日常の愛おしい点を見つける。なか卯でもそれはいい。

サウナ仲間のHさんがお誕生日だったので、サウナ仲間たちで集まって飲み会が行われる。

御徒町でかるく飲み、サウナに入って、さらに飲み直して、会話に熱が入って(というか入りすぎて話が長くなって他の人からツッコミいれられるレベルで、申し訳ありません、反省してます…)、夜明けを迎えて、朝日を浴びながら友達のNくんと「なか卯」に吸い込まれて、糖質オフ勢のぼくは久方ぶりの「カツ丼・はいからうどんセット」をキメる。

Nくんは一時期、ファストフードやコンビニのカツ丼にハマってあれこれ食べた結果、なか卯のは逸品であるとたどり着き、それで勧めてくれたのだった(たぶん、たぶんそんな感じだった、はず……)。

たしかに美味しく、久々のちゃんとした白米は、もう「キメる」としか呼びようがないほどに脳がひゃっはー!となったのを覚えている。ただ、肝心の味は結構あやふやだ。iPhoneのカメラロールを見返したら、撮った記憶の薄い写真や動画がたくさんあった。いくつか見てみると楽しそうでなにより。

なか卯の思い出があって、ぼくは高校生を「明大前」という京王井の頭線と京王線が交じり合うところで過ごした。明治大学の和泉校舎がある街だ。中学生までは公立中学校で地元にいたのもあって、高校はほんとうに「異文化交流」という感じだった。今でこそ明大前もきれいになったけど、もっと明大生の青春を焦げ付かせた黒ずみが染み込んだような駅前だった記憶がある。

高校生の頃から、今でも明大前に「なか卯」はあって、ぼくが友達とファストフードに入って食べるみたいな経験をしたのも、たぶんそこが限りなく最初に近い体験だった。はいからうどんを食べて、へぇ、こんな美味しいものがあるのか、とおもった。なか卯は親子丼が美味しい、というのも友達連中で盛り上がって、「親子丼・はいからうどんセット」こそ至高とずっと信じてきた。

それが昨晩の「カツ丼・はいからうどんセット」によって、またひとつ思い出が増えたわけで、ファストフードってどうにも消費の最先端というか、新商品が出る度にいろんなものが塗り替えられていってしまうような気もするけど、その場所にあり続けてくれる限り、どこでだって思い出の場所になるし、毎日をちゃんと重ねている「一つの点」として見れば、すごく愛おしいものに感じられる。

日常の愛おしい点をたくさん持っているほうが、たぶん人生も、あと人と話すときも、楽しいんじゃないかなっておもえてくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?