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長谷部浩のノート お芝居と劇評とその周辺

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2020年2月の記事一覧

月窓寺 坂東三津五郎家のお墓があります。

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ウィーン大学の講義、フライヤーが出来ましたので、掲載します。

博士後期の関根さんにお願いして、フライヤーを作成しました。演劇・映画・メディア研究所だけではなく、日本学の学生にも参加してもらいたいと思っています。

政権末期の安倍首相に対して、憲政史上最悪の総理大臣という悪名を、少しでも軽減するために、緊急におすすめしたい三つの方策。

 将棋の大名人、大山康晴の言葉に「助からないと思っても助かっている」がある。終盤、どれほど追い詰められようとも、安易に投了してはいけないとの意味だと思う。けれども、今回の安倍晋三政権の迷走を思うにつけ、明日にでも、投了をお勧めしたいと思う。  大変、逆説的な提言をする。  これほどの長期政権を続けながら、晩節を汚しているのは、さすがにご本人も承知していると思う。  けれども、政権を投げ出さないのは、怖れである。一国会議員に戻ったならば、即座に検察特捜部から刑事訴追を受け、

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城田優主演、藤田俊太郎演出のミュージカル『NINE』。過去に日本で上演されたデヴィッド・ルヴォー演出の舞台評を再録します。

私にとっては忘れられないミュージカル『ナイン』が、藤田俊太郎演出、城田優主演で、上演されるとの報道があった。 https://www.umegei.com/nine2020/ デヴィッド・ルヴォーと縁の深い梅田芸術劇場ならではの企画。 2004年に上演されたデヴィッド・ルヴォー演出の舞台について、当時、記事を書いたので、再録しておきます。 まず、はじめは、日本経済新聞に書いた劇評です。 氷のように冷ややかな情熱で、女性から女性へと渡り歩く男がいる。 デヴィッド・ル

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インタビューの準備は何をするべきか。『坂東三津五郎 踊りの愉しみ』の場合。

 インタビューが大好きだった。 インタビューされるのがではない。自分がインタビュアーとなって、人に話を聞くのが好きだった。  私の二十代は、インタビューの仕事が多かった。  編集会議で企画が通れば、できるだけライターさんには依頼せずに、自分自身で話を聞きいった。原稿を書き、写真を選び見出しやキャプションを書くことに追われていた。  思い出に残るインタビューは数々あるけれども、この仕事で中村勘三郎(当時、勘九郎)や坂東三津五郎とも会った。坂本龍一や小田和正ともロングインタビ

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ウィーンのメーリングリストに加わりました。

 この春、講座を持つウィーン大学の演劇、映画、メディア研究所のメーリングリストに登録されたらしく、案内がくるようになった。  もちろん研究会の発表が行われますというような内容だけれど、なんだかうれしい。  メンバーとして受け入れられた気がするからだろうか。  私は所属するべきコミュニティーの数は少ない方が性に会っていると思ってきた。  演劇界でも友人知人は限られている。  とはいえ、全く新しい、しかも外国のコミュニティに入るのは新鮮な体験だった。  自分勝手に生きてきた

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コロナウィルスと人間の責任について

危機的な状況になればなるほど、人間がいかに、自分の責任を考え、その未来を考えるか。その力量が問われるように思います。 自分自身の身は、自分自身の判断で守るしかない。 戦時下、もしくは危機下の原則を思い知らされています。 国民は、政府や勤務先や学校に、何らかの指針を示してくれることを期待していました。ところが、こうした期待に答えてはくれない。 要請に答えた「方針」が示されたとしても、正しいとする根拠はありません。菅官房長官の会見が、まったく信頼性がないのは、自民党支持者で

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高橋一生のリチャード三世と浦井健治のハムレットについて、いくつか考えたこと。

 日生劇場で上演してる『天保一二年のシェイクスピア』には、写し絵がある。  高橋一生は、主に、シェイクスピアの『リチャード三世』のタイトルロールを踏まえている。浦井健治は『ハムレット』である。  もちろん、井上ひさしの脚色だから、原作とは役柄の実質は異なっている。けれども、その骨格を引き継いでいるのは、井上ひさしのシェイクスピアに対する尊敬だろうと思う。  高橋の佐渡の三世次は、これまでのリチャード三世の演じ方、身体に不自由を持っていることを強調している。  ただ、高

