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図像学が私の選択した方法でした。

 私の方法についてお話しします。

 私のキャリアは現代演劇の批評からはじまりました。1982年ごろの話です。まず、考えたのは、すでにいる評論家と似てはいけないという原則でした。

 当時、第一人者と思われていたのは、朝日新聞の記者で評論家でもあった扇田昭彦さんです。アンダーグラウンド演劇、最高の擁護者、批評家と思われていました。

 何か舞台を観たとします。まず、扇田さんだったらどんな視点で書くかを考えます。それがどんなにすばらしいアイデアだったとしても、私はその視点を捨てました。扇田さんの真似をしても、扇田さんに勝てるはずがない。なので、私ならではの批評の方法を考えなければいけませんでした。

 私が発見したのは、図像学の達成の助けを借りて、演劇を見つめ直す方法でした。
 戯曲の言葉、ト書きと台詞が、舞台上にいかに視覚かされたかを読み解こうとしたのです。もちろん、俳優の身体、衣裳、大道具、小道具、照明などが、何を語っているか。それが現実世界で、どんなシンボルとなっているかを考えました。私は、舞台上の視覚的な要素が、いかに機能しているかをまず、考えることから始めました。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。