見出し画像

HashHubレンディングにおける資産取り扱いやリスク管理について(2022年11月版)

HashHub


はじめに

いつもHashHubレンディングをご利用頂きありがとうございます。

HashHubレンディングは、中長期の資産形成をコンセプトにサービスを提供しており、長く安心してサービスを使って頂くことを根本理念にしております。

そのような価値観に基づき、本エントリーではHashHubレンディングにおける資産取り扱いやリスク管理について、HashHubレンディングの運営上、可能な範囲となりますが今まで以上に説明します。

また、前提として暗号資産の貸借取引は、国内で暗号資産業登録をされている取引所に預かり資産としてデポジットをした場合と異なり、分別管理の対象外になります。これは国内で暗号資産業登録をされている取引所につきましても、貸し暗号資産にデポジットされた場合は分別管理の対象外です。したがって、暗号資産レンディングには貸付先の企業が倒産をする場合は、貸し付けた資産の全額は返還されない場合があることが典型的なリスクとなっています。

しかしながら当社の運営状態は現時点で健全であり、通常通りサービスを運営しております。また昨今主要なレンディング事業者・取引所・ファンドなど(FTX、Three Arrows Capital、BlockFiなど)が破綻しておりますが、これらについて当社への影響は一切ございません。これらの事業者の米連邦破産法11条における債権者リストが公開されることがあっても、当社名が掲載されることはありません。また他のいかなる機関投資家に対しても担保あり・無担保問わず、融資等は今日の時点および過去も含めて一切なく、今後当面その予定もございません。私たちのサービスは通常通り運営され、ユーザーは通常通り引き出しができます。

これまでもHashHubレンディングにおける資産取り扱い方法について紹介しており、重複して説明する箇所がありますが、より詳細に説明します。

前提としての当社基本方針

HashHubレンディングのサービス提供を始めるにあたり、社内でビジネスプライオリティを定めています。私達のビジネスプライオリティは、上から順番に下記の通りです。

1.資金運用および資金管理上の安全性
2.自社の収益性
3.それを満たした上で魅力的な水準の貸借料率

当社としては長くサービスを運営し、安心して使って頂ける状態を確保し、そのうえで出来る限り多くのユーザーに満足頂ける貸借料率を提示することが基本方針です。これはサービス開始当初から外部にも公表してきた方針で運営として常に守られています。

また、我々のサービスは性質上、お客様に安心して頂き、同時にコンプライアンスを遵守するためには様々なコストが発生する性質のサービスです。そういった種類のサービスであるからこそ、自社の収益性を確保して、強固な体制構築に投資をし続けることも不可欠であると考えています。


資金の取扱い方針としてきた禁止していること

HashHubレンディングでは、事業開始時点より、お客様からお借りした暗号資産につきまして以下の取引を禁止する内部ルールを定めております。

・顧客借入資産の売却および空売りの禁止
・レバレッジロングなど価格変動リスクを伴う全ての取引の禁止
・個別銘柄の売買の禁止(例:BTCをETHに転換を禁止しています。)

ただし、例外として、BTCをWBTCへ転換することをはじめとする当社基準に則ったペグ資産に転換を行っております。

※WBTCの裏付け資産を保管するBitGo Trust Company, Inc はサウスダコタ州銀行局から信託ライセンス取得し、BitGo New York Trust Company LLCは、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から信託ライセンスをそれぞれ取得しています。同社は裏付け資産をブロックチェーン上でトレースできるようにしております。また、本事項とは関連しませんが、Bitgo Trust Company, Incは当社の顧客入出金のシステムにも利用されています。


特定アセットをロングして値上がりや値下がりを期待するのではなく、純粋なアービトラージや流動性提供によって資産取り扱いをしております。

これらの内部方針はサービスの提供を開始してから常に守られています。

当社の資金取扱い戦略について

他社のレンディングサービスの破綻などの現況を踏まえ、本節では、当社の資金の取扱い戦略について、一部開示を行います。
当社は、2022年中一貫して、資金の取り扱い手段をDeFi(分散型金融)を用いたブロックチェーン上での取引に限定して行ってきました。また、そのオペレーション手法やリスク分析などを常に行っております。

冒頭で述べた通り、FTXやAlameda Research、Three Arrows Capitalなどトラブルにあった機関投資家はもちろん、他のいかなる機関投資家に対しても、無担保・担保あり問わず、一切の資金貸付けを行っておりません。
また、Alameda Researchにおいては顧客から借り入れた資産(あるいは横領した資産)をベンチャー投資(トークン投資)に利用していたとされておりますが、当社は一切のベンチャー投資をしておりません。ベンチャーへの投資は非流動資産であり、顧客への返還申請に対応ができなくなるためです。
加えて、中央集権取引所の利用は一時的に行うことがあっても、多額の資金を常時置いておくオペレーションは実施しておりません。