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『風の谷のナウシカ』とコロナヴィールス

『風の谷のナウシカ』。ディレイビューイングが、全国の映画館で始まりました。12月の公演ですが、劇評を書いたのが、ずいぶん遠い過去のように思えます。コロナヴィールスのような近似したことがらが、世界を覆ったからでしょうか。劇評を書き替えたくなりますが、その時点での記録なので、改めるのはやめておきます。 ■公開 前編・後編 各1週間限定上映 前編 2020年2月14日(金)~2月20日(木) 後編 2020年2月28日(金)~3月5日(木) ※一部映画館では上映期間が異な

【劇評166】豪華絢爛な音楽劇。高橋一生、浦井健治が人間の欲望と狂気を描く。☆★★★★

 趣向と綯い交ぜの戯曲である。 井上ひさしの『天保一二年のシェイクスピア』はシェイクスピアの全作品を、『天保水滸伝』の世界に落とし込んだ芝居である。  元の講談に特に説明はいらないだろう。やくざの一家が対立する単純な筋に、リア王やロミオとジュリエットやリチャード三世やオセロの人間関係を、井上は超絶技巧のような手さばきで織り込んでいった。  そのため、蜷川幸雄やいのうえひでのりの演出で、この作品を観てきたが、どうしても、シェイクスピアのどの作品が織り込まれているかに注意がい

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コロナの行方を心配しつつ、レクチャーの準備を進めています

今回、ウィーンでおこなうレクチャーは、全部で八章に分かれています。 原稿はすでに昨年の後期に、芸大のゼミで展開していました。なので、今は、学生からのフィードバックを入れつつ、ウィーンで使うキーノート書類の準備を進めています。ようやく第三章にまで辿り着きました。この章では野田秀樹の『THE BEE』の場面を切りとって、分析をする予定です。 日本での授業で、キーノートを使うのはまれです。ただ、今回は、フランスの人名などを表示して、私の説明不足を補ったりする役割もあり、 キーノ

團十郎襲名記者会見の不思議

 海老蔵の十三代目團十郎襲名についての記者会見が行われた。  いくつか驚いたことを書き留めておく。  海老蔵が、十四代目を名乗るにあたって、市川團十郎白猿という名前にこだわっているとわかったこと。  白猿は、團十郎の雅号であり、歌舞伎の名跡と俳名を同時に名乗ることになるのではないか。菊五郎家でいえば、尾上菊五郎梅幸と名乗るのと同じ理屈になる。  また、今回の記者発表では、「團十郎白猿」と「新之助」が勤める狂言だけが発表されたこと。  つまり、『勧進帳』や『助六由縁江戸桜

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【劇評165】人間が伝説となる。仁左衛門の菅丞相。☆☆★★★

 歌舞伎座、昼の部は、『菅原伝授手習鑑』の半通し。  「加茂堤」「筆法伝授」「道明寺」と、丸本歌舞伎の真髄というべき演目。三月の『新薄雪物語』とともに、どんなことがあろうとも、間を空けすぎずに舞台にあげなければいけない演目となる。  とくにこの半通しは、松嶋屋、片岡仁左衛門家にとっては、もっとも重要な狂言。  特に「筆法伝授」「道明寺」は、十三世による神品というべき舞台が伝説として残っている。  今回の上演では、仁左衛門、秀太郎、孝太郎、千之助が渾身の舞台を勤めている。

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【劇評164】十三世仁左衛門追善興行。 菊五郎の至芸。☆★★★★

 今月の歌舞伎座は、十三世片岡仁左衛門の二十七回忌。故人ゆかりの狂言が、我當、秀太郎、仁左衛門三人の子息によって演じられる。  私は一度だけ、十三世の素顔に接したことがある。  といっても、南座の楽屋口。昼の部が終わって、人を待っていると、十三世仁左衛門がひとりぽつねんと立っていた。ベージュのステンカラーコートがよく似合って、まるで京都大学の学者さんのような佇まいだった。 一九九二年の二月。資料を調べてみると、十三世は、賑やかな『江戸絵両国八景(荒川佐吉)』で、相模屋政五郎を

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