく会話を続けられずに、“どうしよう”ばかりが頭の中を駆け巡る

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【ss】ご都合主義

「明日さ、暇?」

「なんで?」

「なんでとかじゃなくて、
暇かどうか聞いてんねんけど」

「じゃあ暇じゃない」

「じゃあってなんやねん!
絶対暇やん。暇やろ?」

自分の都合でグイグイ話を進める彼に今までも何度となく振り回されているのに、どうしてか憎めなくて。

「もう…何なんよ」

「話聞いてほしいねん」

「また?」

「お前に話したら楽になるっていうかさー、
…人助けやと思って頼むわ!

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【ss】その笑顔が眩しくて

「久しぶり!」

背後からかけられた声に
思わず呼吸を忘れてしまいそうになるくらい驚いた。

君の声だって
すぐに分かったから。

「…久しぶりだね」

振り返った瞬間、
私はどんな顔してたんだろう。

君は相変わらず爽やかで、
眩しいくらいの笑顔だったのに。

「クラス変わるとこうも合わへんモンなんやなー。
前はしょっちゅう帰り道でバッタリ会ってたのに」

そう屈託のない笑顔で話す君に、少し心が

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【ss】鈍感

鈍感って言葉は誰かに使うものだとばかり思っていた。

どうして気付いてくれないの?

普通分かるでしょ?

これをまさか…、
自分に言いたくなる日が来るなんて。

──本日、私は失恋した。

しかも告白する事すら出来ず、

なんなら恋をしていた自覚すら後からじわじわやってきたのだ。

「本当最悪だ。…アホすぎる…」

静かな夜の公園で、少しでも気を抜けば涙が零れそうになる。

そんな私の隣に居てく

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【ss】運命の選択

どちらかなんて、選べない。

例えば誘い方ひとつにしても、あまりに正反対過ぎて。

でもそれが飾らないありのままの姿だからこそ、とてつもなく惹かれる瞬間がある。

「今度の土曜にさ、お祭りがあるんだけど…
もし先約とか無ければ一緒にどうかな…って。
迷惑なら全然断ってくれていいんだけど…」

そう言ってお誘いの電話をくれたのは今年知り合ったばかりの一つ年上の優しい人。

いつも自分の事より私の気持

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【ss】不戦敗ゲーム

「なあ、どうなの?」

かれこれ数十分ほどだろうか。
私は目の前の不服そうな幼馴染みに、同じ質問を繰り返されている。

「どうって言われても分かんないよ」

「思い付かないならいいじゃん」

「そういう問題じゃないでしょ」

「そんな難しく考えんなって」

幼い頃から一緒に遊んできたし、大抵の思い出を共有してる異性では断トツの理解者だと思ってたのに。
こんなにも彼の思考が読めないのは初めてで、どう

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【ss】最初で最後の嘘

もしも俺が変わらないことを求めたら
君は変わらずにいてくれたの?

「もう一緒にはいられない…」

そう君に告げられたのは数十分前。
納得なんて出来るはずもなくて。
お互い我儘に一方的な思いをぶつけ合うような、話し合いとも言えない時間が続いている。

「別れるのは…無理」

「どうしてよ…」

「俺にはお前しかいないから」

「そんなの私が同じ気持ちじゃなくなった時点で成立しないじゃない」

その

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【ss】僕らに名前をつけるなら

気が付けば君を目で追うようになって、
“たぶん好きなんだな…”と自覚してからは意識して君を見るようになった。

その頃からずっと、君を見る度に
同じように君を見ている奴と目が合う日々が始まった。

“きっと奴も好きなんだろうな…”

そう思いつつも話しかけるには至らないまま数ヶ月が過ぎた時、たまたま帰りが遅くなった俺の少し前を歩く奴。

「……あ」

思わず呟いた俺の声に振り返った奴もまた気まずそ

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【ss】REPLAY

目を閉じると今でも鮮明に思い出せる。

夕焼けで赤く染まった音楽室と泣きたくなるようなピアノの音。

「あの時さ…」

「あの時?」

「うん。音楽室でピアノ弾いてた頃」

「いつの話よ。学生の頃のことだよね?」

「いや…、急に思い出してさ。
…てか、俺はあの頃のこと結構良く思い出してるよ?」

「なんで?」

「なんでだろ…」

何故かなんて考えたこともないけど、それはきっと俺にとって何より印

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