当社の資金の取り扱い手段をDeFi(分散型金融)に限定して行っている理由は、当社リスク管理手法(後述)を当てはめることで、機関投資家に貸し付けするよりも資産安全性のコントローラビリティを高められると判断してのことです。また、上記の問題は、ブロックチェーン外での取引や資産の取扱い体制に起因して発生していると認識をしています。

次節で私たちのDeFiにおけるリスクマネジメントについて説明致します。

当社の主要資金取り扱い手段であるDeFiにおけるリスクマネジメント

これまでDeFiの世界においても多額の資産が流出やハッキングされていますが、私たちはその多くを研究し、リスクコントロールをしながら資産取り扱いをしています。
DeFiにおけるリスクマネジメントを要約すると、プロトコルおよびブロックチェーンの選定と、オペレーション方法に大きく分けられます。

1.プロトコルおよびブロックチェーンの選定

当社の資産取り扱いで使用するプロトコルは内部で「ホワイトリストプロトコル」と呼称され、これに採用されていない場合そのプロトコル自体を使用できません。もし使用しようとすると内部システムがアラートを検知します。

当社内でホワイトリストに採用するプロセスでは、様々なリスクファクターを検討しています。
当社の情報提供サービスであるHashHubリサーチで公開している以下のレポートではDeFiの典型的なリスクについて、網羅的に説明しています。

関連レポート:DeFi(分散型金融)に内在する10のリスク それぞれのリスク対応の考え方

詳しい内容はレポートに譲りますが、主に以下です。

  • ベースレイヤーのブロックチェーンのリスク

  • ペグ・ソフトペグトークンのリスク

  • フロントエンドのリスク

  • アプリケーション管理者のAdmin Key起因のリスク

  • ユーザー起因のリスク

  • スマートコントラクトリスク

  • オラクル攻撃によるリスク

  • フラッシュローンによる攻撃のリスク

  • 統合プロトコルのリスク

  • 価格暴落によって担保資産の精算が実行できないリスク

私たちが新規プロトコルを使用検討する場合は、このような観点で先ず初期精査しています。

また、これに加えて、安定稼働からの経過日数、GitHubレポジトリ内で複数名の開発者がレビューをしていることや、スマートコントラクトを当社内で監査したうえでさらに評価の高いスマートコントラクト監査会社(具体的な社名は伏せますが、監査内容に不足な点がありがちなスマートコントラクト監査会社は除外します)からクリティカルな指摘がされていないこと等も、ホワイトリストプロトコルへ追加するかの項目としています。

様々なプロトコルを検討・リサーチはするものの、結果的にその中でごく少数のプロトコルのみが当社が選定するプロトコルです。

当社が、具体的にどのような戦略を実際に構築しているかを全て開示をすることは、当社の収益機会を失わせ、ユーザーへの貸借料率支払いが困難となりますので、今回は控えさせていただきます。

しかし、事実として、当社の資金取扱いは、直近1年間、Ethereum上の限られたDeFiプロトコルでのみ行ってきました。

これまで1年の間、一切のレイヤー2(Optimismなど)や他のレイヤー1(Solanaなど)を使ってきていません。

各々のケースによりますが、これまで他ブロックチェーンを採用検討の際に見送った理由は、主に以下のようなものです。

・特定ブロックチェーンでデプロイされるスマートコントラクトのデフォルトの権限のありかた
・主要資産のブリッジ方法
・レイヤー2がEthereum上にデプロイされているスマートコントラクト自体の管理者権限が数名に依存している
・非EVMのスマートコントラクトに対する監査プラクティスが確立されていない
・複数名承認が必要な当社の資金取り扱いワークフローの確立ができない(または確立にコストがかかる)

なお、それらのEthereum以外のブロックチェーンの投資的魅力や技術的可能性を否定する意図は一切なく、現状ではHashHubレンディングで資産を取り扱うには、リスクがあると判断され、フレームワークから外れてしまうためです。なお、これらはあくまで2022年11月現時点での判断であり、将来においては再検討をする可能性があることも明示しておきます。

レイヤー2やEthereum以外のブロックチェーンにおける典型的なリスクはHashHubリサーチの下記のレポートを参照ください。

※恐れいりますが、下記レポートは当社がレンディングとは別サービスとして展開しているHashHubリサーチの有償レポートとなっております。同サービスでは当社が社内で研究したDeFiのリスク構造や暗号資産のついてのリスクもまとめています。

