出口の目線・23

バス2回に40分ほど乗り、この先タクシーで霊園の火葬場まで行くとなった時、タクシーを待つ間にコンビニでお酒とスポーツ新聞を購入した。

父が若い頃から読んでいたサンケイスポーツ・晩年は焼酎をかなり薄めて飲んでいたが、その銘柄の焼酎と全盛期に飲んでいたヱビスビールを何本か購入した。

あの世に行く旅路で新聞でも読むかなと思い、あとビールと焼酎を買ってきた。棺を閉める前に一緒に居れてもらおうと考えていた。

新聞は紙だから大丈夫、お酒も缶を開けて棺の中の父の周りに掛けてくれるだろうと思った。

棺に入れてあげることではひとつ、エピソードが有った。だから精神的に疲れて余裕が無かった私でも、これだけは…と、思っていたのだ。

今日、旅立つ父…の母、15年前の祖母の葬儀の時、棺の中に大好きだったブドウパンを入れてあげればよかったという後悔を抱えていたのだ。

こういう思いは単に、生きている者側の勝手な物語作成と言えば 或いはそうかもしれない。

言い方は露骨で場にそぐわないだろうが、この期に及んでの【自己満足のお遊び】と言われれば、それも正解なのだ。

間も無く霊園に到着というところで、大きな広い場所の横を走った。飛行場だ。快晴の空に飛行機が雄大に飛んでいた。

とにかく空を見ながら、せっかく旅立つなら こんな良い天気の日で良かったね。と思う自分だったかどうか…覚えてはいない。

【【続く】】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?