出口の目線・30

親戚がたくさん集まること自体、私は嫌いではない。むしろ、久々に集まる…そして最初は照れくさい、でも徐々に場が馴染み慣れていく光景が好きだ。

結婚式などはそれに輪を掛けて、喜ばしい場であるので御多分に漏れず、心地好い場であると感じる。

しかしここは逆の場、そして父親がこの世を去る区切りの場所。それだけなら単純に悲しむだけで良いのだが、大勢の人が居る場所が恐くなっている。

油断すると目線を何処に持っていけば良いのかわからなくなり、呼吸が苦しくなってくる。

もう父も骨になり色々と終わったのだし、私だけでも早く帰って布団に潜り込み眠って現実逃避したい心境だ。

現実は…遠いところをせっかく来てくださった方に、終わりましたのでハイサヨウナラというのも失礼である、有り得ない話だ。

車で数分の和食レストランでの会食の場を設けてある。

美味しいものをゆっくりと召し上がって頂ければという気持ちと、みんなサッサと帰ってくれという気持ちがごちゃ混ぜになっている私がいた。

【【続く】】

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