見出し画像

「鱗粉 / The Scales」410x318mm, oil on canvas, 2020

こちらは胡蝶蘭、ファレノプシスをモチーフにしています。
気に入っている作品です。

毎年、各地の百貨店などで洋蘭展といった催しが開かれます。
この洋蘭展は、洋ラン組合のようなところが主催していて、いろいろな部門で審査のもと、賞が与えられます。

歴代の受賞花は、様々な洋ラン図鑑などにも載っているのですが、少し異質な感じがします。
形が整っていて美しかったり、株が大きく花がたくさんで凄かったりするのですが、節々に”人の手が入っていること”を感じる風貌をしているのです。
異様に花が全部こちらを向いているような感じだとか、本当に些細な部分なのですが、自然な感じと不自然さとのギリギリ境目のようなところにある気がして、妙に惹かれるものがあります。

画像1

胡蝶蘭は、クローン栽培が盛んな品種であるという記事を思い出したのがきっかけで、この絵が出てきました。
その記事を読んだ時、結構ショックを受けました。
クローン栽培は、メリクロン栽培という、新芽の成長点を取り出して培養し、同じ花を量産できる方法が利用されています。
なんだか工業製品のような作り方がされている花なのです。
自分の中にあった、花=自然 のような図式が崩れました。人の需要に合わせて、花も量産されます。
その産業、分野が栄えることは悪いとは思いませんが、人間の需要がそこまでさせるのかと驚きました。

花をただ単に楽しむ、いわば無知のままでいることは果たして良いことなのか? 問い続けながら、今回の作品群を描いていました。


画像2

画像3

画像4

今回の個展で発表している作品は、ギャラリーモーニングさんのサイト Gallery Morning kyoto Showcase にて販売しています。価格などは、こちらでご確認ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?