関連レポート:レイヤー2やクロスチェーンについてDeFiユーザーが認識すべき新しい5つのリスク

関連レポート:レイヤー2トラスト構造 誤解と現状の整理

これらを前提として、私たちは、社内ホワイトリストのプロトコルの性質を理解して、それらから工夫をして、ときに表面利回りにとらわれずに、安全に最大収益を得る方法を常に検討しています。

2.オペレーション方法

また、DeFiのリスクはプロトコルへの攻撃に留まらず、DNSの書き換えや、悪意ある署名要求など様々な手法が確認されています。

これらの攻撃手法の内容については、HashHubリサーチの下記のレポートをお読みください。※下記レポートはこれまで有料会員のみ閲覧可能としていましたが、この度一般公開としました。

関連レポート:高度化されたDeFiの攻撃 資産を守るために個人ができること

当社ではプロトコルの選定を終えたあと、基本的なリスクマネジメントやオペレーション手法として以下を行っています。

・スリッページと手数料の綿密な工夫とMEVの考慮
・アセットマネジメント用の端末では決められたURLのサイトにしかアクセスができない
・任意のコントラクトアドレスの、任意の関数にアクセスしていることを毎回の署名において確認する仕組み(私たちが意図していないコントラクトに署名プロセスを踏もうとすると検知してアラートが鳴るシステムを内部で構築しています)
・アセットマネジメントPCへのウイルス対策ソフト導入
・内部犯行の対策(当社代表を含め一人では資金を動かすことが出来ない仕組み)
・当社東京都のオフィスのネットワークから端末の分離

以上のようなことを基本的なリスクマネジメントとして実行しております。

また当社代表の平野をはじめとする経営陣あるいは主要メンバーが不慮の事故などで業務ができない場合においても、当社内の複数名の承認プロセスを経てお客様に資産の返還をできる状態になっております。

暗号資産取り扱い方法以外、主に財務面における当社の運営の工夫

前節まで暗号資産取り扱い方法について当社の方針を説明しましたが、主に財務面における当社の運営の工夫も述べます。

・貸借料率
HashHubレンディングは約款上、月に一度貸借料率を変更出来る形態になっております。
2021年後半から2022年11月現在まで、市場での収益機会が減少する中、貸借料率を引き下げ傾向で運営してきました。

例え貸借料を下げて短期的にユーザーが離れることになっても、持続可能な貸借料率のコントロールを常に行っています。
事実、運営継続に疑義が生じているいくつかの海外レンディング事業者と比較すると、比較先企業によりますが、当社の貸借料率は半分程度で推移しています。

・固定費や事業構造
海外主要レンディング事業者は従業員が数百人在籍しており、かつPRを積極的に行い、会社運営における販管費をはじめとした固定費が極めて高いことが挙げられます。

これに対して全事業を含めた当社の正社員は15名程度、業務委託等を含めて20名程度で運営しております。また、HashHubレンディングにおいてはテスト的に2ヶ月程度広告出稿をしたことを除けば、サービス開始以来PRに費用を捻出しておりません。同時に当社事業は、レンディング以外に、HashHubリサーチの事業も展開し、同事業からも収益を得ております。レンディング事業を含む当社の販管費の7-8割をリサーチ事業の売上のみで確保できていることも、当社の財務の安定性を引き上げています。

これらは責任が広範に及ぶレンディング事業を展開する当社が、財務状態を悪化しないようにコントロールしている要素の一つです。

・海外事業者と比較したアセットサイズの違い

運営困難に陥った暗号資産レンディングサービスは、多額の資産(日本円にして数千億円以上の規模)を取り扱っているという共通点があります。一般的に、資産運用は運用規模が大きくなればなるほど難易度が増すので、継続するには顧客の得るリターンを下げる必要があります。
しかしながら、これらのサービスは、貸借料率を下げずに、借り入れるアセットサイズを大きくし続けました。結果的にこれらのサービスは、ある時点で継続運営が困難な状況になっています。これに対してHashHubレンディングでは、自社にとってのアセットサイズを主要海外レンディング事業者の推測されるアセットサイズと比べて推計で1/20〜1/50程度の規模で、自らでコントロール可能な範囲で事業展開をしています。

最後に

FTXやAlameda Researchの破綻について、当社は一切の影響を受けておらず、引き続き運営をしてまいります。しかしながら、本事件を他山の石とし、私たちのサービス運営について学ぶべき点が非常に多いことを強く認識しております。

より高いレベルでのリスク管理を行い、5年後、10年後にも安定稼働させ、そして人々に求められるサービス作りのためにHashHubレンディングが行うべきことは多々あると認識しています。業界企業の一員として、これからのサービス運営に活かして参ります。

引き続きHashHubレンディングおよびリサーチを含めた当社サービスをよろしくお願い致します。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!