_パンと日用品の店_わざわざ__平田はる香さん

イベントレポート「わざわざの平田はる香さんに聞く『くらし・お店・仕事』のこと@RE LIFE」

「RE LIFE」リノベーション・エキスポ・ジャパン TOKYO × 青山ファーマーズマーケットで開かれた『パンと日用品の店 わざわざ』店主の平田はる香さんに聞く「くらし・お店・仕事」のレポートです!

イベント概要
日時:2019/11/10 (日)
概要:長野県の東御市にある『パンと日用品の店 わざわざ』。2種類の自家製パンと、確かなものへのこだわりを感じさせる日用品をそろえ、山の上という車でしか行けない立地ながら、全国にたくさんのファンがいる人気店です。お店を開業した経緯や平田さんご自身の暮らしや日用品へのこだわりのほか、東京から長野にIターンで移住したことによる暮らしの価値の変化、独自の経営手法などについても触れていきたいと思います。
https://peatix.com/event/1349168

トークスタート!会場は大満員!

満員のお客様のほぼ全員が、わざわざを知っているとのこと。Twitterでの告知後すぐ定員が埋まってしまった。

わざわざのビジネスモデルについて

わざわざの事業体は、実店舗とオンラインストアの2つ。山の上の店なのに2.6億の売り上げ。SNSフォロワー数が売り上げをけん引している。その数、合計約16万人。最も多いnoteのフォロワー数は40,070人!

本日のトークテーマは12個。「1時間なのに多い!そしてテーマが長い!」と会場は爆笑。

アボカドと水と砂糖の話

アメリカでヒットしたアボカド。メキシコ・チリから輸入が急増。その結果、供給していた地域は搾取されていく構造になってしまった。メキシコでは、農場主の人がマフィアに狙われるようになり、治安が悪化。たったアボカド1つで国の在り方が大きく変わってしまった。そしてチリでは、アボカドのために飲料水を優先。水の配給がされなくなってしまった。

安くておいしいアボカドを食べている私たち。一方でアボカド農家はどんどん廃業してしまっている。人間の欲求がどこかで搾取を生んでしまっている。そして水も砂糖もすべて同じ現象が起こっている。

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売上を上げる。スケールさせる。会社を大きくさせる。これまで豊かになることとは大きくすることだと思っていた。スケールさせないというのがこれからのキーワードの1つになるのでは。今年上手くいかなかったから、そのことに気が付けた。大きくするという欲求が世の中に不条理を生み出す。

今年は、大きくするより、細かく見ていくことをしていきたい。コミュニケーションだったり、商品だったり。

私たちがよいと思うもの

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開業当時、自分が使ってよいと思ったものを販売していた。そして「私たちがよいと思うもの」を4つに決めた。

・長く使えるもの
・飽きのこないもの
・暮らしに寄り添うもの
・きちんと作られたもの

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わざわざに並べる商品の90%以上は耐久テストをしている。特に定番品は必ず耐久テストをしている。いままで基準があいまいだったので、社内に落とし込む制度を作っているところ。ゆくゆく商品体感研究所にして、その結果を誰でも見られるようにしたい。

耐久性を重視している意味は「ごみ」になるから

簡単に買えるものは簡単にごみになる。例えば、ティッシュは、買った瞬間ごみになるのが決まっている。捨てるものを買うのがどうしてもいやだったので、ノーティッシュ生活を送ってみた。ティッシュに代わって、ハンカチ・古衣を利用してみたら、全然生活できた。いまもお客さんの分を合わせても、年間ティッシュ使用料2箱くらい。

物を買うのはめんどくさい

普通のティッシュのデザインが嫌いだから、セブンイレブンのブラックボックスのティッシュしか使わない。1回決めたら、それを繰り返し使いたい。なぜなら物を買うのは面倒くさいから。わざわざのお客さんにももっと快適なものに時間を使ってほしい。

わざわざは好みがフィットしない人にはつまらないと思う。健康的・シンプルなものを利用したい人には響くけど、一般的には普及しないと思う。でもそれで良いと思っている。

わざわざは最終的にスーパーマーケットになりたい。選ばれた日用品が全てそこで手に入る「スーパースーパーマーケット」に。

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テーマ「地方と東京」

最近、地方と東京が溶け出しているのを感じる。例えば丸亀製麺がどこにでもある。流通もそう。どこでも誰でも同じものを買えるようになった。ファッションも同じ。前ほど「地方の人はダサい」を感じなくなった。地方の人でも情報リテラシーが高い人が増えている。

これからは、どちらかをもっと自由に選べるようになるのでは?東京でなければできない仕事はどんどん減っていくから。

テーマ「守破離人事制度」

わざわざにも徒弟制度がある。型を覚えるというやつ。わけもわからずやらされる。「わざわざとはこういうものだ」の型を覚えてもらう。

スタッフが「これ意味ある?」と思うタイミングが「破るとき」。何かを提案して変えようとする段階。

そして離の時期は、提案で功績を立てて離れていく段階。その時には自分の型が見いだせるようになる。「●●派」とか。華道とか武道もそうなっている。

わざわざの場合、こうなることが多い。
守:2、3年
破:リーダーになる
離:わざわざをやめてもらう

トップランカーに会社をやめてもらう。それは個人対企業の1対1の関係を外すということ。個人事業主として扱う。いま1人その段階の人がいる。

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わざわざは評価しない人事制度。新卒から二年経つと、みな給料がいっしょになる。当然、不平不満が出る。その人は「破」の段階のことが多いので、離す。そして年棒制にする。

高めあいたい人事制度、人・会社に依存しない人事制度を作りたい。能力を発揮したい人もいる一方で、一律給料が良い人も意外と多い。「仲良く、健康で働きたい」という人。選べるのが良いと思っている。

テーマ「言葉の余白」

みんなと細かく会話して最近気が付いた。「大人になるっていいな」と。言葉を額面通りに受けとらなくなる。会社のトップが言うことは絶対になりやすい。命令になりやすい。

でも本当はすごく良くない。

どうやって言ったら伝わるか。あえて、あいまいに伝え始めた。「いつまで?」「●●を」をやめた。例えば「これ、いつできる?」「どれくらいでできるの?」と言うようにしている。

相手に決断を委ねること。断言しない・問いかける・言い切らない。どうとでも受け取れる言い方をする。そしてスケジュールを切り詰めない。臨機応変に。すべてのことをあいまいにしていくのがすごく幸せ。うちはみんなあいまいです(笑)。私が一番下っ端みたいになっている。

組織は最初、規律・憲法から始まる。文化風土が育っていくのが良い会社だと思う。

来場者の感想

「言葉の余白を作る」ことが、体現されたトークイベントでした。「消費とは」「組織とは」という大きな問いに、常識とかルールに縛られない自由でいること、そこにアイデアが生まれる。大きな問いを持つこと・自由であることを感じ入ったイベントでした。

しばらく登壇などはしない予定とのこと。平田さん・わざわざのSNSはこちらです!

ちなみに僕のTwitter・noteはこちらです。ローカルビジネス、マーケティング、編集、サウナ関係が多いですが、良かったらフォローしてやってください♨!


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